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On the Production
by 井口健二
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■相馬看花、モバイルハウス、オレンジと太陽、キリマンジャロ、ブラック・ブレッド、コラボ・モンスターズ、ブラックパワー、赫い髪
ンジャロへのガイド付きツアー」がプレゼントされる。
ところがその数日後、自宅で弟夫婦とトランプを楽しんでい
たとき、突然2人組の強盗が押し入ってきて、ツアーの切符
と滞在費の現金、それにATMカードなどが強奪される。し
かし在る偶然から、夫は犯人を発見するのだが…
映画ではフランス社会党の創設者ジャン・ジョレスの名が英
雄のように語られるが、現実の労働者の境遇はの英雄の名も
霞まされる程に厳しいものだ。そんな中でも夫が労組に関係
していた夫妻はそれなりの年金で小市民的な生活は維持され
ている。
しかし夫妻を襲った事件は、さらに厳しい現実に夫妻を直面
させることになる。そしてその先に見えてくるものは…
共演は、『マルセイユの恋』や2005年1月紹介『ロング・エ
ンゲージメント』などのジャン=ピエール・ダルッサン。
他に、『マルセイユの恋』のジェラール・メイラン、2003年
10月紹介『かげろう』などのグレゴワール・ルフランス=ラ
ンゲ、2009年11月紹介『ユキとニナ』などのマリリン・カン
トらが脇を固めている。
厳しい現実の描かれた作品だが、物語的にはかなり甘く感じ
るところもあって、全てを容認できる作品ではなかった。た
だしそれは原作詩のもたらしたものでもあり、これもまたド
ラマということだろう。物語はそこに至るまで人間模様を描
いているものだ。

『ブラック・ブレッド』“Pa negre”
スペイン内戦を背景にした多少ファンタスティックなムード
も持つ作品。スペイン・ゴヤ賞で9部門を受賞し、カタルー
ニャ・ガウディ賞では13部門に輝いた。また先のアメリカ・
アカデミー賞外国語映画部門の予備選考では、ペドロ・アル
モドバル監督の『私が、生きる肌』(今年2月紹介)を差し
置きスペイン代表に選ばれている。
舞台は1940年代のスペイン・カタルーニャ。その森で事件が
発生する。それを目撃した少年は、「ピトルリウア」という
ダイングメッセージを聞くが、それはその森に住むと言われ
る魔物のことだった。
その少年の父親は左派に属し常に理想を語っていたが、その
父親に事件を殺人と判断した警察から嫌疑が掛けられること
になる。そして父親は姿を消し、少年は安全のため祖母の家
に預けられることになるが…
その少年の周囲には、少年の母親に色目を使う町長や、少年
を養子にしよう画策する金持ち夫妻など様々な大人たちがお
り、その中で徐々に事件の全貌が明らかになって行く。しか
しそれは少年にも厳しい現実を突きつけることになる。
映画の中では1944年のカレンダーが壁に貼られていて、その
時代であることが明らかになるが、描かれる雰囲気には中世
の感じもして、それがファンタスティックなムードも醸し出
している。
しかし物語自体は、スペイン内戦後の右派(勝ち組)と左派
(負け組)の確執を背景にしたもので、その辺は映画を観て
いれば理解はできるが多少複雑な面も存在していた。そんな
中での無垢な少年の姿が描かれている。
脚本と監督は「スペインのデヴィッド・リンチ」とも称され
るアウグスティ・ビジャロンガ。確かにダークなイメージの
絵作りなどにはリンチのようなムードが漂うが、背景として
いる事象の重みというか、基盤になるものがリンチとは異な
るものだ。
出演は、本作で見出されゴヤ賞新人男優賞なども受賞したフ
ランセスク・クルメ。本作でゴヤ、ガウディ賞の他、サン・
セバスチャン国際映画祭の女優賞にも輝いたノラ・ナバス。
2007年4月紹介『パンズ・ラビリンス』などのルゼ・カザマ
ジョ。
さらに、本作でゴヤ賞新人女優賞とガウディ賞助演女優賞に
も輝いたマリナ・コマス、『パンズ・ラビリンス』や2010年
9月紹介『Ricky』などのセルジ・ロペスらが脇を固め
ている。

『コラボ・モンスターズ!!』
日本唯一のトラッシュ・カルチャーマガジンという「TRASH-
UP!!」の提供で製作された2005年『稲妻』の西山洋市監督、
2010年8月紹介『making of LOVE』の古澤健監督、1996年の

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04月01日(日)
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