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On the Production
by 井口健二
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■ソウル・キッチン、PA第2章、ザ・タウン、ベストセラー、イップ・マン、モンガに散る、ワラライフ、死なない子供+製作ニュース
幼女の様子がおかしくなる。そしてその幼女が「お姉ちゃん
から聞いた」として語り始めた事件は…
過去に起きた事件の被害者の霊が作家に取り憑いてその事件
を語らせるという展開は先にもあると思うが、それを盗作問
題に絡ませるという辺りが新規かな。さらに他にもいろいろ
と仕掛けがあってそれなりに楽しめた。
ただし、後半に登場するアクションはちょっとくどい感じが
して、犯人たちとのごちゃごちゃした遣り取りは、先が読め
てしまった辺りでもう少し端折っても良いかなとも思えた。
でもまあ2重3重の仕掛けは楽しめたが。
それと、被害者なら知っているはずの出来事に隠されている
部分があるのはちょっとアンフェアかな…。特に真犯人の部
分は先が読めてしまうから見過ごされ易いが、被害者がそれ
を伝えなかった理由付けがあっても良いと感じた。
主演は、2009年『TUNAMI』などのオム・ジョンファ。
本作では7kg減量して傷心の作家役に挑んでいるそうだ。他
に、今年7月紹介『シークレット』などに出演のリュ・スン
リョン、昨年5月紹介『セブンデイズ』などのチェ・ムソン
らが脇を固めている。
脚本・監督は、助監督出身で本作が長編デビュー作というイ
・ジョンホ。すでに短編映画で映画祭受賞歴などもあるよう
だが、助監督としても数多くの作品に関っているようで、本
作でも落ち着いた演出ぶりを見せている。
なお本作に関しては、香港映画『インファナル・アフェア』
をリメイクして2007年アカデミー賞で作品賞を含む4部門を
受賞した『ディパーテッド』などを仕掛けた在米の韓国人プ
ロデューサー=ロイ・リーによるハリウッドリメイクの計画
が進行しているそうだ。
映画に登場する村には、10月紹介『黒く濁る村』のような雰
囲気もあって、それは日本も含めた極東アジアに特有のもの
のようにも感じるところだが、それがハリウッドリメイクで
どのように描かれるかも興味の湧くところだ。
『イップ・マン/葉問』“葉問2”
故ブルース・リーが唯一正式に教え受けた師匠とされるカン
フー達人の生涯を、香港映画界におけるリーの正統な後継者
とも言われる『セブンソード』などのドニー・イェンの主演
で描いた作品。
中華人民共和国が建国された1949年、中国武術・詠春拳の達
人イップは中国広東省佛山から家族を連れて香港に移住して
くる。そしてそこでの貧しい暮らしの中、イップは武館を開
くのだが…、万事に控え目の彼の許にはなかなか弟子になる
者は現れない。
しかし1人の若者が無謀にもイップに挑戦し、その闘いで彼
の人柄に触れた若者の仲間達が徐々に集まり始める。ところ
がその動きは香港武術界の目にも留まることになる。そのた
めイップは香港武術界を仕切る洪拳の師匠ホンとの熾烈な戦
い余儀なくされる。
一方、その時代の香港には支配者として君臨しようと意図す
るイギリス人たちの悪徳の陰謀が渦巻いていた。そしてその
手先となって香港武術界を支配しようとする連中も存在して
いた。そんな中でイップは清く正しい武術の伝承をしようと
するが…
イェン以外の出演者では、ホン師匠役に扮するサモ・ハン・
キンポー。ブルース・リーと共演もしている大ベテランが、
本作ではアクション監督も兼ねて登場している。特にイップ
とホンの闘いを描いたアクションシーンは、いろいろトリッ
キーで面白かった。
また、香港映画界の若手のホープと言われる2007年3月紹介
『女帝/エンペラー』などに出演のホァン・シャオミンが、
イップの1番弟子の役で出演している。
なお、本作は今年の東京国際映画祭でも上映されていたが、
実は本作の前に2008年製作の『イップ・マン/序章』という
作品があって、その作品は映画祭では上映されたが、諸般の
事情で一般公開は待機中となっている。
その事情については本作巻頭でも多少理解できるものだが、
まあいろいろ微妙ではありそうだ。ただし、本作の日本での
観客動員が5000人を超えたら『序章』の日本公開も可能にな
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11月07日(日)
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