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On the Production
by 井口健二
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■虹色ほたる、宇宙戦艦ヤマト2199、ミッドナイト・イン・パリ、私の叔父さん、ソウル・サーファー、ベイビーズ、ロボット+製作ニュース
犯罪(道ならぬ恋がそうであるかどうかは別にして)の起き
ないミステリーといった感じの作品。主人公の胸に去来する
想いや写真に秘められた想いの謎解きが、物語を巧みに彩っ
て観客をぐいぐいと引っ張って行く。
原作を含む短編集は1984年の直木賞を受賞したもので、その
作品がほぼ30年を経て映画化された。しかしその作品は決し
て古さを感じさせるものではなく、多少のノスタルジーを感
じさせながら切ない物語が展開される。
主演は、2010年2月紹介『誘拐ラプソディー』などの高橋克
典。共演は、2008年3月紹介『受験のシンデレラ』などの寺
島咲。他に、長谷川初範、鶴見辰吾、松原智恵子、新人の松
本望らが脇を固めている。
脚本と監督は2002年『竜二Forever』などの細野辰興。細野
監督と主演の高橋は2002年の作品を撮った際に次回作の約束
をし、以来10年を掛けて実現した作品ということだが、その
10年が熟成をもたらしたとでも言えそうな作品だ。
特に現在と18年前を演じ分ける高橋と、その18年の歳月を映
像化した監督の演出も巧みに感じられる作品だった。

『ソウル・サーファー』“Soul Surfer”
2003年10月、1990年生まれ13歳の少女サーファーが練習中に
サメに襲われて片腕を失う。しかし少女はその事故から僅か
2カ月後には海に戻り、全米規模の大会にも出場した。そん
な少女サーファーの姿を描いた実話に基づく作品。
正直には片腕の少女サーファーの姿を想像すると、それは流
行り言葉で言うとキモイ感じがした。その一方で、上記の話
は衝撃的ではあるけれど普通に美談な訳だし、そこに隠され
た真実だってそれほど期待できそうにない。
それこそ、日本映画によくあるお涙頂戴にされたら目も当て
られなくなってしまいそうなお話だ。したがって試写を観に
行くには多少の思い切りが必要だった。しかし観終えたとき
の満足感は、最近ではあまり感じていなかったものだ。
それは、例えば事故が起きてから病院に搬送されるまでの緊
迫感など、矢継ぎ早の演出の巧みさなどは『ER』などの参
考があるとは言え見事なもので、さらに主人公自身の転機と
なるシーンの描き方も納得できるものになっていた。
しかもそれが実話ベースとは思えないほど感動的で完璧なも
のなのだ。これにはこの転機を彼女に与えた周囲の人たちの
存在もあるのだが、そんな環境の素晴らしさも見事に描かれ
ていた。
主演は、2007年12月紹介『テラビシアにかける橋』などのア
ナソフィア・ロブ、母親役を2002年11月紹介『スコルピオン
の恋まじない』などのヘレン・ハント、父親役を2003年4月
紹介『エデンより彼方に』などのデニス・クエイド。
他には、2006年8月紹介『もしも昨日が選べたら』などのロ
レイン・ニコルスン、2003年『ピーター・パン』では主役を
演じたジェレミー・アンプター、カントリー歌手のキャリー
・アンダーウッドらが脇を固めている。
脚本、監督、製作は、2006年にオハフ島が舞台の少女プロサ
ーファーを主人公にしたTVシリーズ“Beyond the Break”
なども手掛けているショーン・マクナマラ。なお脚本には、
他に10人ほどが絡んでいたようだ。

『ベイビーズ』“Bébé(s)”
2009年4月にアメリカ、ナミビア、モンゴル、日本の4カ国
でそれぞれ誕生した4人の赤ん坊が、各自歩み始めるまでの
約1年間を追ったドキュメンタリー。
言葉も喋らず、2足歩行もしない赤ん坊というのは、言って
みれば小動物と同じようなもので、それは愛らしいのが当然
の被写体ということになる。それを写した本作は、正直ずる
い作品だろう。
しかも作品はナレーションを一切排し、字幕も名前と地名だ
けで余分の情報は殆どなし、そして映像では、赤ん坊の寝顔
や愛らしい仕種や、少し大きくなってからは兄弟や同じ位の
他の赤ん坊と遊ぶ姿などが描かれている。それはもう子育て
経験した者や、周囲で赤ん坊に接したことのある者には堪ら
ない映像が綴られているものだ。
因に余分な情報が殆ど提供されないのは、映像を観ただけで

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03月04日(日)
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