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On the Production
by 井口健二
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■ブラック会社…限界、谷中暮色、海角七号、スペル、バカは2回海を渡る、きみがぼくを見つけた日、倫敦から来た男、戦慄迷宮(追記)+他
しかもその前には、意外とタフな老婆との闘いもあって、と
にかく彼女には災厄が降りかかり続けることになる。その上
その災厄は、3日目には呪いの本体であるラミヤと呼ばれる
羊の化身が現れて、彼女を地獄に連れて行くというのだ。
という事態に彼女は、霊視者や霊媒などいろいろな専門家を
頼って、何とか災厄から逃れようとするのだが…
この彼女を襲う災厄の数々が、演出自体は正しくホラーで、
決して業とらしく面白おかしくされてはいないのだが、観て
いると思わず噴き出してしまうような見事などたばたで描か
れて行く。さすが元祖ホラーコメディ監督のサム・ライミの
作品だ。
出演は、『マッチスティック・メン』などのアリソン・ロー
マンと、『ギャラクシー・クエスト』などのジャスティン・
ロング。それに、主にテレビで活躍する怪女優のローナ・レ
イヴァー、舞台俳優のディリープ・ラオが共演。
さらに、1992年『ミスター・サタデー・ナイト』でオスカー
候補になった『シティ・スリッカーズ』などのデヴィッド・
ペイマー、2007年『バベル』でオスカー候補になったアドリ
アナ・バラッザらが登場する。
ツボを得たホラー演出もあるが、スプラッターではないので
誰でも安心して観ていられる。そんな万人向けのホラー作品
として見事に仕上がった作品と言えそうだ。
『バカは2回海を渡る』
2002年『仮面ライダー龍騎』で活躍した俳優の弓削智久が脚
本を書き、同じく須賀貴匡との共演でアメリカ西部で撮影さ
れ、今年6月に発表されたショートムーヴィ『FREE』の撮影
時の顛末を描いた作品。ただし題名の意味がプレス資料を観
ても判然としなかった。
ドキュメンタリーという触込みになっているが、『FREE』の
監督は弓削の名義で、本作の監督は渡邊貴文となっている。
この渡邊監督は、昨年12月紹介の『年々歳々』で助監督を務
めたいた人で本作が監督デビュー作だそうだ。
つまり本作の監督はドキュメンタリーの人ではないし、本作
には多分に演出されたように観える部分もある。だから本作
は、実際の『FREE』の撮影時の経験に基づいて再現されたド
ラマのようにも観えるし、それを踏まえれば題名の意味も判
るような気がしてくる。
特に、後半のモニュメントヴァレーのシーンなどには、明ら
かに状況に合わない別撮りの画像が登場しているし、これは
それ(再現ドラマのセミドキュメンタリー)として売った方
が良いのではないかとも思えるのだが…
それにしても、最近の若者というのは甘ったれているなあ…
というのが映画の始まりの印象。それが徐々に逞しくなって
行くのが観えるのは、仮に再現ドラマの部分はあっても、そ
れなりにドキュメンタリーなところも含まれているようだ。
写されている風景は、アメリカ西海岸に興味のある人にはさ
ほど目新しいものはないし、描かれている事象にも括目する
ようなものはない。でも、何となく今の若者の姿が描かれて
いるようではあるし、主演の2人が映画作りに真摯に取り組
んでいることは理解できた。
ただし、途中でアメリカ人の運転手がスピード違反で捕まる
下りなどでは、その後の経緯が多少説明不足に感じる部分も
散見された。それは流れから理解できるものであっても、本
作がドキュメンタリーを標榜する限りは、もう少し丁寧に問
題解決まで示す必要があったのではないか。
それにモニュメントヴァレーはナバホ・インディアンの占有
地区となっていて、特別の許可が無ければ一般の車両は入れ
ないはず、その辺のことももう少し説明してあっても良かっ
たのではないかな…とも感じた。
『きみがぼくを見つけた日』“The Time Traveler's Wife”
2003年に発表されてベストセラーになったオードリー・ニッ
フェガーによるデビュー作の映画化。
遺伝子の異常により自分では意図しないままの時間跳躍に見
舞われることになった主人公の物語。そんな主人公が、ある
日「あなたのことを知っている」と言う女性に出会う。彼女
は幼い頃から、もっと年長の主人公の訪問を受けて来たとい
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09月20日(日)
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