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On the Production
by 井口健二
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■幸福の黄色い…、グリーン・ゾーン、誘拐ラプソディー、スナイパー、川の底からこんにちは、てぃだかんかん、ねこタクシー、処刑人U
撃戦に巻き込まれる。そしてギャングとの対峙で射撃の腕を
見せた彼は、レン扮する狙撃隊の隊長に見込まれ入隊が許可
される。
入隊後も射撃では抜群の能力を示す彼だったが、歴代の射撃
の名手たちの名前の中に、今は隊員でない男の名前を見つけ
る。その男は唯一人、隊長にもできない500m先の標的を撃ち
抜く狙撃手だったというのだが、ある事件での出動中に誤っ
て人質を射殺し、過失致死の罪で4年の刑に服していた。
ところがホアン扮するその男が出所し、その日から狙撃隊の
周囲で異様な襲撃事件が頻発し始める。それは出所した男か
らの狙撃隊への挑戦状だった。そして男は、人質事件の犯人
とも共謀して狙撃隊を襲い続ける。
極めて困難な状況から立て籠り犯などを狙撃する。そんな狙
撃手たちの息詰まるような狙撃の模様や壮絶な銃撃戦など、
ガンアクションの好きな人には本当に堪能できる作品と言え
そうだ。実際、知人のマニアの人の評価は極めて高いものだ
った。
ただまあ、そういうシーンが壮絶である分、人間ドラマの方
は多少弱い感じもして、特にホアンが扮する犯人側の心理描
写は、いろいろ凝っている分だけかえって底が浅い感じもし
てしまう。でもまあ、本作の場合は人間ドラマは添え物だか
ら、これはこれで納得はできるものではありそうだ。
製作・監督・ストーリーは、2004年7月紹介『ティラミス』
などのダンテ・ラム。ファンタシーも上手い監督で、本作で
はレンとホアンの役柄に関る女性の話がそれぞれ興味深く描
かれていたが…チャンのそれが欠落しているのは、スキャン
ダルのせいではないよね。
因にチャンは、本作の前に『ダーク・ナイト』に出演、本作
の後はアメリカで新作も撮影完了しているようだ。
『川の底からこんにちは』
第19回PFFスカラシップにより製作された作品。同スカラ
シップの作品では2008年3月に『パーク・アンド・ラブホテ
ル』という作品を紹介している。
監督の石井裕也は1983年の生まれ、PFFアワード2007に出
品した『剥き出しにっぽん』という作品でグランプリを受賞
し、そのまま香港アジアフィルムアワードの第1回新人監督
賞も受賞しているそうだ。
物語の主人公は上京して5年目のOL。そして5年目の今、
5つ目の会社に勤め、5人目の彼氏で勤務先の上司でもある
バツ1&子連れの男と共に、仕事も恋愛も「妥協」の2文字
を胸に悶々とした日常で暮らしている。
そんなある日、彼女の許に故郷の町でシジミの加工業を営ん
でいた父親が倒れたのと報が届く。しかし彼女は、家を出た
ときの経緯から故郷へは戻れないと主張。ところが、同居人
は何故か会社も辞めて帰郷を勝手に決めてしまう。
こうして、恋人とその子供も連れて故郷に戻ってきた主人公
だったが、そこには彼女が家を出たときの因縁が籠もってい
た。しかも父親が営んでいた加工会社は、営業実績が上がら
ず、従業員の志気も最悪で、2カ月先の資金繰りも目途が立
たない状態。
そんな中で、取り敢えず会社に出てきた主人公だったが…。
何事にもダメダメな主人公、それは現代の日本を象徴してい
るようでもある。しかしそんな中からも雄々しく立ち上がろ
う。そんな現代日本へのエールとも言える物語が始まる。
主演は満島ひかり。2008年11月紹介『プライド』以降、昨年
は一気にブレイクした感じの女優だが、本作の前半で演じら
れる全てに妥協した挙げ句に無表情になってしまった主人公
には、以前「ウルトラマン」でアンドロイドを演じていた頃
が髣髴とされた。
共演は、2006年12月紹介『天国は待ってくれる』などの遠藤
雅と、ドラマ『風林火山』などに出演の子役の相原綺羅。他
にドラマ『時効警察』などの岩松了、1999年の映画『ワンダ
フルライフ』などの志賀廣太郎。
この手の若い監督に有り勝ちな青臭さもあまり感じられず、
意外にすっきりとした後味の良い作品だった。
『てぃだかんかん』
2005年、養殖珊瑚では世界初となる産卵に成功した沖縄の自
然保護活動家・金城浩二氏の姿を描いた作品。
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02月28日(日)
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