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On the Production
by 井口健二
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■エッチを狙え、さそり、アンナと過ごした4日間、シャンソニア劇場、HIGH WATER、牡丹灯籠、サブウェイ123、HP/謎のプリンス
芸を持った連中が集まってくる。そしてその中には、ボスの
推薦で現れた美貌の女性歌手も交じっていた。そんな女性に
は、ボスへの嫌悪はありながらも引かれる主人公たち。こう
して劇場は再開し、その舞台は女性歌手の人気にも支えられ
て評判となって行くが…
脚本と監督は、2005年1月に紹介した『コーラス』のクリス
トフ・バラティエ。オスカー候補にもなった同作から満を持
しての第2作は、再び音楽が中心に据えられた作品だ。
ただし今回は、作曲家のラインハルト・ワーグナーと作詞家
のフランク・トマが作り続けてきた人民戦線時代をテーマに
した楽曲集に、オリジナルの物語を付けるという形で進めら
れているもので、そのバランスもよく考えられていた。
主演は『コーラス』に引き続いてのジェラール・ジュニョ、
またカド・メラッド、マクサンス・ペランがちょっと似た役
回りで再登場の他、『ロング・エンゲージメント』などのク
ロヴィス・コニアック、本作で新人賞受賞のノラ・アルネゼ
デール。さらにベテランのピエール・リシャール、ベルナー
ル=ピエール・ドナデューらが共演している。
元々が芸や才能の在る人たちの物語だから、一概に自分らの
境遇に引き当てることはできないが、それでも不況の中で懸
命に生きて行く人々の物語は、現代に生きる我々にも共感を
呼ぶものだ。そんな愛しい人々の物語が展開される。
『HIGH WATER』“High Water”
現代のハワイ・オハフ島ノースショアを舞台に、打ち寄せる
巨大な波に挑戦する人々の姿を描いたドキュメンタリー。
前回にも同じ場所を背景にしたドキュメンタリーを紹介した
が、今回は現代のノースショアで繰り広げられる3つのコン
ペティションを中心にそこに集う人々の姿が描かれる。
毎年11−12月のノースショアでは、OPプロハワイ、オニー
ル・ワールドカップ、パイプラインマスターズの3つのコン
ペティションが開催される。それは賞金総額75万ドルを賭け
たプロサーファーたちの戦いの場だ。
そんな60日間に亙るサーファーたちの戦いを、1966年『エン
ドレス・サマー』を監督したブルース・ブラウンの息子で、
2000年“The Endless Summer Revisited”や、2006年6月に
紹介した『ダスト・トゥ・グローリー』などのデイナ・ブラ
ウンが描いた。
サーフィンが数100億ドル規模の産業に膨れ上がったことは
『バスティン…』で紹介したところだが、本作ではその頂点
に建つサーファーたちの姿が描かれる。そこには弱冠13歳で
コンペティションに挑む少年サーファーの姿や歴戦の勇者た
ちも登場する。
という作品だが、如何せんサーファーのことは現役も過去の
名前もほとんど知らないし、コンペティションの採点方法や
ここに描かれている3戦の位置づけすら全く知らない自分に
はいささか判りにくい作品で、多少戸惑いながら観てしまっ
た。
それに登場するサーファーの名前も、原語のナレーションで
は一々オーストラリアンとかハワイアンとか出身地付きで紹
介されていたようだが、字幕では文字数の関係かその辺は省
略されて、それが突然「地元との争いが」とか言われると、
前回の作品を観ていたから良かったものの、そうでなくては
ちんぷんかんぷんになりそうだ。
なお、配給会社は鎌倉に在るそうで、恐らくはサーファーの
ために輸入した作品だから、僕らは部外者ということにはな
るが、その他にも、「homework(宿題)のために帰る」と言
っているのに「学校に戻る」と訳されていたりで、多少心配
にもなった。
同じブラウン監督でも『ダスト…』の時にはこんな印象は持
たなかったが、大会の規模が大きくなるといろいろ細かいこ
とが増えてくるようだ。それはどんなスポーツでも同じだが
やはり初心者には厳しいもの。それを解消するのも映画の役
割だと思うのだが。
因に、本作のアメリカ公開時の上映時間は90分となっている
が日本では99分。その長くした分でせめてコンペティション
の採点方法ぐらいは紹介して欲しかった。でもサーファーに
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07月05日(日)
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