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On the Production
by 井口健二
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■ターミネーター4、コネクテッド、地下鉄のザジ、ウィッチマウンテン+製作ニュース他
自分も大人になったのだなと思えたところだ。
『ウィッチマウンテン−地図から消された山−』
“Race to Witch Mountain”
『スター・ウォーズ』以前の1975年に、ジョン・ハフ監督で
映画化された『星の国から来た仲間』を、ドウェイン“ザ・
ロック”ジョンスン、『テラビシアにかける橋』のアナソフ
ィア・ロブ、『スパイ・キッズ』のカーラ・グギーノの共演
でリメイクした作品。
元々はジュヴナイルSF作家アレクザンダー・ケイ原作の映
画化で、地球に取り残された異星人の兄妹が故郷の星に帰ろ
うとする物語。しかし今回のリメイクではそんな子供たちの
出自などはすっ飛ばして、いきなりカーアクションの展開と
なっている。
それで原題も上記のようになっているものだが、まあそれは
それで展開も早いし、そこにVFXによるアクションやいろ
いろな超能力の描写などが彩りを添え、とやかく言うより、
とにかく楽しめる映画になっているものだ。
とは言うもの、ジュヴナイルSFの味わいはしっかりと残さ
れていて、彼らにとっては異星である地球での異星人兄妹の
逃避行と、それに巻き込まれた地球人の波乱万丈の冒険物語
が展開されて行く。
それは政府機関を始めとする強大な勢力を相手にしての正に
胸のすくようなアクション満載の物語。それにしても、こん
な楽しいものに子供の頃に出会えたら、その子はきっと良い
SFファンになってくれるだろうと思える作品だ。
ただし本作は、宣伝ではSFではなくミステリーとして売ら
れるのだという。その宣伝のやり方などには最早文句を付け
る気持ちもないが、実際、日本におけるSFという言葉の信
頼度の低下ぶりには激しいものがあるのは確かだ。
大体が日本でSFと称しているものは、怪獣との闘いか巨大
ロボットによるドンパチ映画ばかりだから、これではオタク
は生み出せてもファンが育つような環境ではない。
これではSFという単語に大人が眉を顰ても仕方がないもの
で、1970年代、80年代に作られた日本のSF文化は、正に雲
散霧消してしまったようだ。と言ってもそれを作ったのも壊
したのもSF人だから何とも言えないところだが…
なお映画には、オリジナルで異星人の兄妹を演じたアイク・
アイゼンマンとキム・リチャーズも儲け役で登場するなど、
オリジナルのファンにも気を使ったリメイクになっていたよ
うだ。
* *
後は製作ニュースを3本ほど紹介しよう。
まずは続報で、2006年8月15日付第117回で紹介したチェ
ヴィ・チェイス主演の“Fletch”シリーズの続編が再始動し
たようだ。
元々はグレゴリー・マクドナルド原作によるエドガー賞受
賞作の映画化だが、当初はバート・レイノルズやミック・ジ
ャガーらも映画化を希望したものの原作者が拒絶し、その後
にチェイスの主演による映画化が許諾され、1985年に第1作
と89年にその続編も製作されたというもの。因に、原作者の
マクドナルドは昨年9月に亡くなったが、それまでに発表さ
れたシリーズは、1974年の第1作“Fetch”から、1994年の
“Fletch Reflected”まで全11作で形成されている。
そして今回シリーズ再開の映画化が計画されているのは、
マクドナルドが1985年に発表した“Fletch Won”という作品
で、実はこの原作は発表順では8作目だが第1作の前日譚と
して、事件記者フレッチの最初の手柄を描いたものとなって
いる。ところが今回の計画では、チェイスが再び事件記者に
扮するとされているもので、若き日の主人公を演じるのには
多少無理があると考えられてもいたものだが…
今回の発表によると、フレッチは現役を引退して甥にその
バトンを渡していたが、新たな事件の発生にその腰を上げ、
事件を担当している甥にいろいろなアドヴァイスを与えなが
ら事件を解決して行くという展開になっているようだ。これ
なら甥が演じる新米記者の部分との分担で、現在のチェイス
の容姿でも問題なく主演ができそうだ。
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05月31日(日)
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