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On the Production
by 井口健二
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■マザーウォーター、ふたたび、レオニー、ビッチ・スラップ、裁判長!ここは懲役4年でどうすか、ドアーズ、義兄弟、リトル・ランボーズ
襲った過去の出来事が挿入されて行くが、それはやがて驚愕
の事実へと繋がって行くことになる。
主人公の3人を演じるのは、モデル出身で本作が映画初出演
のジュリア・ヴォス、ジュリアード学院のオペラ演劇科卒で
2008年『アイアン・マン』にも出演のアメリカ・オリヴォ、
TVシリーズに出演し格闘技の訓練も受けているというエリ
ン・カミングス。
他には、TVシリーズ“Xena”などに出演と監督も務めてい
るマイクル・ハースト、TVシリーズ“General Hospital”
などのレギュラー出演もしているロン・メレンデス、同じく
“General Hospital”にレギュラー出演のミナエ・ノジらが
共演している。
因にノジは、カリフォルニア生まれの日系人だそうで、劇中
ではかなり怪しげな日本語を操っているが、エンディングの
クレジットでは自らの役に合わせた歌も披露しているなど、
頑張っているようだ。それに麻宮サキばりのヨーヨー捌きも
面白かった。
製作・脚本・監督のリック・ジェイコブスンは、ロジャー・
コーマンの門下生だそうで、コーマンの下で15本の長編映画
を手掛けた後にTV界に転向、TVでは“Xena”などを含め
100本以上を監督しているそうだ。
そのジェイコブスンが、1950年代から70年代のB級映画の雰
囲気を取り戻したいとして作り挙げたのが本作で、そこには
タランティーノ=ロドリゲスによる『グラインドハウス』の
影響があるとされる。
ということで本作では、その『グラインドハウス』でも話題
になったスタントウーマンのゾーイ・ベルが、出演及びスタ
ント・コーディネータとして参加しているのも注目されると
ころだろう。
日本での公開はR15+指定とのことで、その手のシーンも登
場するが、それが正しくB級という感じで、これこそが映画
本来(?)の楽しさを観せてくれる作品になっている。

『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』
北尾トロ原作による実際の裁判法廷のルポルタージュから、
『世にも奇妙な物語』などのアサダアツシが脚色して、今年
3月紹介『ソフトボーイ』などの豊島圭介監督で映画化した
裁判所ドラマ。
主人公はあまり売れていない放送作家。今もプロモーション
ヴィデオまで作った企画が没にされ、腐っていたところに裁
判の映画を作らないかと誘いが舞い込む。彼には以前に1本
だけ映画化の実現した裁判物の脚本があったのだ。
その誘いを受けて取材のために訪れた地方裁判所では、いく
つもある法廷で、他人の目からは馬鹿馬鹿しくも観える人間
ドラマが繰り広げられていた。そんな中で彼には傍聴マニア
の仲間もでき、彼らとの交流の中で裁判所のいろいろな事情
も判ってくる。
ところがある日、彼は裁判所一の美人と名高い女性検事から
「楽しいでしょうね。他人の人生高みの見物して!」と言わ
れてしまう。それは彼にある決意をさせることになるが…
主演は、お笑いコンビ「バナナマン」の設楽統。その脇を片
瀬那奈、蛍雪次朗、村上航、尾上寛之、鈴木砂羽らが固め、
さらに、堀部圭亮、斉藤工、大石吾朗、前田健、日村勇紀、
モト冬樹、平田満らが出演している。
何とも軽い感じの題名や出演者の顔ぶれなどからは、ただの
おふざけ作品かとも思って観に行ったが、予想外にしっかり
した作品だった。その中で前半のいろいろな法廷を見聞する
シーンには何ともおかしな裁判の模様が紹介されるが、これ
らは恐らく実話なのだろう。
その一方で後半のドラマには、もちろんフィクションなこと
は見え見えだが、それなりに感心もさせられたし、こんなこ
とあってもいいかなあと思えるお話が、ちゃんとコメディに
して描かれていた。
裁判員制度の実施で、日本の裁判所もいろいろ変わってきて
いるようだが、そんな事実も踏まえてのこの作品は、それな
りに解りやすく日本の裁判の現状を伝えているようでもある
し、いろいろな点で面白く観ることの出来る作品だった。

『ドアーズ/まぼろしの世界』“When You're Strange”
1971年、ヴォーカリスト=ジム・モリソンの死去によって終

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08月29日(日)
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