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On the Production
by 井口健二
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■昼下がりローマ、おとなのけんか、ジャックとジル、忘れられた夢、タッカーとデイル、51、レッド・ティアーズ、POV+Oscar/Makeup
わざわざ3Dなのか、という点に関しては、凹凸のある洞窟
壁面にその凹凸に沿って描かれた絵画を描写するにはこれし
か手段が無い。これは決して時流に乗った3D撮影ではない
ということだ。
そしてその壁面の凹凸に沿って描かれた壁画の躍動感は、正
に3万4000年前の原始の画家たちが描いた時の心情を観る者
に伝えてくれるものになっている。特にナレーションで「ア
ニメーションのよう」と表現される時間を追って重なり合う
絵の躍動感は見事なものだった。
因に、僕が子供の頃に観ていたテレビ番組の「ディズニーラ
ンド」では、アニメーションの歴史という回の中で、ウォル
ト・ディズニーがアルタミラの壁画に描かれた8本脚のバイ
ソンの絵でその歴史を紐説いたが、彼にもこの重なり合う絵
を観て欲しかった。
この他にも、様々な技法を駆使して描かれた素晴らしい絵の
数々が目の前に繰り広げられる様は、この洞窟の内部を実際
に見学して堪能させてくれた想いもした。これも3Dによる
効果と言えるものになっている。
ただ残念なのは、足場の組まれていないさらに深遠の洞窟が
撮影できないことで、ここには恐らくリモコンの飛空カメラ
も用意されたようだが、その使用は許可されなかったのだろ
う。いつの日かそんな深遠の映像にも許可される方法で挑ん
でもらいたいものだ。

『タッカーとデイル』“Tucker and Dale vs Evil”
森林の奥の湖水の辺を舞台にしたスプラッターホラー映画の
パロディ。
登場するのは、森林の奥の湖水の辺に念願の別荘=山小屋を
手に入れたタッカーとデイルの中年男性2人組と、その湖に
キャンプに来た男女の大学生グループ。彼らは湖に向かう途
中のGSで出会うが、その出会いは悲惨なものだった。
そして別々に湖に向かった2グループは、それぞれ休暇を楽
しむ準備を始め、準備が一段落した頃、大学生の1人の男子
が過去にその森で起きた惨劇の話を始める。しかしそんなこ
とは気にしない仲間たちは湖で泳ぎ始めるのだが…そこで事
件が起きてしまう。
そこから後は、あれよあれよの展開で次々に惨劇が繰り広げ
られ、2グループは互いに追い詰められて行く。そしてそれ
ぞれが絶対絶命の危機に立たされて行くが…。まあ互いに無
神経なところはあるが、それなりに納得の行く展開でお話は
進んで行く。
作品としては1974年“The Texas Chain Saw Massacre”(悪
魔のいけにえ)のパロディになるが、視点を加害者側にも置
いて、なおかつ全てを偶然の出来事とする構成を、見事に破
綻なく描いたもので、これは脚本としてもかなり練られたも
のと言える。
脚本と監督はイーライ・クレイグ。オスカー女優サリー・フ
ィールドの息子だそうだが、2004年に監督した卓球が題材の
短編コメディが各地で受賞に輝いての本作が2009年撮影の長
編デビュー作。その間は資金調達に奔走していたそうだ。
そして本作では、2010年モントリオールファンタジア国際映
画祭での審査員賞、シッチェス・カタロニア国際映画祭での
パンラマ部門作品賞など数々の受賞に輝いている。日本でも
2011年SKIPシティ国際Dシネマ映画祭で上映されて観客投票
第1位になったそうだ。
出演は、2011年7月に紹介『トランスフォーマーズ』などの
アラン・テュディック、2007年9月紹介『FLYBOYS』などの
タイラー・ラビン、そしてテレビシリーズ“30 Rock”に出
演のカトリーナ・ボウデン。なお彼女は“Piranha 3D”の続
編にも出ているようだ。
他に、2009年1月紹介『雷神』などに出演のフィリップ・グ
ランジャー、2006年『ファイナル・デッドコースター』など
に出演のジェシー・モスらが脇を固めている。
なお作品は、パロディと同時にちゃんとスプラッターもして
いるので、観る方はお気を付けください。しかもそれで笑い
取っているところが見事でもある作品だ。

『51 世界で一番小さく生まれたパンダ』
中国四川省・成都大熊猫繁育研究基地(通称パンダ基地)で
のパンダの繁殖と育成の模様を撮影したドキュメンタリー作
品。

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01月15日(日)
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