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On the Production
by 井口健二
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■プリンセスと魔法のキス、COACH、マザー・テレサ、ランニング・オン・エンプティ、アンダンテ、半月、フィリップ、ハンナ・モンタナ+他
の大半は試写を観てもサイトにはアップしなかった作品だ。
そんな気分でこの作品も観ていたのだが、本作では物語の後
半で話が妙に入り組んできて、思わず「はぁ」という感じに
なった。
だからといって、この映画自体を諸手を挙げて気に入った訳
ではないのだが、この展開を作れる作家なら、この次も期待
したくなってきてしまったものだ。
脚本・監督は、2008年3月に紹介した『休暇』の脚色を担当
していた佐向大。以前に監督した自主映画が注目されたよう
だが、商業映画は本作が監督デビュー作となる。『休暇』の
脚本も的確に作られていたが、本作でも物語の背景となる工
場街の風景などが的確に捉えられている感じがした。
出演は、『リンダ、リンダ、リンダ』などの小林且弥、『呪
怨白い老女』などのみひろ、『実録・連合赤軍』などの大西
信満、『死神の精度』などの杉山彦々。これら若手共演の脇
を、菅田俊、大杉漣、角替和枝らベテランが固めている。
シリアスでもないしコメディでもない。でもまあ何となく現
実的な部分もあるし、思わず笑ってしまう部分もある。それ
でいて全体の纏まりは上手く付けられていて、映画としての
完成度はあると思えた。現在はまだ低予算の作品というとこ
ろだろうが、その内に何か作ってくれそうな…そんな期待も
感じられた。
『アンダンテ〜稲の旋律〜』
親の期待を一身に受けて成長したもののその期待に応えられ
ず、それも原因の一つとして対人恐怖症で引き籠りとなった
女性が、ふと訪れた田園の町で新たな目標を見つけ歩き出す
までを描いたヒューマン作品。
主人公は幼い頃からピアノの個人レッスンを受け、友達と遊
ぶ暇もなく成長した。しかし母親の期待に反して父親はピア
ニストになることに反対し、父親の勧める大学には行ったが
中退、父親の伝で勤めた会社にも馴染めなかった。
そんな主人公は引き籠りとなり、家庭内の空気は冷え切って
行く。そして父親と喧嘩した主人公は、思わず家を飛び出し
そのまま電車を乗り継ぎ田園の広がる町へとやってくる。そ
こでも、最初は人とは会うことのできない主人公だったが…
その主人公が田園で繰り広げられるいろいろな出来事の中で
少しずつ心を開き、やがて農業という産業に目覚めて行く。
しかしそこで行われている農業の未来にもいろいろな問題が
立ちはだかっていた。
ということで映画は単に女性個人の問題だけでなく、日本の
農業の現状やその問題点などにも広がって、それなりに社会
性も持った物語に仕上げられている。
と言っても、農業が抱える問題に関してはそれほど深刻に描
かれているものではなく、主人公の成長物語の彩り程度。そ
れに本作はJAの協力で作られているので、その辺は頭の隅
に置きながら観た方がいいかも知れない。
主演は、『ミス・サイゴン』などのミュージカルの舞台で活
躍している新妻聖子。本作が映画初出演とのことだが、しっ
かりとした演技で、またピアノの演奏なども吹き替えなしで
演じているのはさすがという感じだ。
共演は筧利夫。他に秋本奈緒美、松方弘樹、宇都宮雅代、村
野武範、中条きよし、D−BOYS出身で『轟轟戦隊ボウケ
ンジャー』などの三上真史、2008年6月紹介『ロックンロー
ル★ダイエット』などの紗綾らが脇を固めている。
監督は2008年8月紹介『春琴抄』などの金田敬。今年は7月
にも1本紹介しているが、今回はちょっと傾向の違った作品
でも、それなりの腕を見せていた感じだ。
『半分の月がのぼる空』
アスキー出版電撃文庫で発行部数140万部を記録し、すでに
アニメ化やテレビドラマ化もされているという橋本紡原作の
映画化。
粋がっているだけで未だ初な少年が偶然入院した病院で不治
の病の少女と出会う。そして彼女が要求する無理難題に応え
て行くうちに徐々に恋心が芽生え…。一方、その病院には、
優秀な心臓外科医だったが、妻の命を救えなかったことがト
ラウマの医師がいて…
ということで物語は、不治の病を承知で少女に純愛を捧げて
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12月20日(日)
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