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On the Production
by 井口健二
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■世界のどこにでもある場所、君を想って海をゆく、MAD探偵、食客2、ギャングスタ、戦火の中へ、HPと死の秘宝、ジャライノール
リーズも大評判になったというヒット作の第2弾。ただし映
画化の前作も手掛けたプロデューサーが今回仕掛けるのは、
映画オリジナルのストーリーだそうで、俳優陣も総入れ替え
でこの第2弾に挑んでいる。
元々が韓国家庭料理をテーマにして人気を得たというシリー
ズが本作でテーマとするのはキムチ。韓国中でその味わいは
千差万別、正にお袋の味とも言われる食材を真正面に据えて
物語が展開される。
物語の中心となるのは、幼い頃から姉弟のように育ってきた
男女。ところがある日、女性は料理店を切り盛りする実母の
口煩い教えを嫌って家を飛び出し、以来10数年、海外でNo.1
と尊敬される韓国料理人となって帰国してくる。
一方、幼くして母親と離別し料理店に引き取られた男性は、
食材にも精通し料理も一流の料理人に育っていた。しかし彼
が育った料理店は、女性店主が病気がちで休業中。しかもそ
の店は再開発地区の中にあって地上げの攻勢を受けていた。
そんな彼らの前に提示されたのは、政府主催の料理人対決。
「キムチ大会」と名付けられたその3番勝負を、2人は料理
店の存続を賭けて戦うことになる。そして2人の料理人は、
それぞれの母親への想いをその料理に表現して行く。
テーマがキムチということで、僕らにも親しみのある韓国食
材ということになるが、やはりその知識は韓国の人ほどには
ない訳で、そんな目で見てこの映画には、その歴史から様々
な調理法にまで、キムチのいろいろな側面が描かれている感
じがした。
もちろんその理解のレヴェルは韓国の人には遠く及ばないの
だろうが、それはそれで面白く観られた作品だった。それに
本作では、物語の発端が日本という辺りにもそれなりの共感
が湧いたものだ。
出演は、韓国コメディドラマの女王ともいわれるキム・ジョ
ウンと、昨年8月に紹介したポン・ジュノ監督作品『母なる
証明』で、韓国2大映画賞とされる大鐘賞と青龍賞の助演男
優賞をW受賞したチン・グ。主演の2人は3カ月間調理の特
訓を受けて役に挑んでいるそうだ。
脚本と監督は、コロムビア大学の芸術科大学院を出たという
ペク・ドンフン。すでに短編映画での評価も高いという俊英
が初の長編映画に挑戦したものだが、ちょっと臭いコメディ
リリーフも含めてどちらもそつなく纏めている感じがした。

『ギャングスタ』
2009年5月紹介『僕とママの黄色い自転車』や8月紹介『引
き出しの中のラブレター』の原作、そして7月紹介の『虫皇
帝』では監督業にも乗り出している作家・新堂冬樹の原作に
よる映画化作品。
原作者には白冬樹と黒冬樹の2面性があるのだそうで、上記
の5月、8月の作品は共に白冬樹の原作と言える。それに対
して黒冬樹と言われる主に闇金融の世界を描いた作品は、オ
リジナルヴィデオ製作されており今まで観る機会はなかった
ものだ。
それでまあ今回はヤンキーものということで、黒冬樹の片鱗
が観られるかなと思ったのだが、作品はどちらかというと青
春ものの雰囲気が強く、これは黒冬樹というより白に近いか
もしれないものに感じられた。
物語の舞台は、偏差値20以下の落ちこぼれ工業高校。そして
主人公は、その学校で「ギャングスタ」と呼ばれるヤンキー
トップの座を目指すと豪語して入学してきた川谷銀二。しか
しそこには四天王と呼ばれる4人の強者がいて…
ということで、単純に喧嘩上等の暴力映画が展開されるかと
思いきや、映画は多少の捻りもあって、何と言うか主人公銀
二の成長ドラマのようなものにもなっていた。しかもそこに
友情なんて言葉が出てくるから…もちろん映画はB級の作品
なのですが。
出演は、銀二役にテレビ「クイズ!ヘキサゴンU」などにも
登場している崎本大海。他に久保田悠来、また「テニスの王
子様」出身の佐々木喜英、滝口幸広など、若手のイケメン俳
優たちが勢揃いしている。
監督は、2009年2月紹介『非女子図鑑』で片桐はいり主演の
「男の証明」という作品を演出していた川野浩司。この監督

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11月14日(日)
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