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On the Production
by 井口健二
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■恋するベーカリー、アイガー北壁+製作ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『恋するベーカリー』“It's Complicated”
メリル・スリープ、アレック・ボールドウィン、スティーヴ
・マーティン共演による熟年ラヴ・コメディ。
ストリープ扮する主人公は若い頃にフランスで修行したとい
うパン職人。ボールドウィン扮する弁護士と結婚して3人の
子供も儲けたが、10年前に夫の浮気で離婚した。しかし経営
するベーカリーは成功し、3人の子供も立派に育て上げてい
る。そして最後まで家にいた娘が巣立ち、息子も大学を卒業
して社会人となる。
そんな彼女は、自宅を増築して理想のキッチンを作ろうと計
画しているが、その打ち合わせの席で出会ったマーティン扮
する建築士に心引かれるものを感じる。ところが息子の卒業
式出席のためニューヨークを訪れた彼女の前に、元夫が姿を
現す。しかも元夫は若い妻との仲が思わしくないようだ。
こうして発生した熟年三角関係に、主人公はどのような結論
を出すのか…
脚本・監督は、2004年2月に紹介した『恋愛適齢期』などの
ナンシー・マイヤーズ。監督の前作『ホリデー』は観ていな
いが、本作は『恋愛…』と同様の熟年男女を描いたもので、
実はマイヤーズもストリープも同い年の自分としては、解か
り易く見ることの出来る作品だった。
ただまあ、男性の自分としては、何事にも優柔不断でぐずぐ
ずしてしまうボールドウィンの役柄に親近感を持ってしまっ
たもので、そうなってくるといろいろ身にも詰まされるし、
かなりやばい感じのお話にはなってしまう。
とは言え、映画はストリープが主人公なのだし、そういう映
画として観れば、これが正解なのだろう。彼女の生き方には
賛同する女性は多いはずだ。そしてそれは、これから女性に
愛を捧げようとする男性にもいろいろヒントは多い作品とも
言えそうだ。
共演は、『ホリデー』にも出演のジョン・クラシンスキー。
他に、ケイトリン・フィッツジェラルド、ゾーイ・カザン、
ハンター・ハリッシュという3人がストリープの子供たちを
演じて、見事な家族を描き出している。
因に本作は、すでにナショナル・ボード・オブ・レヴューの
アンサンブル演技賞を受賞。またゴールデン・グローブ賞で
は、ストリープが11月に紹介した『ジュリー&ジュリア』と
共にコメディ部門主演女優賞にWノミネートされている他、
作品賞、監督賞の候補にも挙げられている。
それにしてもストリープの役柄が、『ジュリー&ジュリア』
に続いてフランスで勉強した料理人と言うのも面白いところ
だ。

『アイガー北壁』“Nordwand”
1936年8月に開催されるベルリンオリンピックに先駆け、同
年の7月にアイガー北壁の初登攀を目指したドイツ人登山家
を巡る実話に基づく物語。
標高3970mのアイガー山頂は1858年に初登頂され、その後は
各稜線からの登攀も次々に成功されるが、北壁だけは落石が
多発する地質などから極めて困難とされていた。その中で、
1934年に行われた初挑戦は失敗、1935年には2人の登山家が
3500m地点で遭難して帰らぬ人となる。
しかし、ドイツ=オーストリアの併合を目論むヒトラーは、
その北壁の克服を併合の象徴と位置づけ、初登攀を成し遂げ
た者にはオリンピックと同じ金メダルを授与すると表明、登
攀は国家の威信を賭けた挑戦へとなって行く。そして1936年
7月、ドイツ人の登山家2人とオーストリア人登山家2人が
それに挑むのだが…
アイガー北壁というと、1975年のクリント・イーストウッド
監督主演による『アイガー・サンクション』がまず頭に浮か
ぶ。その作品に描かれた気象の急変ぶりや落石の危険などは
本作でも克明に描かれているものだ。
ましてや本作は実話に基づく映画化な訳で、特に結末の強烈
さはフィクションではありえない、正しく「事実は小説より

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01月10日(日)
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