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On the Production
by 井口健二
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■噂のモーガン夫妻、シャーロック・ホームズ、ソラニン、アーマード、NINE+製作ニュース
ている。そして、絵の才能はあるが学校を休み勝ちの弟には
施設への収容が宣告されている。
そんな主人公は亡父が務めていた警備会社に就職、訓練期間
を経て正規採用となり、その歓迎会の席で先輩たちの経験を
聞かされる。そこには仲間を人質に取られてやむなく現金を
渡した事件も語られるが…。その事件では犯人も捕まらず、
金も行方不明ままだという。
そして主人公の耳に悪魔が囁き始める。それは誰にも危害を
及ぼさないスマートな犯行のはずだった。しかし思いも拠ら
ない事態が主人公を窮地に陥れて行く。
共演は、TVシリーズ『プリズン・ブレイク』のアマウリー
・ノラスコ、『ジェリコ』のスキート・ウールリッチ、『ヒ
ーローズ』のマイロ・ヴィンティミリア、そして1983年の映
画『ライトスタッフ』でガス・グリソム飛行士を演じていた
フレッド・ウォード。
脚本はアメリカ映画アカデミーが主宰する脚本コンペティシ
ョンに応募された作品とのことで、6000本以上あった中から
審査に立ち会ったサム・ライミ監督が見いだして、直ちに映
画化が進められたとのことだ。
監督は、2007年10月に紹介した『モーテル』のニムロッド・
アーントル。1992年『レザボアドッグス』などのベテラン撮
影監督アンジェイ・セクラとのコラボレーションで、テンポ
の良いアクションを描き出している。
意外な脱出口など、ちょっとお手軽に感じる部分もあるが、
堅牢な現金輸送車の特徴も活かしたスピーディな物語が展開
される。

『NINE』“Nine”
2008年5月のリヴァイヴァル上映の際に紹介したイタリアの
名匠フェデリコ・フェリーニ監督による『8½』を、ブロー
ドウェイで舞台ミュージカル化した作品の映画版。
1960年代のイタリア映画界を背景に、初期の作品は持て囃さ
れたものの、最近はヒットも儘ならなくなったダニエル・デ
イ・ルイス演じる映画監督が、次回作の構想を練って行く姿
が描かれる。
しかし、記者会見は行われたもののシナリオは最初の1行も
書けていない。それでも勝手に衣装やセットは作られ始め、
彼の周囲には自分の本妻や人妻の愛人、新たなミューズや雑
誌の女性記者、さらに子供の頃に目撃した娼婦や母親の亡霊
までもが関わってきて…
この女性たちを、マリオン・コティヤール、ペネロペ・クル
ス、ニコール・キッドマン、ケイト・ハドスン、ミュージシ
ャンのファーギー、ソフィア・ローレン。さらに衣裳デザイ
ナーの役でジュディ・ディンチという豪華な顔ぶれが演じて
いる。
物語は1963年製作のオリジナルとほぼ同じで、そこに夫々の
女性ごとに歌と踊りのシーンが加えられている。その中でも
踊りは、各女優が大勢の女性ダンサーを従える形のかなり激
しい振り付けが展開されるもので、それだけで堪能できる見
事なものだ。
ただし、オリジナルでクラウディア・カルディナーレが演じ
た巫女の話が除かれているのはちょっと残念。そのキャラク
ターは、ケイト・ハドスンが演じた女性記者が引き継いでい
るような感じではあるが…
それにオリジナルでは、主人公の次回作としてはSF映画が
構想されていたもので、それが“ITALIA”と題された歴史劇
になっているのも僕としては残念なところだが、本作に登場
するセットの足場は、オリジナルに出てきた発射台へのオマ
ージュなのかな。
また本作では、その撮影自体がローマ郊外のチネチッタで行
われており、正門や外観や撮影ステージなどが見事に写し出
されている。これも当然オリジナルへのオマージュと言える
が、さらに映画ファンにとっては最高の贈り物でもあるもの
だ。
女優陣とその踊りが豪華すぎて、多少物語が置き去りに感じ
るところもあるが、エンディングにはちゃんとドラマが用意
されて納得できる結末にもなっている。とにかく全てを堪能
できる作品だった。
        *         *
 製作ニュースの最初はちょっと残念な情報で、前回も紹介
した“Spider-Man 4”の延期に関して、サム・ライミ監督、

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01月17日(日)
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