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On the Production
by 井口健二
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■アデル、にくめハレルヤ、4匹の蠅、小さな命が呼ぶとき、レギオン、サバイバル・オブ・ザ・デッド、華麗なるアリバイ+製作ニュース
病の進行に心を痛めていた。病名は糖源病2型、発見者の名
前からポンペ病とも呼ばれるその病気は、幼児期に発症した
場合の生存期間が最長9年と言われ、上の子メーガンはすで
に8歳になっていた。
だが、体内に蓄積されたグリコーゲンを分解してエネルギー
に変えるための酵素を先天的に持たないことによって生じる
その病気の治療法は、治療薬の開発以外にないと言われなが
らも患者の希少性から企業の利益が見込めず、開発もままな
らなかったのだ。
そんなある日、メーガンが3度の心停止を引き起こす。しか
しその状態から奇跡的に回復したメーガンの目は、笑顔を作
ることもままならない身体で父親に生きる意志を強く訴えか
けていた。
その姿を目の当りにした父親は、文献調査の中で見付けた大
学の研究者の許を訪ねる。その発表はポンペ病に対する最先
端の治療法を示していたが、理論だけで臨床にも至っていな
かった。
しかも先端的な研究には大学の予算も付かず、研究は理論考
察より先には進めなかったのだ。そんな状況に学者は、50万
ドル用意できたら開発のためのヴェンチャー企業を立上げら
れると提案するが…
この提案に対して父親は、まず基金を立上げ、ついでヴェン
チャー企業の立上げ、さらに企業買収など、ビジネスマンと
して培ってきた全てのノウハウを駆使して、我が子を救う新
薬の開発へと邁進して行く。
出演は、父親役にブレンダン・フレイザー、学者役に製作総
指揮も兼ねているハリスン・フォード。他に、『ベンジャミ
ン・バトン』などのジャレット・ハリス、『奇跡のシンフォ
ニー』などのケリー・ラッセルらが共演している。
実話の物語はこれほどにはドラマティックではなかったよう
だが、父親としての愛情が新薬の開発を推し進めたことは事
実な訳だし、映画化する上でこの程度の創作は許容されると
ころだろう。因に一家の名前は実話通りだが、博士の名前は
変えられていたようだ。

『レギオン』“Legion”
神の意志に逆らい続ける人類に、遂に神は怒りの鉄槌を下す
ことを決定。しかしその時、人間の心に残る愛を信じる大天
使ミカエルは神の意志に逆らい、人類救済に立ち上がる…と
いう究極の物語を描いたアクション作品。
天使が最初に舞い降りたのは大都市の下町。そこで自らの翼
を切除した天使は、銃器店で大量の武器を入手する。そして
武器を手にした天使が向かった先は、車通りもまばらな荒野
を走る街道沿いにぽつんと建つダイナー。
そこは父親と息子によって営業されていたが、父親はそこに
店を持ったことを後悔しているようだ。さらにそこには誰の
子とも知れない胎児を宿して臨月を迎えたウエイトレスがい
て、息子はウエイトレスと自分の子でもないその胎児を守ろ
うと決意していた。
他にも、年頃の娘を連れた夫婦や道に迷った黒人の青年らが
そのダイナーを訪れ、そこに天使が到着すると、やがて神が
遣わした脅威がそのダイナーを襲い始める。果たして大天使
は神の意志に逆らって人類を守り通すことができるのか…
英語の台詞ではマイクルが字幕はミカエル。これではネタバ
レになりそうだが、欧米人ならマイクルでも気が付くはずだ
から、これはおあいこと言うところだろう。それで誰の子と
も知れない胎児とくれば、それがクリスマス・イヴでなくて
も話は決まりだ。
人類全てがクリスチャンではないのにとも思えるが、物語の
中でも他宗教に対するそれなりにフォローの台詞はあったか
ら、宗教の問題は脇に置くことにしよう。ただし展開は聖書
の黙示録の情景を準えているから、キリスト教的な作品であ
ることは間違いない。
でもまあ、昆虫の群れが襲ってきたり、心を失った人々の群
れが襲ってくるなどの情景がVFXで描かれたシーンの連続
は、宗教問題は抜きにしてそれなりに迫力のあるアクション
を描いていた。
出演は『ダ・ヴィンチ・コード』などのポール・ベタニー、
『バンテージ・ポイント』などのデニス・クウェイド、『ワ

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04月25日(日)
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