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On the Production
by 井口健二
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■ドゥームズデイ、ゴー・ファースト、バスティン・ダウン・ザ・ドア、カムイ外伝、96時間
史絵巻が開幕する。
映画化の元とされた物語は、1982年のビッグコミック誌に連
載された「スガルの島」篇と呼ばれるもので、以前の記者会
見での崔洋一監督の発言によると、この物語を選んだのは話
が独立していることと、長大な原作の中で唯一海が舞台だっ
たからだそうだ。
昔の怪獣特撮映画では海の描写はタブーに近いものがあった
が、CGIのお陰でそれも解消されたようだ。そしてこの映
画には、嵐に翻弄される小船や巨大な渡り衆の船、さらには
フカ狩りの様子など海のシーンがふんだんに登場する。
その映像の完成度は、センスの問題として多少気になるとこ
ろはあったが、概ねよく作られているように観えた。その他
にも映像では、白土の原作に描かれた様々な忍法が巧みに再
現されており、それも楽しめるものになっている。
それに加えて、主演の松山ケンイチを始めとする俳優たちが
演じるアクションシーンも、撮影はかなりハードなものだっ
たようで、ここにもCGIによるサポートはあるものの、し
っかりとしたアクションが演じられているものだ。
共演は、カムイが身を寄せる漁師一家の妻スガル役に小雪、
渡り衆のリーダー不動役に伊藤英明。その他、佐藤浩市、小
林薫、大後寿々花、金井勇太、芦名星、土屋アンナ。そして
香港から『風雲−ストームライダーズ』などのイーキン・チ
ェンが参加している。
脚本は崔監督と宮藤官九郎。実は宮藤の脚本には、僕の中で
は作品によって好き嫌いが激しく分かれるのだが、今回は納
得できるものになっていた。といってもお話は原作通りなの
だろうし、アクションは監督の領分だろうから、後は卒なく
纏めたというところか。
白土原作の背景にある差別の問題なども明確に描き込んでい
るのは、さすが崔監督という感じのところでもあるし、映像
やアクションなど、映画の全体として僕には納得のできる作
品となっていた。
著名な原作に人気スターの主演、後はそれに相応のヒットを
期待したいもの。そして物語の続きも観たくなった。

『96時間』“Taken”
またまたリュック・ベッソン主宰ヨーロッパ・コープ製作の
アクション作品。アカデミー賞スター=リーアム・ニースン
の主演で、ヨーロッパ旅行中に犯罪組織に拉致された娘の救
出を目指す父親の大活躍が描かれる。
主人公は、仕事への没頭を理由に妻から離婚させられた男。
しかし娘への思慕が断ち切れず、天職だった仕事も辞めて娘
と妻の住む町で暮らしている。そんな男には、元の仕事仲間
が仕切る著名人のボディガードの仕事が斡旋され、そこでは
危機に際して絶大な能力を発揮する。
そんな男の娘が旅行中に拉致される。その犯行は人身売買を
目的とした旧東欧の犯罪組織の仕業と判明し、麻薬漬けにさ
れて売春組織に売られるまでのタイムリミットは96時間と判
断される。そして男は現地に向かい、昔の伝を使って犯人を
追いつめる。
実は主人公は元CIAというお話で、その能力や組織を最大
限に活用して一気に犯人たちを攻め立てて行く。元々タイム
リミットがある上に、映画の上映時間も93分という作品だか
ら、間怠っこしいところは一切なしで、強烈なテンポで話が
進んで行く。
それはさらに凶悪な犯罪者相手の攻防ということで手加減も
一切なし。打ちのめすは打ち殺すは…の連続で、それが一種
爽快という感じにまで昇華しているのは大したものと言える
作品だ。
脚本は、ベッソンと、『レオン』以来のコンビのロバート・
マーク・ケイメンが担当。監督には、2002年『トランスポー
ター』などの撮影監督で、2004年『アルティメット』で監督
デビューしたピエール・モレルが起用されている。
共演は、『007ゴールデンアイ』や『X−メン』シリーズ
などのフェムケ・ヤンセン、『ジェーン・オースティンの読
書会』に出ていたマギー・グレイス。他に、デビューシング
ルが全英ヒットチャート1位に輝いたという歌手のホリー・
ヴァランスらが出演している。
自分も年頃の娘を持つ父親として、娘に一旦何かことが起き

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06月28日(日)
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