ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460235hit]

■すべて彼女の…、処刑山、海の金魚、やさしい嘘と贈り物、フローズンR、パーフェクトG、パラノーマルA、シェルター、サロゲート(追)
ストランに予約までしてくれる。(以下はネタばれです)
ネタばれといっても、ポスターには最初からそのことがコピ
ーとして書かれているから隠しようもないのだが、僕自身は
幸い事前の情報を入れることなく観ることができた。その目
で観ていると、このネタばれが多少もったいなくも感じられ
たところだ。
でもまあ最近の社会の状況でいうと、これは明かした方が観
客動員には繋がるのかもしれない。とは言うもののテーマ的
には2004年11月に紹介した『きみに読む物語』と被るところ
が多いし、その辺は難しい部分でもある。
ただし本作では後半に1つ大きな展開が有って、そこでの周
囲の協力などを後で考えると、いろいろ心に染みてくる感じ
がした。多分、最後のキーになる品物は、偶然そこにあった
のではないのだろう。
なお、何も知らずに観ていても途中で結末は2つに1つだな
あと考えていた。それくらいにいろいろとヒントは設けられ
ている作品だ。因に、もう1つはもっとオカルト的なものも
考えたが、幸いそういう方向性ではなかったようだ。

『フローズン・リバー』“Frozen River”
雪が降り積もった厳冬のカナダ国境の河に面するアメリカ・
ニューヨーク州の最北部の町を舞台にした白人とネイティヴ
2人の女性が主人公の人間ドラマ。
白人の女性はギャンブル依存症の夫に苦しめられ、今も新居
の購入資金を持ち逃げされて残金を払わなければ手付け金も
取られるという瀬戸際に立たされていた。そして、夫の姿を
求めて立ち寄ったビンゴ会場で夫の乗用車を発見する。
その車に乗っていたのはモホーク族の女性。彼女は「車はバ
ス停に捨ててあったから拾ったのだ」と主張する。しかし結
局は白人女性の言い分を認めるが、返す前に車で凍結した河
を渡って欲しいと頼み込む。それには充分な報酬も有るとい
う。
国境の河を渡ることは違法行為だが、モホーク族の居留地は
河の両岸に跨がっており、彼らは自由に往来する権利を持っ
ているという。そして車が河を渡った先には、アメリカに不
法入国しようとする東洋人が待っていた。
こうしてそれなりの現金を得た白人女性は、モホーク族の女
性とは理解しあえないまま、金のために違法な渡河を重ねて
行くが…
女性が主人公で雪の風景というと、1996年の『ファーゴ』や
2005年の『スタンドアップ』を思い出すが、物語の厳しさと
いう点ではどの作品も同じであっても、本作には何処か他の
作品にはない暖かさが感じられた。
そこには人を信じるということの素晴らしさが見事に描き出
されており、特に最近は殺伐とした映画が多くなってきてい
ると感じた矢先にこの作品を観られたことで、何かほっとし
た気分にもさせてくれたものだ。
出演は、本作でオスカー候補になったメリッサ・レオと、実
際にネイティヴアメリカンのミスティ・アップハム。他に、
2004年『ヴィレッジ』などのチャーリー・マクダーモット、
『バットマン・ビギンズ』などのマーク・ブーン・ジュニア
らが共演している。
脚本・監督は本作が長編デビューのコートニー・ハント。自
身の短編映画を基にしたものだそうだが、本作ではサンダン
ス映画祭のグランプリを受賞の他、オスカー脚本賞にもノミ
ネートされた。
なお本作は、アカデミー賞で2部門の候補になったにも拘ら
ず日本公開の目処が立っていなかったものを、東京渋谷の映
画館シネマライズが直接権利を獲得し配給にも乗り出すこと
にしたもので、その意気にも感じているものだ。

『パーフェクト・ゲッタウェイ』“A Perfect Getaway”
2000年『ピッチブラック』、2004年『リディック』、そして
現在その第3弾の製作開始も伝えられている監督・脚本家の
デヴィッド・トゥーヒーによる最新作。
1993年『逃亡者』、1995年『ウォーターワールド』などの脚
本家としても知られるトゥーヒーだが、彼が監督も手掛ける
とかなり捻った展開になることが多いようだ。本作もその例
に漏れない作品だ。
物語に登場するのは、ミラ・ジョヴォヴィッチと『サハラ』

[5]続きを読む

12月27日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る