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On the Production
by 井口健二
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■怪談新耳袋・怪奇、TENBATSU、REDLINE、夏の家族、プチ・ニコラ、ソルト+製作ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『怪談新耳袋・怪奇(ツキモノ/ノゾミ)』
怪奇な実話を全国から集めたと称する『新耳袋』は、角川文
庫版全10冊の合計が120万部を突破したという原作からの映
画化。
物語は2つあって、まず「ツキモノ」と題されたその1話目
は、主人公が通学のバスで出会った無気味な女性が、主人公
の学ぶ学園を襲って次々超常的な力で学生や先生を殺して行
くというもの。
その間に犯罪行為者の憑移などは描かれているのだが、肝心
の女性と学園あるいは主人公との因果関係が全く描かれない
ので、作品はただの殺人鬼映画。殺人鬼の行動に脅かされは
するが、例えば後で夢に観るようは恐怖は一切感じられなか
った。
「ノゾミ」と題された2話目は、若い女性が他人には観えな
い幼女の姿を夢の中や現実の世界でも観るようになり、それ
が彼女を追い詰めて行く…という物語。そこには彼女自身の
過去が関わっているようなのだが。
この作品も、恐怖という意味ではかなり疑問に感じる。実際
にこの作品で恐いと言えるのはショックシーンであって、そ
れはホラーの本質ではないし、この作品に背筋がぞくぞくし
てくるような恐怖は感じられなかった。
脚本は、昨年5月紹介『呪怨 白い老女』などの三宅隆太、
監督は2000年『忘れられない人々』や2004年3月紹介『犬と
歩けば』などの篠原誠。因に監督はJホラーの巨匠たちが一
目置く「恐怖映画の最終兵器」だそうだ。
それでなぜ一目置くかと言うと、監督が黒沢清監督との対談
集を出していたりするからのようなのだが、黒沢清監督の恐
怖映画が好きな自分としては、ショックシーンの羅列に過ぎ
ない本作はどうなの?と言いたくなった。
ショックシーンというのはお手本が数多くあって、それを忠
実になぞれば誰にでも演出できる。というかカメラマンやス
タッフキャストにお手本を観せて、こんな風にやりたいと言
えば、監督は何もしなくても出来てしまうようなものだ。
しかし恐怖シーンは、心理描写や状況描写の積み重ねだから
監督に相当の見識と力量が無くては造り出すことが難しい。
ただ本作の篠崎監督にその見識や力量が無いとは思えないの
だが、これはやはり選ばれた題材自体が恐怖映画には向かな
かったのかな。
主演は両作共に真野恵里菜。共演は、それぞれ坂田梨香子、
鈴木かすみ、吉川友、北原沙弥香、伊沢磨紀、秋本奈緒美ら
が出演している。

『TENBATSU』
2008年1月紹介『うた魂♪』や、同年12月紹介『うたかた/
震える月』などに出演の吉川まりあ、手塚治虫原作で2000年
公開の『ガラスの脳』などに出演の吉谷彩子、「2009日テレ
ジェニック」の小泉麻耶らの共演による学園ホラー作品。
学園の開かずの倉庫に仕舞われた過去の学園祭で使われた絵
馬掛けを巡って、そこで他人を呪うとその相手に天罰が落ち
ると共に自分にも仕返しがある…という学園伝説をテーマに
したお話。
主人公はホラー文学研究会に所属する女子生徒。その研究会
の仲間の1人が「ホラー文学賞」の佳作に入選し、そこから
確執が生まれ始める。一方、学園祭に向けて機関誌の企画を
練り始めた主人公たちに、学園七不思議のテーマが提案され
る。
その七不思議とは、過去の学園祭で使われたまま開かずの倉
庫に仕舞われた絵馬掛けを巡るものだったが…。主人公は、
そのときは話を一笑に付したものの、その内容は気掛かりと
なる。そして、文学賞を受賞した生徒に天罰が落ちる。
お話としては多少目新しいところも在ったかな。でも全体と
して学芸会気分というか、恐怖感のちっとも湧かない作品だ
った。でもまあ、出演者たちには経験だろうし、これで将来

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07月25日(日)
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