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On the Production
by 井口健二
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■アドレナリン2、TAJOMARU、サマーウォーズ、ワイルド・スピード4、千年の祈り、悪夢のエレベーター、BLACK WATER、ココ avant シャネル
し、さらにSFファンにも満足できる作品と言えそうだ。
『ワイルド・スピードMAX』“Fast & Furious”
2001年に公開されて大ヒットしたシリーズの第4弾。と言っ
ても、第1作の主演者の内で第2作に出演したのはポール・
ウォーカーのみ。さらに第3作では舞台も東京に移して、物
語的にも繋がりの薄いシリーズになっていた。
ところがこの第3作では、最後にサプライズなオリジナル俳
優の登場があり、そして本作では、ヴィン・ディーゼル、ウ
ォーカー、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュース
ターのオリジナルメムバーが勢揃いで再登場した。
さらに本作には、第3作から韓国系アメリカ人俳優のサン・
カンが再登場するなど、微妙に継続性も保たれている。また
監督は第3作のジャスティン・リンが担当しており、脚本も
クリス・モーガンが引き続き担当しているものだ。
そして物語は、オープニングはアメリカ国外での大アクショ
ンで始まるものの、主な舞台はロサンゼルスに戻って、違法
公道レースをメインに置いたカーアクションが展開される。
そこにFBIが絡むのも、第1作の物語の再構築となってい
る。
ただし、第1作の監督ロブ・コーエンがカーアクションを華
麗に観せることに執心したのに比べると、以後の作品ではキ
ャラクターの人間ドラマもそれなりに描き込んでおり、特に
本作では、ディーゼルとロドリゲスの関係が中心に描かれて
いた。
とは言え、カーアクションも強烈に描かれているもので、本
作のオープニングでは第1作を髣髴とさせるチームプレイで
の大型トレーラー強奪作戦がVFXも使って展開される。そ
れは第1作では謎だった部分も含めて、ある種のオマージュ
にもなっていたようだ。
ただし第1作では、夜間の作戦が特殊な車のライティングな
どで飽く迄も華麗に描かれていたのに対して、VFXも使っ
た本作は如何にも力ずくという感じがした。その辺がコーエ
ン監督との資質の違いとも言えそうだ。
なお製作は、第1作から継続してニール・H・モリッツが担
当。また原題は、第1作のときには真ん中が“and the”だ
ったもので、微妙に違えられている。さて、これで第5作は
あるのかな?
『千年の祈り』“A Thousand Years of Good Prayers”
デビュー作にしていきなりヘミングウェイ賞などを受賞した
中国生まれでアメリカ在住の女流作家イーユン・リーの原作
を、1993年『ジョイ・ラック・クラブ』などのウェイン・ワ
ン監督が映画化した作品。
文化大革命を生き抜いた老境の父親がアメリカで暮らす娘の
許を訪ねる。最近妻を亡くした父親と離婚したばかりの娘。
しかも、中国とアメリカという違う社会の中で暮らす2人の
微妙な関係が描かれて行く。
と言っても、親子の関係はどのような背景にあってもあまり
変わるものではない。自分自身が娘を育ててきた者として、
この作品に描かれた親子の関係は他人事ではないし、いろい
ろなものを考えさせられてしまった。
元はロケット学者だったとされ、無口な母親とも幸せな毎日
だったと語る父親に対し、娘の見解はそうではないようだ。
そしてアメリカの大学に務める娘の生活も、父親の想像とは
違ったものになっている。
元々遺伝子的に女性は自分の父親を好きにならないようにさ
れているのだそうだ。それは生物としての配慮のようにも思
えるものだが、それでも父親は娘の身を心配し愛情を注ごう
とする。それは娘が苦難の中にあるとすれば尚更だろう。
ところが娘はそれを意に解さない。それは父親の側にもいろ
いろな問題はあったのだろうが、ここに描かれた父親の問題
は少し見方を変えれば、自分にだって心当たりがないとは言
えないものだった。
そんな訳で僕はこの作品を純粋に映画としては観られなかっ
たし、だからこの作品を冷静に評価できているとは思えない
ものだ。ただ自分としては、父親の悩みというのはどの国民
にとっても同じものなのだと言うことが判って、少しほっと
した気持ちにもなれた。
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07月12日(日)
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