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On the Production
by 井口健二
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■B&W、[●REC]³ 、ウルトラマンサーガ、隣る人、ハローゴースト、残酷な弓、ハングリー・ラビット、ミッドナイトFM+Dark Tower
し伸べる人」ということのようだ。
ただし菅原氏の考えはそこからさらに一歩進んで、その「隣
る人」を子供たちの心に内在させられれば、その子供たちは
立派な大人になると考える。そしてそれを実践しているのが
「光の子どもの家」だ。
しかしそれは様々な葛藤を抱えた子供たちだから一朝一夕に
行くものではないし、さらに一部には現存する親の姿が様々
な影を落とす。その中で映画は、主にムツミとマリナという
2人の子供と彼女らに寄り添うマリコさんという保育士に焦
点が当てられている。
その他にも、幼児のコウキと保育士のタカコさん、小学生の
マイカと保育士のマキノさんらの関係も描かれるが、そこに
は身勝手な親に振り回される子供や、施設自体が抱える問題
なども浮き彫りにされる。
それにしても、この種の作品を観ているといつも感じるのは
職員の人たちの懸命の姿だ。しかも本作では単に仕事として
だけではない本人たちの心情も描き出され、それは痛々しい
ものにもなっていた。
こういう子供たちを生み出す社会の問題もあるが、その子供
たちを支え続ける人々の姿にも心を留めたいものだ。
監督は、フリー映像ジャーナリストとしてアフガニスタンの
空爆の様子などを取材してきた刀川和也。本作は初監督作品
となる。また撮影には、2010年3月紹介『アヒルの子』の小
野さやかが協力していた。
『ハロー!?ゴースト』“헬로우 고스트”
いまだに2001年『猟奇的な彼女』のと言われてしまうチャ・
テヒョン主演によるゴーストがテーマのファンタスティック
・コメディ。
主人公は児童養護施設で育ってきた若者。幼い頃から家族も
周囲に親しい人もいない環境で育ち、今でもその孤独感は募
る一方だ。そのため何度も自殺を図っているが、その度、何
故か救われてしまう。
そんな彼がついに一時的な呼吸停止の状態まではなるが、そ
れでも死ぬことはなかった。ところがその後から彼にはゴー
ストが観えるようになる。そんな彼の周囲にいたのは、エロ
爺とヘヴィスモーカーの中年男、それに泣き女と大喰いの小
僧。
しかも除霊師に訊くと、彼が死ねないのはそのゴーストたち
のせいで、彼らの願いを叶えればゴーストは去るという。そ
こでゴーストたちの想いを聞き出し、その願いを叶えるため
の行動が始まるが…
そこにホスピスに看護師として務める女性などが絡んで、涙
と笑いの物語が展開されて行く。それは常人には観えないゴ
ーストとの会話など定番の笑いも満載だが、さすがに韓国映
画は一味違うという感じの捻りが見事な作品だった。
共演は、2009年1月紹介『映画は映画だ』などのコ・チャン
ソク、2010年10月紹介『ハーモニー』などのチャン・ヨンナ
ム、2010年5月紹介『グッドモーニング・プレジデント』な
どのイ・ムンス。さらに、2009年『TSUNAMI』などのチョン
・ボグン。そして『ハーモニー』で映画祭の新人女優賞など
も受賞したカン・イェウォンがヒロインを演じている。
脚本と監督は、過去にチャ・テヒョン主演作品なども手掛け
た脚本家のキム・ヨンタク。本作が監督デビュー作となって
いるようだ。なお、作品中で主人公が5人のゴーストを背負
って歩くシーンはCGIではないそうで、その辺の演出も巧
みに感じられた。
たまたま同じ日に『隣る人』と続けて試写を観ることになっ
た。本作は特に児童養護施設の問題を扱ったのではないが、
そこに描かれている内容には繋がるものも感じられ、そこに
流れる暖かさも感じられたものだ。
『少年は残酷な弓を射る』
“We Need to Talk About Kevin”
イギリスで女性文芸賞の最高峰とされるオレンジ賞を受賞し
た原作の映画化。その映画化を、2002年『モーヴァン』で各
地の受賞に輝いたリン・ラムジー監督が9年ぶりの第3作と
して完成させた。
主人公は、赤ペンキの浴びせられた郊外の廃屋のような家に
住む1人の女性。彼女が道を歩くと罵声が浴びせられ、突然
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03月18日(日)
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