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On the Production
by 井口健二
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■WAYA、ライオン・キング3D、クイック、スマグラー、RAILWAYS2、ネムリユスリカ、三銃士、サラの鍵
大杉漣らが脇を固めている。
なお石井監督は、以前から北野武監督に憧れているようで、
本作はそのようなイメージにも溢れた作品。そして出演者に
も、安藤を始め北野作品所縁の俳優が多く名を連ねている。
一方、永瀬、我修院、島田は石井作品に複数出演のようだ。
キャスティングはなかなか面白い顔ぶれで、しかも各自が生
き生きと演じている。特に妻夫木は以前から石井作品への出
演を熱望していたとのことで、その思いが伝わってくる感じ
だ。また高嶋のサディスティックな怪演ぶりも、これは話題
になりそうだ。
その他、それぞれ中国映画で主演歴のある安藤、テイ、阿部
らの中国人役も様になっているし、松雪、満島の女優陣も役
に填った好演を見せている。
ただし…、ハイスピードカメラとVFXで描かれたヴァイオ
レンスシーンでは、特に液状物の飛び散り方はかなりグロテ
スクで、それに妻夫木ファンの女性たちがどう反応するか、
その辺が多少心配にはなるところだが。
『RAILWAYS〜愛を伝えられない大人たちへ』
昨年2月紹介した『RAILWAYS』と同じ製作者、脚本家による
地方鉄道の運転士を主人公にした作品。といっても続編では
なく、舞台も登場人物も異なる独立した作品だ。
主人公は、定年を1カ月後に控えた富山地方鉄道の運転士。
35年間無事故の実績は、会社からは定年を延長して勤務を続
ける事も請われているが、彼自身は仕事を辞めて、仕事のせ
いで長年苦労を掛けてきた妻と共に余生を送りたい考えだ。
ところが妻の考えはそうではなかった。退職を1カ月後にし
たその日、元看護士だった妻は突然、また以前のように働き
たいと言い出す。そして勝手に就職を決めて来た妻に、主人
公は思わず言葉を荒げてしまうのだったが…
熟年夫婦の破局というのは結構多いようだが、特に看護士の
ような職業は経験も求められるものだし、こういう事態は起
こりやすいかも知れない。しかし僕自身が夫の立場から考え
ると、そんな妻の想いになかなか気付かないのも男性の姿で
はありそうだ。
出演は、三浦友和、余貴美子、小池栄子、中尾明慶、吉行和
子。三浦は、昨年2月紹介の作品で息子が映画デビューを飾
っており、今度は父親が登場ということになる。他に、塚本
高史、中川家礼二、立川志の輔、岩松了、仁科亜季子、米倉
斉加年、徳井優、清水ミチコ、西村雅彦らが脇を固める。
製作総指揮は前作と同じく阿部秀司、脚本も同じく小林弘利
とブラジリィー・アン・山田が担当し、監督は前作の助監督
を務めた蔵方政俊が監督デビューを飾っている。
なお、主人公が指導する若者が埼玉県所沢の出身となってい
て、その理由付けがなかなかのものだった。それから映画に
は三浦が電車を運転しているシーンが何度か登場するが、そ
の姿はVFXによるすげ替え、『ALWAYS』の製作者が面目躍
如という作品だ。
富山には先週行ったばかりで、富山地方鉄道には乗らなかっ
たが、同社が運行するバスには乗車した。また映画に登場す
る岩瀬浜の近辺も観光したので、その風情などはちょっと懐
かしくも感じられた。
これで山陰、北陸と来て次はどこの地方鉄道になるのかな、
それも楽しみなシリーズになってきた。
『ネムリユスリカ』
レイプ事件がもたらす人間の生き様を描いた作品。すでに、
オランダのロッテルダム国際映画祭やイギリスのレインダン
ス映画祭に正式出品されて海外でも評価を受けている。
バレエ教室の帰り道でレイプされ、妊娠してしまった少女。
その17年後、少女の一家には何があったのだろうか。今の一
家は、元レイプ被害者の母親と、犯罪によって誕生した娘、
そしてその祖父が川原に留めたバンの中でひっそりと暮らし
ている。
その一家の目的はただ一つ、レイプ犯を探し出すこと。その
探偵に支払う費用の捻出のため、母親はラヴホテルに出入り
してマッサージで金を稼ぎ、娘とその祖父はホテルの好意で
開けてもらった客が帰った後の部屋で入浴する。
それは絶望的に困窮した生活ではあるが、3人の絆は強い。
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09月25日(日)
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