ID:47635
On the Production
by 井口健二
[471041hit]

■第9地区、孤高のメス、フェーズ6、エンター・ザ・ボイド、ソウル・パワー、きな子、ヒーローショー
ロードムーヴィ・スタイルでハリウッド規模で言えば低予算
の作品ではあるし、1978年生まれと1981年生まれという比較
的若い兄弟による脚本監督の作品ではあるが、物語に破綻も
少なく、しっかりと作られていたように思える。
主人公たちの無軌道ぶりなどには多少気になるところもあっ
たが、確かに最近の若者がこういう状況に置かれたら、多分
こんなことをするのだろうなあ、と思わせる程度には現実的
だった。最近のスペイン映画の好調が感じられる作品だ。

『エンター・ザ・ボイド』“Enter the Void”
2002年に『アレックス』という作品で物議を醸したというフ
ランスのギャスパー・ノエ監督による7年ぶりの新作。東京
の新宿は歌舞伎町の歓楽街を舞台に、海外から集まってきて
ドラッグに溺れる若者たちの生態が、サイケデリックな映像
と共に描かれる。
映画の巻頭には、一昔前のLSD映画を髣髴とさせ、さらに
それをCGIによって進化させたと言えそうな、正にサイケ
なアニメーション映像が展開される。それは昔はいろいろな
映像技術を駆使して作られたものが、今ではかなりお手軽に
なっているようだ。
そんな巻頭の映像に続いては、歌舞伎町のワンルームマンシ
ョンに暮らすアメリカ人らしい若者の視点映像となり、そこ
ではいろいろトリッキーな映像と、さらにドラッグでハイに
なっている感覚が映像でも描かれて行く。
そしてその若者にドラッグの配達の依頼が来て、若者は歓楽
街にあるクラブにそれを届けるのだが、その依頼は官憲が仕
掛けた罠だった。そして若者はトイレに逃げ込むが…そこか
ら若者の幻想ともつかない世界が繰り広げられて行く。
物語自体は、最近の歌舞伎町辺りに巣くう不良外人の話とし
ては有り勝ちと言えそうなものだし、そんな若者の生態を描
いた物語が2時間23分(先に海外映画祭に出品されたときは
2時間41分あったようだ)に亙って延々と描かれて行く。
そこには時間の脈絡もあまり無くて、現在が等時間で描かれ
たり、過去(遠い過去や近い過去)がフラッシュバックされ
たり、それもまたサイケと言えそうな展開となっている。こ
れは確かにドラッグによって描かれた作品なのだろう。
ということで、レーティングもR−18だし、ほとんどポルノ
まがいのシーンも登場して、正直にはなかなか評価し辛い作
品ではあった。ただ、シッチェスの映画祭でも受賞した撮影
技術は見事なもので、歓楽街上空を自由自在に動き回る映像
には正に刮目した。
撮影監督のブノア・デビーは、実は上記の『フェーズ6』の
撮影も担当しているが、特に本作に於ける変幻自在の映像は
それだけで観るに値する作品と言えそうだ。
出演は、主に新人の俳優たちのようだが、中に2009年8月紹
介『リミッツ・オブ・コントロール』に出演していたという
パス・デ・ラ・ウエルタが主人公の妹役で登場している。
因にフランス映画の本作は、本国では“Soudain le vide”
という題名でも知られているようだが、国際的には上記の英
語題名が公式のようだ。

『ソウル・パワー』“Soul Power”
1974年、ザイール(現コンゴ共和国)の首都キンシャサで行
われたヘヴィ級タイトルマッチ「モハメド・アリ対ジョー・
フレージャー」の一戦を前に現地で開催されたコンサート=
Zaire 74の模様を記録したドキュメンタリー。
このコンサートでは、奴隷としてアメリカに連れ去られたア
フリカ人たちの末裔がルーツに帰ることを旗印に、アメリカ
で活躍する黒人アーチストたちがザイールに集まり、地元ア
フリカのアーチストたちと交流する。
映画は最初に状況を説明するテロップが入るだけで、後は当
時撮影されてそのまま眠っていた映像とそれに伴う現状の音
声で綴られている。そこでは、アリも出席して行われたプロ
モーターによる実施の発表や、ニューヨークに集まって来た
アーチストたちの様子。
また、現地での会場設営の模様やザイールに向かうチャータ
ー機内でのアーチストたち大騒ぎの様子。さらに現地で3日

[5]続きを読む

03月14日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る