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On the Production
by 井口健二
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■ジョン・レノンNY、天国からのエール、トランスフォーマーズ/DSM、こち亀、ピラニア、一命、この愛のために撃て+Akira/Godzilla
的な日常を描いたもの。そこに両津の幼い頃の思い出が重ね
られ、その初恋の女性との思わぬ再会やそこから募る想いな
どが描かれて行く。
そして副題の通りの勝どき橋を舞台にした大事件が勃発する
ことになるのだが…。その事件の顛末や警察側の対応、それ
に犯人の動きや動機などが巧みに描かれていて、有り得ない
話ではあっても有ってもいいような、そんな納得のできる物
語になっていた。
しかもその最後を締め括るのが、VFXではない特撮による
大スペクタクル。それはアホみたいに大袈裟なものではない
が、この作品にピッタリのリアルさで、刮目に値するものだ
った。それに加えたもう一押しも、それは完璧に決まったも
のだ。
実は、僕は本作の試写を築地の松竹本社で観て、その後に月
島に在る試写室まで徒歩で向かったのだが、その間の勝どき
橋を渡るときには、子供の頃に橋を観に来た時の思い出や映
画の結末に想いを馳せた。僕のようなメカ好き男子には夢の
ような作品とも言える。
共演は、伊武雅刀、香里奈、速水もこみち、ラサール石井、
柴田理恵らテレビの出演陣に加えて、深田恭子、谷原章介、
沢村一樹、夏八木勲、平田満らがゲスト出演している。
脚本は、プレス資料には『JIN-仁-』などの森下圭子が代表
で記載されていたが、映画のエンドロールでは3人の連名に
なっており、他に脚本協力という項目でも数名が挙がってい
た。それがどういう経緯かは判らないが、脚本は相当に練ら
れたようだ。
監督の川村泰祐は、テレビ出身で劇場映画は本作が2作目だ
そうだが、プロローグのドタバタや途中に挿入される大衆演
劇の舞台面など、ギャグとシリアスのバランス感覚も良く、
全体的に丁寧に演出されている感じがした。
また、クライマックスシーンの撮影は東宝スタジオで行われ
たそうだが、砧の大プールは無くなっても、その技術はしっ
かりと継承されているようだ。
因に本作の副題は、フジテレビ製作大ヒット作品のパクリで
あることは明らかだが、実はそのフジ作品でも、撮影のため
に橋を封鎖することは認められなかった。そのことが本作で
さりげなく描かれている辺りは、ニヤリとしたものだ。
なお、本作はシリーズ化も計画されているようだが、思えば
松竹の大長寿シリーズ『男はつらいよ』も元はテレビドラマ
があったもの。そして本作は、新シリーズの開幕に相応しい
作品とも言えそうだ。

『ピラニア3D』“Piranha”
1978年公開ジョー・ダンテ監督の第1作、及び1981年公開の
ジェームズ・キャメロン監督による第2作に続く肉食魚ピラ
ニアの群れが巻き起こす恐怖・パニックを描いた作品。
前作から30年も経っているからシリーズと言うよりはreboot
と呼ばれるものだが、今回はその作品に、2006年6月に紹介
した『ハイテンション』などのフランスの新鋭アレクサンド
ル・アジャ監督が3Dで挑んだ。
物語の舞台は、湖畔にリゾート地の広がる湖。その湖で地震
が起き、湖の中央では渦が発生して近くに居た小型ボートが
引き込まれそうになる。その後そのボートは湖畔で発見され
るが、乗っていた人の姿はなかった。
一方、夏のリゾート地では若者たちによる乱痴気騒ぎが繰り
広げられ、そこにはセクシーヴィデオの撮影隊も乗り込んで
くる。そして本作の主人公である女性保安官の息子が、その
撮影隊の案内人に雇われることになるが…
さらに地震の調査にやってきた研究者たちをボートで案内し
ていた女性保安官は、そこで驚愕の事実を知ることになる。
それは200万年前に地底湖に閉じ込められた凶悪なピラニア
の群れが、地震で生じた割れ目を通って湖に出現したという
ことだった。
そしてそのピラニアの群れが、湖にいた行楽客や撮影隊、さ
らに湖畔で乱痴気騒ぎを繰り広げる若者たちに襲いかかる。
30年前の作品でピラニアは軍が開発した秘密兵器という設定
だったが、今回は地震で太古のピラニアが復活したというも
の。そのピラニアが200万年間も生き延びた理由付けは多少

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07月17日(日)
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