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On the Production
by 井口健二
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■沈黙の春…、夜明け…、LIFE IN A DAY、ウィンターズ・ボーン、地球にやさしい…、ラビット・ホラー、ホワイト、チェルノブイリ+Ranger
デンティティー’』などのジョン・ホークス、今年6月紹介
『スーパー8』にも出演のデイル・ディッキー。
他に、2008年11月紹介『サラ・コナークロニクルズ』でター
ミネーター役のギャレット・ディラハント、『ツイン・ピー
クス』でローラ・パーマーを演じたシェリル・リー、本作で
映画デビューのローレンス・スウィートサーらが脇を固めて
いる。
少女が健気というのには程遠い壮絶さなのだけれど、でも何
とも儚げで、その辺りが見事に演じられている感じがした。
なお、さらに儚げな感じの幼い弟妹役も気になったが、共に
本作がデビューの新人だったようだ。
脚本と監督は、2004年“Down to the Bone”でサンダンス映
画祭の最優秀監督賞に輝き、第2作の本作では審査員大賞と
脚本賞を受賞したデブラ・グラニック。本作ではさらに、ア
カデミー賞の作品、脚色、主演女優、助演男優賞のノミネー
トも獲得した。
なお主演のローレンスの次回作は、“The Hunger Games”と
いう近未来アクションものだそうだ。

『地球にやさしい生活』
           “No Impact Man: The Documetary”
ニューヨークという世界有数の繁華な都市に住みながら、環
境にイムパクトを与えない生活を実践した作家の1年間を記
録したドキュメンタリー。
コリン・ビーヴァン。それ以前には第2次世界大戦のDデイ
秘話などの著作があるという作家が、ある日突然環境問題に
目覚め、妻と2歳の一人娘に向かって環境を汚さない(イム
パクトを与えない)生活を1年間実践すると宣言する。
ところがBusiness Week誌のライターの妻はカフェイン中毒
で、1日何杯もコーヒーを飲まないと仕事が出来ない。しか
し遠い国から運ばれてくるコーヒーは、その輸送などで環境
を汚しているものだ。
こうした妻との対立や、世間からは「無意味な行為」などと
批判も受けながら、車なし、テレビなし、ゴミなし、1年間
は新しいものは買わない、さらに6カ月後からは電気のブレ
イカーも落とすという、究極の環境にインパクトを与えない
生活が実践される。
それはかなり過激な試みだし、その一方で、たった1家族が
こんなことをしても実際の環境への貢献はほとんど無いだろ
う。そんなことは判っているが、誰かが始めることで世界が
変って行くかも知れない。そんな夢のようでもある実験が記
録されている。
現在の東京は、原発災害の影響で電力が逼迫しているとか言
われ、昼間の電車の間引きでは試写の会場間の移動もままな
らない事態になっているが、自ら率先してそれをやろうとい
う考えには敬服するところがあるのは確かだ。
そしてそんな夫の考えに、最初は反発しながらも徐々にその
趣旨を理解し協力して行く妻の姿も丁寧に捉えられていた。
それにしても、家の中でミミズを育てるというのは…、その
辺では夫にもちょっとやり過ぎ感もあった。
しかし現住所から2000km以上運ばれてくる物は環境に優しく
ないとする考え方や、何よりテレビなしというのは最も需要
なポイントで、先日の東北への緊急送電が野球中継のテレビ
を観るためという報道にも納得できたものだ。
日本の節電報道が原発保護のためのアジテーションでしかな
いのは明らかだが、本作でも電力を止めるまでには6カ月も
掛かっており、この依存を脱却するのが一番重要なことでは
あるようだ。

『ラビット・ホラー3D』
2009年9月紹介『戦慄迷宮』の清水崇監督が再度3Dに挑ん
だ作品。その主演に7月紹介『一命』などの満島ひかり、撮
影監督には、2000年『花様年華』などのクリストファー・ド
イルが日本映画に初、そして3Dにも初挑戦している。
因に本作は、前作の紹介時に少し報告されていた続編という
括りにはなっておらず、本筋のストーリーは独立したもの。
ただし前作との繋がりもそれなりに設けられていて、その辺
は前作の観客へのプレゼントという感じがいた。
主人公は失語症の若い女性。小学校で図書室の司書をしてい
るが、男子生徒などからは気持ち悪がられたりもしている。

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08月14日(日)
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