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On the Production
by 井口健二
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■ピラニア、ウォールS、わたしを離さないで、恋とニュースのつくり方、WE DON'T CARE、ランナウェイズ、カンフーサイボーグ+ニュース
いうところだろう。それと、今年10月紹介『ゴースト』の時
に述べた脚本家の責任とは、この映画のエンドクレジットの
ような形ででも、果たしてもらいたいものだ。

『WE DON'T CARE』“We Don't Care About Music Anyway”
2009年のスイス・ロカルノ映画祭の批評家週間など40以上の
映画祭に招待され、一部では受賞もしているというドキュメ
ンタリー作品。
「東京、西暦20XX年、砂漠のようなゴミ捨て場、そこに巨大
都市の姿が垣間見える」という宣伝コピーにも誘われて映画
を観に行ったが、内容は前衛音楽をライヴで奏でるミュージ
シャンたちの活動を追った作品だった。
でもまあ、この種の音楽にも興味がない訳ではないし、結構
面白い演奏などもあって、それなりに楽しめる作品ではあっ
た。つまりまあ、20XX年は2001年でも2010年でも良い訳で、
その点で言えば宣伝コピーも間違いではないものだ。
そして登場するミュージシャンは、チェリストの坂本弘道、
ホーミー歌手の山川冬樹、ギターリストの大友良英、ターン
テーブリストのL?K?O。その他には、Numb、Saidrum、Umi no
Yeah!!、Kirihito、Goth-Trad、Hikoという名前が並んでい
た。
また、作品では東京のいろいろな風景や街角のノイズなども
フィーチャーされて、それらの映像や音声に合わせた彼らの
演奏や、彼らのライヴシーンの映像などが挿入されている。
さらに作品では、彼らが座談会のように自分たちの音楽につ
いて語り合っている場面も登場するが、そこではロッカーの
ような過激な発言はなく、政治や社会などにはある意味無頓
着に音楽を追求している姿も伺えた。
つまり彼ら演奏は前衛であり、そのスタイルは過激ではある
が、反体制というレッテルではないという辺りのもののよう
だ。とは言え、自分の頭を拳で叩いたり、チェロの支えの金
属棒にグラインダーを当てて火花を散らしたり…。
ただしそれらの演奏は、それなりに観ていて面白かったし、
まあ僕的には気分を害するものではなかった。もちろん純粋
に音楽をしている人たちには眉を顰たくなる様なものではあ
ろうが、それが前衛と言うことにもなるのだろう。
監督は、1979年生まれソルボンヌ大学で学んだというセドリ
ック・デュピールと、1981年生まれ東京の映画美学校で学ん
だというガスパール・クエンツの2人。
デュピールはソルボンヌ時代にインドに行き、これも共同監
督で製作した作品の評価が高いようだ。一方のクエンツは長
編作品は初めてだが、以前には『チンピラ・イズ・ビューテ
ィフル』なんていう短編作品もあるとのことだ。
なお本作の公開は、来年1月15日から東京渋谷ユーロスペー
スにてレイトショウ上映されるものだが、その前に公開記念
のライヴ・イヴェントの企画もあるようだ。

『ランナウェイズ』“The Runaways”
1976年にジャパン・ツアーも行った人気ガールズ・ロック・
バンドの実話を描いた作品。
1975年、当時15歳のジョーン・ジェットはロック・ミュージ
シャンを目指していた。しかし当時のロックは男のもので、
黒の革ジャンにジーンズ姿でギターを習いに行っても女には
ロックは教えないの一点張り、持参のエレキをアンプに繋ぐ
とも許されなかった。
そんなジョーンがプロデューサーのキム・フォーリーに出会
い、ガールズバンドの可能性を直感したフォーリーは同じ境
遇にいたドラマーのサンディを紹介。そしてギターのリタ、
ベースのロビンらを集めてバンドの練習が開始される。
一方、シェリー・カーリーは恵まれない家族環境の中で自分
自身に違和感を感じていた。そんな彼女をキムが見出し、廃
車のトレーラーで練習していたバンドに紹介。その場の即興
で作られた『チェリー・ボム』を歌いこなしたシェリーは、
ヴァーカルに採用される。
こうして、ロック界初とも言われる全員10代の少女たちによ
るバンドが結成される。ところがその練習たるや、演奏中に
餓鬼たちが空缶を投げ付けるといった過激なもの。しかし初
の全国ツアーに出たときには、演奏中に罵られても挫けない

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12月05日(日)
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