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On the Production
by 井口健二
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■A3DU、少年マイロの火星冒険記、ナチス偽りの楽園、はい!もしもし大塚薬局ですが、エクレール・お菓子放浪記+ニュース
ところから物語は始まる。最初に店主が値段を間違えたこと
からタイガーバームをおまけに貰った女子高生は、翌日もマ
ニュキュアを買いに来る。
こうしてその女子高生との交流が始まった女性店主は、女子
高生の恋愛指南を買って出ることになるが、それは彼女自身
の青春時代の思い出を甦らせることになる。そして女子高生
の恋の行方は意外な展開を生むことになるが…
主演は、2008年7月紹介『アキレスと亀』などに出演の円城
寺あやとAKB48のメムバーで映画初主演の小林香菜。他に、
モデルで『仮面ライダーオーズ』にレギュラー出演中の有末
麻佑子、2009年12月紹介『半分の月がのぼる空』や昨年10月
紹介『白夜行』に出演の川村亮介らが共演している。
試写前の監督の挨拶によると、普段は女子高生の映画ばかり
撮っているが、今回は自分の母親にも観て貰える作品を目指
したとのこと。その母親の世代というのはもしかすると僕の
世代なのかな。
ただまあそこにそれほどの時代性が感じられないのは、監督
の意図なのかな。それは青春の普遍性みたいなものが描きた
かったのかも知れないが、それが憧れの男子像の違いだけで
はちょっと物足りない感じがした。何かもっと女性の側の変
化みたいなものも観せて貰いたかったところだ。
でもまあ話としては悪くはないし、僕の世代から観るとそれ
なりに甘酸っぱい気分にはさせてくれたかな。それだけでも
良いとは感じられる作品だ。
上映時間は48分の作品で、東京での一般公開はレイトショウ
のみで行われるが、その際には、2009年に発表された監督の
短編2本が併映されるようだ。
『エクレール・お菓子放浪記』
1975年の日本ノンフィクション賞を受賞した作家西村滋が、
その翌年に発表した自伝的小説の映画化。元はテレビドラマ
の脚本家だった西村が作家活動に専念する切っ掛けになった
作品だが、発表までには15年が費やされているそうだ。
題名からは菓子職人の修業の話を連想させるが、物語は西條
八十作詞の「お菓子と娘」の歌に支えられて戦中・戦後を生
き抜いた戦災孤児の少年を描いたもので、その少年が人々に
希望をもたらすお菓子のような存在だったということのよう
だ。
その少年は戦災孤児で、孤児院には何度も収容されるが脱走
を繰り返し、ついに感化院に入れられてしまう。そこには、
ホワイトサタンと呼ばれる鬼のような教官や、少年に歌を教
えた女性教師などもいた。
やがてその女性教師が実家に戻るために退職した頃、少年は
年配の女性の家に引き取られることになるが…。その女性に
よって映画館に働きに出されたり、さらに女性の家を飛び出
して旅回りの一座に加わったり…。そんな少年の背後には戦
争の影も忍び寄っていた。
主演は、2009年のミュージカル『レ・ミゼラブル』の舞台な
どで注目される吉井一肇。特に「お菓子と娘」を歌うシーン
は見事だが、戦災孤児にしては顔立ちがふっくらしているの
はご愛嬌だ。
共演は、歌を教える女性教師役に2007年1月紹介『ケータイ
刑事2』に銭形雷役で主演していた小出早織(現在の芸名は
早織だけになっているようだ)と、少年を引き取る女性役で
いしだあゆみ。
他に、遠藤憲一、高橋恵子、林隆三、竹内都子、それに舞台
俳優で映画初出演の村松良太らが脇固めている。
僕の父親は兵隊にも行っているから主人公の少年よりもう少
し上の世代だが、戦中・戦後の混乱期の苦労はいろいろあっ
たようだ。そんな中で成功を納めた経緯は様々だろうが、こ
の少年のような物語も多分ごまんとあったことだろう。
そしてそんな話は、少し前まではテレビや映画でも良く語ら
れていたものだが、何時の間にかそんな時代も過ぎてしまっ
たようだ。だから今日この作品を観ると、僕にはある種の懐
かしさも感じられたし、またそれが新鮮であったりもしてし
まった物だ。
* *
ニュースの最初はアカデミー賞の結果だが、正直に言って
あまり報告したくもないような結果になってしまった。確か
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03月06日(日)
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