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On the Production
by 井口健二
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■神様ヘルプ、シークレット、花と蛇3、七瀬ふたたび、ルイーサ、nude、魔法使いの弟子、コップ・アウト+製作ニュース
今回の芦名星が7代目。因に多岐川は少年ドラマシリーズと
『芝生は緑(家族八景)』で2度演じている。
その芦名は、2007年11月紹介『シルク』や、2009年2月紹介
『鴨川ホルモー』などにも出演しているが、7人の中では正
にNo.1のクールビューティという感じで、最も原作に近いと
して原作者もお気に入りのようだ。
という『七瀬ふたたび』の初の映画化だが、物語は原作の特
に後半を中心にまとめられており、七瀬らの能力を使うこと
に対する葛藤など、正にSFファンが観たいところを映画化
してくれたという感じの作品だ。それが一般の観客にどのよ
うに理解されるか…、多少心配なくらいにSFファン向けに
作られている。
脚本は、2008年7月紹介『攻殻機動隊』や平成版『ガメラ』
シリーズなどの伊藤和典。監督は、1986年『星空のむこうの
国』や2007年12月紹介『東京少女』の小中和哉。なお2人に
よる企画は10年以上も前からあったそうで、正に日本SF映
画の中心の2人が渾身の力で作った作品になっている。
共演は佐藤江梨子、田中圭、前田愛、ダンテ・カーヴァー、
今井悠貴。他に平泉成、吉田栄作らが出演。
物語の発端となる列車の脱線転覆シーンなどのVFXも丁寧
に描かれ、さらにテレパシーの表現などにも工夫が凝らされ
ている。ただ、原作に忠実な展開はかなり暗い影を持ってい
るもので、その辺がどう作用するか。
一般公開は10月2日からの予定だ。
『ルイーサ』“Luisa”
長年、猫と一緒の1人暮らしだった初老の女性が、ふとした
切っ掛けから社会の波に翻弄される姿を描いたアルゼンチン
の作品。
主人公のルイーサは、毎朝、夜も明けぬ時刻に飼い猫のティ
ノに起こされ、黒い服装に身を包み早朝の路線バスで職場に
向かう。そこは霊園、そこには(1943-1978)(1971-1978)
と記された彼女の家族の墓標もある。
そして午後3時半までの霊園での仕事が終わると、彼女は大
女優の家に行き、そこで掃除やお茶の用意などの家事と、女
優の話し相手や女優が居ない間の留守番の仕事もしているよ
うだ。そんな日々がもう30年近くも続いたある日。
その朝はティノが起しに来なかった。そして赤い靴箱を抱え
て彼女が出勤すると、霊園は事業刷新で彼女の仕事は無くな
ると通告される。また女優の家では、芸能界を引退して田舎
に引っ越すので仕事が無いとも言われてしまう。
さらにペットの火葬を依頼しようとすると、費用は300ペソ
と教えられ、貯金もほとんど無く退職金も出なかった彼女に
は、その費用を捻出することができなかった。そこで、取り
敢えずはティノの遺体を冷凍庫に仕舞って、彼女は行動を開
始するが…
今まではバス通勤で、地下鉄の乗り方も知らなかったような
女性に世間の荒波は容赦なく襲いかかってくる。そんな中で
も彼女は荒波に立ち向かって行こうとする。
僕も、一昨年に長年努めた勤務先から突然馘を言い渡された
経験者だが、アルゼンチンの経済もあまり良いとは聞かない
し、これは本当に大変なことなのだろう。とは言え、この主
人公のやることもかなり飛んでいて、それが可笑しさを醸し
出す作品だ。
出演は、ブエノスアイレス出身の舞台女優でスペインやヨー
ロッパでも受賞しているというレノール・マンソと、カナダ
生まれのジャン・ピエール・レゲラス。素晴らしい演技を見
せるレゲラスは本作が遺作だそうだ。
監督は、ドキュメンタリー出身で本作が長編デビュー作のゴ
ンサロ・カルサーダ。映像にはちょっとファンタスティック
なところもあり興味を引かれた。なお、劇中ブエノスアイレ
スの地下鉄がかなり出てくるが、残念ながら丸の内線塗装の
車両は観られなかった。
『nude』
昨年12月紹介『ランニング・オン・エンプティ』などに出演
の女優みひろが執筆し、講談社から書籍出版された同名の自
伝的小説からの映画化。今年5月にも『結び目』という作品
を紹介している小沼雄一監督の作品で、小沼監督には今年は
他にもう1本あるようだ。
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07月18日(日)
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