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On the Production
by 井口健二
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■ワイルド7、わが母の記、顔のないスパイ、ピープルvs.GL、ビーストリー、幕末太陽伝、メランコリア、ウォーキング・デッド+Oscar/VFX
ただし本作では、そのもやもや感は解消できても、それなら
『スター・ウォーズ』をどうすれば良いのかは提示してくれ
ない。それは勿論の本作をルーカスが観て改心してくれれば
良いのだが。それが望めるほど明確な解決策の提示はされて
いないのだ。
でもこれが、現時点でのファンの意見の集約であることは確
かなものだし、これに対してルーカスは何らかの回答を出す
必要はあるのではないか。そんなことは考えさせる作品には
なっていた。
いずれにしても本作では、いろいろ貴重な映像も紹介され、
『スター・ウォーズ』ファンなら一度は観ておいて損のない
作品だ。

『ビーストリー』“Beastry”
ディズニーのアニメーションやミュージカルでも有名な『美
女と野獣』の物語を、アメリカの高校生を主人公に描き直し
たアレックス・フリン原作ヤングアダルト小説の映画化。
主人公はイケメンの高校生。母親は居ないが、父親はテレビ
の人気キャスターで、主人公も学内でのモテモテ男だ。そん
な主人公は、その勢いで学生委員会の委員にも立候補してみ
るが…
その主人公が立候補した選挙戦には、ちょっとシャイな女子
学生も立候補していた。その彼女がちょっと気になる主人公
だったが、それより気になったのは魔女と噂される別の女子
学生だ。
その魔女は彼の選挙ポスターに落書きをするなど、何かと彼
の行動を批判し続ける。そこで彼も仕返しをしてしまうのだ
が…、それは飛んでもない結果を招いてしまう。怒った魔女
によって彼は醜い姿に変えられてしまったのだ。
こうして醜い姿となった主人公は、父親によって別荘に軟禁
され、そこで彼は盲目の教師と、家族を祖国に残して出稼ぎ
に来ているメイドと共に暮らすことになる。そしてある夜、
顔を隠して街に出た彼は選挙に立候補していた女子学生と再
会するが…
期限までに真実の愛を得られれば元の姿に戻れる…というの
は原作と同じ設定だが、その間の経緯が、かなりいろいろと
現代社会を反映したものになっている。その辺りでこれは現
代の若者にも受けそうなお話だ。
出演は、今年6月紹介『アイ・アム・ナンバー4』のアレッ
クス・ペティファーと、2008年11月紹介『ハイスクール・ミ
ュージカル/ザ・ムービー』のヴァネッサ・ハジェンス。ペ
ティファーはかなりハードなメイクにも挑戦している。
他に、起業家としても著名なメアリー=ケイト・オルセン、
2008年3月紹介『路上のソリスト』などのリサ・ゲイ・ハミ
ルトン、ハリウッドボウルで上演された『レント』の演出も
手掛けたニール・パトリック・ハリスら多彩な顔ぶれが脇を
固めている。
脚本と監督は、2008年“Phoebe in Wonderland”がサンダン
ス映画祭で話題になったダニエル・バーンズ。本作は監督の
長編第2作だ。

『幕末太陽伝』
1963年に45歳で亡くなった川島雄三監督による1957年、39歳
のときの作品。モノクロ/スタンダード・110分の作品が日
活創立100年を記念してディジタル修復され、再公開が行わ
れる。
この作品を、僕は以前にNHKか何処かのテレビ放送で観て
いたものだが、今回の試写を観ている内にそれぞれのシーン
の記憶が次々に甦り、さすがインパクトのある作品だったと
再確認もできた。
物語は、落語の「居残り佐平次」を中心に「品川心中」「三
枚起請」などをミックスしたもので、幕末期の品川宿を舞台
に、佐平次を中心とした客たちと、女郎や番頭、女将らの人
間模様が描かれて行く。そして客の中には高杉晋作らの姿も
交じっている。
時は幕末。開国と攘夷の狭間で世間には不穏な雰囲気も漂っ
ている。しかし江戸を少し離れたここ品川宿は、酒と女を求
める客で今日も大賑わい。しかしそんな中では、長州藩士た
ちが何やら謀議も進めているようだ。
そして佐平次は、仲間3人と飲み食いした挙げ句に居残りを
決め込むが、これが如才なくて見事に店を仕切ってしまう。
その店の中では、借金に追い詰められて初な男と心中を図る
女郎がいたり、起請文を乱発する女郎がいたり…

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12月11日(日)
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