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On the Production
by 井口健二
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■花子の日記、51、歴史は女で作られる、タンタンの冒険、パーフェクト・センス、セカイの向こうに、ドライブ、フラメンコ/フラメンコ
オスカー受賞者のスティヴン・スピルバーグ監督とピーター
・ジャクスン監督が挑んだ。
なお計画では3作が製作される予定で、本作はその第1作。
その監督はスピルバーグが担当している。
物語は、原作の第11巻「なぞのユニコーン号」(1943年刊行)
と第12巻「レッド・ラッカムの宝」(1944年刊行)に基づくも
ので、そこに第9巻「金のはさみのカニ」(1941年刊行)のエ
ピソードが加味されている。
ここで主人公のタンタンは、蚤の市でユニコーン号という帆
船の模型を手に入れるが、その直後から怪しい男たちに付き
纏われるようになる。そして自宅が襲われ、帆船の模型は盗
まれるが…。それはタンタンを新たな冒険へと誘うことにな
る。
物語の舞台はベルギー、カリブ海、そしてサハラ砂漠。まさ
に世界を股に掛けた大冒険が繰り広げられる。
しかもその映画化は、『LOTR』などのVFXを手掛けた
ニュージーランドのWetaディジタルが新開発したモーション
キャプチャーを使って、原作の背景、キャラクターをそのま
まに映像化したもので、正にエルジェの世界がそのまま再現
されている。
これこそが、「初めて読んだときから、新たな発見の旅路を
共にする運命だとずっと信じてきた」というスピルバーグが
示した究極の映画化の実現のようだ。
モーションキャプチャーの演技と声の出演はジェイミー・ベ
ル、アンディ・サーキス、ダニエル・クレイグ。それに今年
10月紹介『宇宙人ポール』のニック・フロストとサイモン・
ペッグ。さらにトビー・ジョーンズ。そして愛犬スノーウィ
も活躍する。
なお、映画化は3Dでコミックスの舞台がリアルに映像化さ
れている。ただし、主人公の名前は日本ではフランス読みの
「タンタン」で知られているが、今回は英語の台詞なので原
語は「ティンティン」。字幕は「タンタン」だがその辺が気
になる人は、吹き替え版で楽しんだ方が良いかも知れない。
なお映画化の第2作は、“Prisoners of the Sun”の副題で
ジャクスン監督による計画が進行しており、監督が撮影中の
“The Hobbit”を完了し次第に着手することになっている。
題名から察するにペルーが舞台の作品になりそうだ。
『パーフェクト・センス』“Perfect Sence”
2003年『猟人日記』などで評価されるイギリスの監督デヴィ
ッド・マッケンジーが、一風変わった終末世界を背景にして
描いたラヴ・ストーリー。
始まりは、人々がいきなり悲嘆の感情を示した後で嗅覚を失
うというもの。その「疫病」は瞬く間に世界に蔓延する。そ
して主人公の1人は感染症が専門の女性病理学者で、彼女は
疫病の研究に従事するが病原菌などは検出されない。
もう1人の主人公はプレイボーイのシェフ。前の彼女を一方
的に振った直後の彼は、休憩に出てきた厨房の裏庭で、同じ
裏庭に面した部屋に住む女性病理学者に声を掛ける。そして
ベッドを共にした2人に悲嘆の感情の波が押し寄せる。
人間は嗅覚が無くなると食べ物の美味しさが半減する。この
ため主人公の務めるレストランも開店休業に追い込まれる。
これに対し主人公らは、味を強くした料理を提供して客足を
取り戻すのだが。「疫病」は次に人々の味覚を奪い去る。
こうして次々に窮地に追い込まれながらも、何とかそれを克
服しようとするシェフらの努力と、そんな窮地だからこそ育
まれる2人の愛情が描かれて行く。しかし「疫病」は人々の
五感を次々に奪って行く。
脚本は、デンマーク出身のキム・フォップス・オーカソン。
地元の国際映画祭やワルシャワ国際映画祭でも受賞している
ベテラン脚本家の作品にマッケンジー監督が反応し、デンマ
ークとイギリスの共同製作で映画化が実現した。
出演は、ユアン・マクレガーとエヴァ・グリーン。マクレガ
ーは『猟人日記』でも監督と組んでおり、待望の再会となっ
ている。そこに2006年『007/カジノ・ロワイヤル』など
のグリーンが参加したものだ。
他には、2006年6月紹介『マッチ・ポイント』などのユエン
・ブレムナー、2003年7月紹介『閉ざされた森』などのコニ
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11月13日(日)
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