ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460254hit]

■リミッツ・オブ・コントロール、あいつはカッコよかった、ヤッターマン、ボヴァリー夫人+製作ニュース
患者に新しい治療法を試みるなど、それなりの人物ではある
ようなのだが、主人公はそんな夫に飽きたらず、出入りの商
人やその他の若い男性とも情事を重ねている。
そんな主人公の生活振りが、ハエだらけの食卓や窓の外に観
える廃虚のような風景など、ちょっと異様な映像の中で繰り
広げられて行く。そしてそれは冒頭のシーンが暗示していた
ような末路へと向かって行く。
正直なところ映画は、冒頭の唐突なシーンを含めて、ほとん
どのシーンが状況の説明なしに展開される。これは原作を読
んでいないと判り難いかとも思われるが、実際に僕は原作を
読んでいなくても話は判ったのだから、それなりの描き方で
はあったのだろう。
なお、映画祭などで上映されたオリジナル版は165分あった
ようだが、今回の公開では監督自身が再編集した128分のも
のが上映される。そのせいで状況の説明が無くなっている可
能性もあるが、それも監督の意志ということのようだ。
それにしてもこの主人公の姿は、目標を見失って浪費に走る
など…現代の若者にも通じるような感じもして、その点でも
興味深かった。
        *         *
 後は製作ニュースを紹介しよう。
 その最初は、僕にとっては1978年に『スター・ウォーズ』
のブームに乗って放送された往年のテレビシリーズだが、ア
メリカでは2004年に登場した新シリーズが話題になっている
“Battlestar Galactica”に関して、その映画版がユニヴァ
ーサルで計画され、その製作監督に『スーパーマン・リター
ンズ』のブライアン・シンガーの契約が発表された。
 元々シンガー監督はオリジナルシリーズの大ファンで、新
シリーズの立上げにも深く関わっていたそうだが、その頃か
ら映画版の“X-Men”の製作が忙しくなり、最終的にテレビ
シリーズからは手を引いたという経緯もあったようだ。しか
しその当時は同シリーズを‘a sleeping giant’と呼んで、
愛着を隠さなかったとされている。
 そんな作品に再度関わることになったシンガー監督だが、
実は今回の計画では、現テレビシリーズの製作と脚本を手掛
けるロナルド・モーアの去就が不明で、評価の高い現シリー
ズと映画版との関係がどのようになるかも明確ではないよう
だ。ただし、オリジナルを手掛けたグレン・A・ラースンの
参加は発表されている。
 因に、現在のテレビシリーズはオリジナルのリメイクでは
なくリイメージングしたとされているものだが、今回の発表
でユニヴァーサルからは‘a complete reimagination’との
発表もされており、さらに新たな発想での新作が作られるこ
とになるようだ。とは言え、現シリーズでは出演俳優にも人
気が高まっているようで、その辺をどのように調整するかも
気になるところだ。
 ただしシンガー監督には、“X-Men: First Class”という
作品で“X-Men”シリーズに復帰するとの噂もあり、この復
帰作の脚本はテレビシリーズ“The O.C.”などのジョッシュ
・シュワルツが第1稿を書き上げているという情報もある。
従って2作のどちらが先行するかは不明。いずれにしてもシ
ンガー監督の動向には注目しておくことにしよう。
        *         *
 お次は、その“X-Men”シリーズというかファミリーの情
報で、今夏公開の最新作“X-Men Origins: Wolverine”に続
編の計画が発表されている。
 全米では5月3日の公開第1週に8500万ドルの興行収入を
挙げ、その後の13週を経て1億8000万ドルにも近づいている
ヒット作に続編の計画は当然だが、今回の情報ではその脚本
家としてブライアン・シンガー監督作品『ワルキューレ』を
手掛けたクリストファー・マカリーの契約が報告された。因
にマカリーは、2000年のシリーズ第1作でもシンガー監督と
共に脚本に関っていたそうだが、最終的にデイヴィッド・ベ
ニオフの名前になった完成版ではクレジットされなかったと
のことだ。
 というマカリーのこちらもシリーズ復帰となりそうだが、

[5]続きを読む

08月16日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る