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On the Production
by 井口健二
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■エクトプラズム、ニューヨークアイラブユー、鷹の爪3、完全なる飼育、蜉蝣峠+製作ニュース他
その設定のみを借りてそれぞれ異なる展開になっているそう
で、シリーズの各作品で相互の関係はほとんど無いようだ。
因に僕は、2004年製作の若松孝二監督による第6作は試写で
観たが、サイトにはアップしなかった。その内容は、雪深い
田舎町を舞台にしたもので、それなりにオリジナルの物語を
踏襲しているようには観えたものだ。
そのシリーズの第7作が、今回は『バトル・ロワイアルU』
などの深作健太監督により映画化され、作品がパート3Dで
撮影されているために、試写会は3Dの上映設備を持つ会場
で1回限定で行われた。
第7作の物語の舞台は東京の秋葉原。その現代風俗の最先端
とも言われる街を背景に、メイド喫茶の女性店員と、憧れて
いた彼女を偶然拉致してしまったマンガ喫茶の店長との交流
が描かれる。ただし今回は、物語の途中で主人公の男女が街
に出て行くシーンがあるなど、今までの拉致・監禁というシ
リーズのイメージからはかなり違っていた。
主演は、『テニスの王子様』出身の柳浩太郎。他に前田健、
西村雅彦、竹中直人らが共演。そして飼育女優とも呼ばれる
ヒロイン役にはサンズエンターテインメント所属のグラビア
アイドル亜矢乃が扮している。
正直に言って好奇の目で観られ易い作品だが、過去の出演者
には第1作で犯人役を務めた竹中直人(以後も第6作を除い
て登場)を始め、第4作の山本太郎、第5作の北村一輝、第
6作の大沢樹生、佐野史郎などかなりの俳優が揃っている。
その理由がどこにあるのかよく判らないが、男優にとっては
挑戦してみたくなる役柄なのだろうか。
なお本作の3Dシーンは濡れ場を中心に何度か登場するが、
画面の隅に表示される3Dマークを見落としやすく、2重に
観え始めて初めて気付くこともあった。何故全編3Dにしな
かったのかもよく判らないが、3Dマークの表示にはもう少
し工夫が欲しかった感じもしたところだ。

『蜉蝣峠』
歌舞伎や海外のオペラ、バレーなども紹介してきた舞台面を
そのままHDで撮影し、ディジタル映画館で上映するシステ
ムが日本の現代演劇にも進出した作品。ゲキ×シネと呼ばれ
るプロジェクトは2003年にスタートし、すでに7作品ほどが
公開されているようだ。
その第8作は宮藤官九郎の脚本を、いのうえひでのり演出に
より劇団★新感線が上演した作品。蜉蝣峠と呼ばれる場所に
過去の記憶を失って暮らしていた男と、そこからは8里ほど
離れた場所に所在する歓楽街で暮らす女の悲しい因縁話が展
開される。
時代は江戸の末期かな。年貢の取り立てに苦しむ農民と、そ
れを取り締まる領主や代官たち。そしてその間で甘い汁を吸
おうとする渡世人の面々。物語はその渡世人たちの暮らしを
中心に進められるものだ。
宮藤の脚本による映画作品は何本か観ているが、以前にも書
いているように、僕には好きな作品と気に入らない作品が両
極端になるものだ。それは特に宮藤の舞台劇を映画化した作
品で気に入らないことが多いと感じていた。
しかしその舞台は評判を呼んでいるもので、本物の舞台は観
たことの無い僕には、その辺のギャップが理解できないでい
た。そんな訳で今回のゲキ×シネには、その舞台の様子も検
証できるかも…という期待も持って試写を観に行った。
それでその舞台は、歌や激しい踊りも満載で、さらに紗のカ
ーテンにアニメーション映像が写し出されたり、回り舞台を
巧妙に用いた舞台転換など、なるほどこれなら生で観たらそ
の迫力も格別だろうなと思わせるものだった。
結局のところ舞台と映画は違うものだし、それぞれには一長
一短があってその補完は容易ではない。従って舞台劇を映画
化するには相当の覚悟を持った改変が必要なのだが、その辺
で今までに観た宮藤の舞台が原作の映画化作品は、中途半端
で物足りなかったようだ。
それが今回のゲキ×シネでは、舞台面をそのまま撮影するこ
とで舞台の特性は活かされている。それに今回は撮影に16台
のソニー製CineAltaのカメラが使用されたとのことで、その

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12月13日(日)
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