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On the Production
by 井口健二
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■ルルドの泉、人生はビギナーズ、インモータルズ、デビルズ・ダブル、UGLY、スイッチ、ウクレレ、ジョージ・ハリスン+Oscar/Animation
ダイの愛人役には、2002年9月紹介『8人の女たち』などの
リュディヴィーヌ・サニエが扮している。
他に、昨年2月紹介『グリーン・ゾーン』に出演のラード・
ラウィ、今年1月紹介『光のほうへ』に出演のダール・サリ
ム、2008年1月紹介『君のためなら千回でも』に出演のナセ
ル・メマジアらが脇を固める。
そしてクーパーは、もちろん風貌などは実物とは多少異なる
のだが、エキセントリックなウダイと陸軍兵士で沈着冷静な
影武者とを見事な対比で演じており、これにはオスカーの呼
び声も理解できるところだ。
なお映画の中にはサダム・フセインと影武者も登場するが、
こちらはそっくりさん。実は、先日観戦したサッカー試合の
エキビジションで、マラドーナのそっくりさんが出場し、そ
のチームの監督もマラドーナのそっくりさんという仕掛けに
大笑いしたもので、今回はそれを思い出しても笑えてしまっ
た。
ウダイの悪行がもっと酷かったのではないかという感じもあ
るが、クーパーの怪演ぶりも面白く観られる作品だ。
『UGLY』
1998年に侯考賢監督『フラワーズ・オブ・シャンハイ』など
を担当した音楽家半野喜弘のアイデアから、2005年『スリー
ピングフラワー』などの柿本ケンサクが監督、2002年6月紹
介『ピンポン』などの窪塚洋介主演によるパリを舞台にした
男女の物語。
窪塚扮する主人公は腹違いの兄を訪ねてパリのアパルトマン
にやってくる。しかし訪ねた部屋に義兄の姿はなく、ルーム
メイトの住人たちに義兄のことを尋ねても、なかなかその話
題に触れようとしない。
しかし成り行きでそのルームメイトたちと共に暮らすように
なった主人公は、ある日、街角で1人の日本人女性と巡り会
う。そして、彼女の存在に共通するものを感じた主人公は彼
女と愛し合うようになるが…
物語の始まりは何となく『第三の男』のような感じがして、
どんなミステリーが待ち受けているのか期待したが、物語は
何ということもない男女の話だった。しかも結末が唐突では
ないのだけれど、僕にはちょっと違和感が生じてしまった。
実は、物語の背景にはそれなりにミステリーになりそうな要
素もあったのだが、本作の作者たちにはそのような嗜好はな
かったようだ。
テーマ的には、2009年9月紹介『白夜』に似たところがあっ
て、そのときにも書いた海外滞在者の孤独のようなものが描
かれた作品なのだろう。それは原案の半野が長い海外生活の
中で感じてきたもののはずだ。
それが本作の表現では、後半でかなり過激なものになってし
まうのが、物語全体の弱さになってしまった感じもした。特
に、義兄が感じていたものが映画の中で追求されない点には
多少の物足りなさも感じたところだ。
共演は、2010年3月紹介『鉄男』などの桃生亜希子。因に彼
女は柿本監督の以前の作品にも出演していたようだ。他には
フランス人らしい俳優たちが出演しているが、プレス資料に
個別の紹介はなかった。
なお本作は、8月中旬にスタートした「THEATRE TOKYO」と
いうウェブサイトで公開された作品の完全版という触れ込み
で、12月10日〜22日の期間限定で東京渋谷シネクイントにて
劇場公開される。
『スイッチ』“Switch”
カナダ人の女性が、フランスでバカンスを楽しもうと考えた
ことから始まる恐怖を描いた作品。
主人公は、カナダのモントリオールに暮らす女性のイラスト
レーター。25歳で容姿も悪くはないが、仕事運にも男運にも
見放され、今日も作品を持ち込んだ出版社で担当者が不在の
上、バカンスでしばらく出社しないと言われてしまう。
そんな彼女は応対に出た女性に食事に誘われ、その女性から
switch.comというサイトを教えられる。それはバカンスの間
だけ住まいを交換するというサイトで、保険も完備し、安心
して異国のバカンスを楽しめるというものだ。
そして数年前に利用し男もゲットしたという女性の勧めで、
主人公はパリの住居を契約し、幼い頃に住んだこともある憧
れの地にやってくるが…。そこで彼女は飛んでもない事件に
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11月06日(日)
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