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On the Production
by 井口健二
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■はさみ、瞳は静かに、エリート・スクワッド、夢二、ピザボーイ、マシンガン・プリーチャー、アーサー・クリスマス、しあわせのパン
ネルワイゼン』『陽炎座』『夢二』の3作品が、全てニュー
プリントでリヴァイヴァル公開されることになり、まず本作
の試写が行われた。
大正浪漫の代表とも呼べる画家で作詞家の竹久夢二を主人公
に、清順美学とも言える華麗な映像が展開される。
物語の背景は大正の中頃。すでに人気画家だった竹久夢二の
金沢訪問を題材に、夢二が生涯で最も愛したと言われる女性
の彦乃、モデルのお葉、そして金沢の豪商の妻・巴代らとの
交流が描かれる。
物語の開幕は、シルクハットの男との決闘の悪夢に取り憑か
れた夢二の姿。そして夢二は、その悪夢を振り払うかのよう
に彦乃との金沢への逃避行を企んでいる。しかし病弱の彦乃
はなかなか思うように事を運べない。
それでも夢二は金沢での再会を願い旅に出るが…。その旅路
で夢二は、湖に浮かべたボートに乗った女性や、宿の女将な
どに巡り会う。しかもそこには山狩りの銃声が鳴り響き、そ
れは妻の不倫を知った男が、妻と相手を切り殺して逃亡中と
聞かされる。
そんな状況の中で、さらに彦乃の使いと言うモデルのお葉や
天才画家の稲村御船らが金沢にやってくる。そして決闘相手
のシルクハットの男や彦乃本人も登場して物語は華麗に展開
されて行く。
出演は、夢二役に沢田研二。他に、元宝塚歌劇団で映画初出
演の毬谷友子、映画監督の長谷川和彦。さらに坂東玉三郎、
宮崎萬純、広田玲央名、大楠道代、原田芳雄、麿赤兒らが脇
を固めている。
脚本は、「浪漫三部作」の全てを手掛ける田中陽造、音楽は
同じく河内紀と、本作には昨年12月紹介『ブローン・アパー
ト』などの梅林茂が参加している。またエンドロールには特
殊造形の原口智生の名前も出ていた。
なお本作のリヴァイヴァル公開は、来年1月中旬の東京を皮
切りに全国順次の予定だが、その前にBlu-ray+DVDのボック
スセットが12月21日先行発売されるようだ。
『ピザボーイ』“30 Minutes or Less”
2010年5月紹介『ゾンビランド』のルーベン・フライシャー
監督と、同作に主演した後に『ソーシャル・ネットワーク』
でオスカーにノミネートされたジェシー・アイゼンバーグが
再び組んだ作品。
主人公は田舎街の宅配ピザ屋で配達係の男性。30分の配達時
間には諸般の事情で遅れがちだが、ドライヴィングのテクニ
ックはかなりありそうだ。そんな主人公は 暇があれば幼馴
染みで小学校の臨時教員のインド人の親友と蔓んでいた。
一方、同じ街にはもう1組の2人組がいて、その1人の父親
は宝くじで1000万ドル当てたのに、息子には何の恩恵も与え
ず金を使い果たそうとしていた。そのため殺し屋を雇って父
親を殺す算段を始めた息子は、その手付けが10万ドルと聞か
される。
ところがそこでも手を汚したくない息子は、「呼べばすぐ来
る見知らぬ他人」に銀行強盗をさせることにし、ピザの宅配
で呼んだ主人公を拉致、爆弾ヴェストを装着させて銀行強盗
を強要することに。
このためにっちもさっちも行かない事態となった主人公は、
親友のインド人と共に銀行強盗を敢行するが…
かなり特殊なシチュエーションの作品だが、そのシチュエー
ションを見事に活かし切って、屈託なく笑える作品に仕上げ
られていた。それは『ゾンビランド』の時と同じで、かなり
やばい展開でも気持ち良く笑うことができたものだ。
共演は、昨年11月紹介『デュー・デート』などのダニー・マ
クブライド、「ローリング・ストーン」誌で<まさに今のコ
メディアン>と賞賛され、MTV賞の司会なども務めるアジ
ズ・アンサリ。
さらに2007年10月紹介『俺たちフィギュアスケーター』など
のニック・スウォードスン、今年3月紹介『世界侵略:ロサ
ンゼルス決戦』などのマイクル・ペーニャ、2003年3月紹介
『メラニーは行く』などのフレッド・ウォードらが脇を固め
ている。
脚本は、元スコット・ルーディンのアシスタントで、その後
にパラマウント社のエグゼクティブなども務めたマイクル・
ディリバーティ。因にこの脚本は、2010年版「ブラック・リ
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11月20日(日)
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