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On the Production
by 井口健二
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■スノー・プリンス、T・ベルと月の石、インフォーマント!、ファイナル・デス・ゲーム、おとうと、パチャママの贈りもの+製作ニュース他
らと始めてしまう。そして早々と負けてしまった仲間の男性
が非業の死を遂げることとなり…
『ジュマンジ』『ザスーラ』のダークサイド版という振れ込
みの作品だが、ハリウッドの大作ほどのVFXが登場するも
のではないし、どちらかと言うとビーチを舞台にした若年向
けホラーといった感じのものだ。
それにいくつか登場するVFXもどこかで観たようなものば
かりだし…。ただまあそれがスペインらしい異国情緒に彩ら
れていることが、観客としては楽しめるというところではあ
るかも知れない。
出演は、2006年の『ポセイドン』や一昨年の『クローバー・
フィールド』に出ていたマイク・ヴォーゲルと、TVシリー
ズ“Buffy the Vampire Slayer”にセミレギュラー出演して
いたエリザ・ドゥシュク。一応はハリウッド俳優を招いての
作品というところのものだ。
監督は、2000年のオスカーを受賞した『オール・アバウト・
マイ・マザー』などに第2助監督として参加しているアルバ
ロ・デ・アルミニャン。本作が監督デビューのようだが、こ
の方向を保ってくれたら先が楽しみになる。
また脚本は、2007年9月に紹介のニール・ジョーダン監督、
ジョディ・フォスター主演作『ブレイブ・ワン』を手掛けた
ブルース・A・テイラーとロディック・テイラー。それに続
く作品ということになるが、彼らにもこの方向性があるなら
楽しみだ。
『おとうと』
『武士の一分』など時代劇が続いていた山田洋次監督が、昨
年公開の『母べい』に続いて吉永小百合を主演に迎え、同作
に出演の笑福亭鶴瓶の共演を得て描いた姉弟物語。1960年市
川崑監督の同名作品にオマージュを捧げ、ある種の続編とし
て作られている。
主人公は大阪から出てきて東京郊外の私鉄沿線で薬局を営む
女性。信頼される医師だった夫を亡くしてからは女手一つで
1人娘を育ててきた。その娘が優秀な医師の許に嫁ぐことに
なり、結婚式を控えた日のこと、招待状の1通が宛先人不明
で返送されてくる。
それは主人公の実弟に宛てたものだったが、その返送に何故
か安堵の様子を見せる家族。実はその弟は夫の13回忌の席で
酔っ払い、大暴れをして顰蹙を買っていたのだ。そのため返
送に安堵していたのだが…披露宴の最中、その弟が息急切っ
て駆け付けてくる。
こうして再び、主人公の弟を巡る悪夢の日々が訪れることに
なり…
家族兄弟の縁はどうしても切れないものなのかも知れない。
ただし、男同士の兄弟ではこの映画でも主人公の兄の態度の
ようにドライに割り切れるのかも知れないが、姉弟ではそれ
が一番難しいのかな。それは50年前に市川監督が掲げた命題
でもあるようだ。
そんな本作の企画は2008年2月、山田監督が市川監督の訃報
に接したときに思い付いたそうだ。折しも『母べい』を公開
中の山田監督は、同作で共演した吉永、鶴瓶の2人を姉弟役
にできないかとも。
しかし吉永にこてこての大阪弁を喋らせるのは考えられない
し、鶴瓶が大阪弁以外の言葉を話すのも似合わない。このた
めこの設定を活かす物語作りにかなりの時間が費やされたと
されている。
僕は、物語の設定に困難があればあるほど、その物語が練り
込まれることで素晴らしい作品が生まれると考えているが、
本作もその例に漏れなかったようだ。吉永がふと挟み込む大
阪弁の台詞などに物語の深さが描かれていたようにも感じら
れた。
僕自身の両親は関西出身だが、普段の生活で両親が関西弁を
話すのは聞いたことがなかった。それが両親が関東で暮らす
ことへの心構えだったのだろうし、そんな自分の両親のこと
も本編の吉永の姿に思い浮かんだものだ。
共演は、蒼井優、加瀬亮、加藤治子。他に小林稔侍、森本レ
オ、笹野高史、小日向文世、石田ゆり子らが出演。なお映画
には、民間が運営するホスピスの問題なども描かれ、社会性
を持った作品にもなっている。
『パチャママの贈りもの』“El regalo de la Pachamama”
南米ボリビアのアンデス山中にある塩湖ウユニ。その塩湖の
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10月11日(日)
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