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On the Production
by 井口健二
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■縞模様のパジャマの少年、幸せのセラピー、エル・カンタンテ、愛と青春の宝塚、セブンデイズ、アイカムウィズザレイン+製作ニュース他
語が、2008年12月に新宿コマ劇場のファイナル公演として舞
台ミュージカル化され、宝塚歌劇団の卒業生たちの共演によ
り上演された。本作はその舞台面をHDTVで撮影した作品
となっている。
いろいろな事情を背負いながら宝塚音楽院の門をくぐった女
性たちが、やがて舞台に立ちスターへの道を歩んで行く。し
かし戦況は厳しさを増し、ついには宝塚大劇場の閉鎖。そし
て彼女たちは、満州など最前線への慰問に駆り出されて行く
が…
物語の中心となるのは、音楽院に同期で入った3人と、当時
の雪組で男役トップの座に君臨する嶺野白雪。その同期生の
1人は、最初は宝塚に対し憎しみを露にしている。一方、自
信に満ち溢れたトップの嶺野は後輩団員の人望も厚く組を率
いている。
そんな女性たちが、密かに思いを寄せる男性への恋心や戦時
の絶望的な環境の中で成長して行く姿が描かれる。そしてそ
こには劇団の脚本家や宝塚に理解を示す海軍の将校、また、
宝塚在住でオサムという名の漫画家志望の少年も登場する。
ところで本作では、巻頭に宝塚歌劇のフィナーレシーンの再
現が登場するが、そこでの大階段の段数の少なさに愕然。僕
は宝塚の舞台は子供の頃に1度観ているだけだが、上述のテ
レビ放送に出てきた大階段の印象は全く違うものだった。
しかし本作にはコマ劇場の最終公演という側面も持たされて
いるのだから、これは仕方がない面でもある。後は割り切っ
て観るしかないとはこの時に気付かされた。その意味ではこ
の構成は、作品の性質を判りやすくするものだったのかも知
れない。
そんな作品だが、戦時中の軍隊以外の生活を描いているとい
う点では日本映画では珍しい作品とも思えた。日本の戦争映
画では、どっちが負けたか判らないような軍隊生活を描いた
作品が多いが、本作では戦時下の人々の苦難や絶望が丁寧に
描かれている。
その意味では、反戦映画としても優れているようにも感じら
れた。そして、そんな状況の中でも生き抜いて行こうとする
人々の強さが描かれていた。
因に本公演はwキャストで行われたもので、僕が観たのは、
その内で湖月わたる、貴城けい主演による版だったが、一般
公開では紫吹淳、彩輝なお主演による版と2作品が上映され
ることになっている。
さらに本作では大鳥れい、映美くららが共演。その他に本間
憲一、石井一孝、佐藤アツヒロらが脇を固めている。
なおHDTVで舞台面を撮影した作品では、松竹系で歌舞伎
の公演がすでに定期的に上映されているが、関西テレビでは
以前から宝塚大劇場の舞台面のHDTV撮影も実施してきた
はず。今後はそれらの作品の劇場上映も期待したいものだ。
『セブンデイズ』“세븐 데이즈”
愛娘を誘拐され、不利な裁判での逆転無罪勝ち取りを強要さ
れた女性敏腕弁護士の行動を描くサスペンス作品。
主人公は無罪獲得率99%を誇る敏腕弁護士。その依頼人は殺
人犯からヤクザまでいろいろだが、常に見事な弁論で検察に
付け入る隙を与えない。しかし、シングルマザーでもある彼
女は、その活躍と引き換えに愛娘と過ごす時間もままならな
い生活だった。
そんな彼女の娘が誘拐される。さらに誘拐犯には警察の動き
も見透かされ、犯人の指示通りに警察を捲いた彼女は、孤立
無援で事に対処しなければならなくなる。そして誘拐犯から
の真の要求は…
1週間後に二審の公判を控える婦女暴行殺人死体遺棄事件。
その現場には前科者でもある被告人の指紋や足跡が多数残さ
れ、被告人の犯行は疑いようが無かった。しかし誘拐犯の要
求は、その被告の無罪放免させること。
そんな状況下で、主人公はたった1人で事件に立ち向かうこ
とになる。もちろんそこには協力者の存在もない訳ではない
が、彼女の真の目的を知る者はいない。そして捜査が進むに
連れて事件は思わぬ方向に展開して行く。
映画は最初から緊張感に溢れる描き方で、その緊張感が2時
間5分の上映時間の最後まで途切れることがない。そしてそ
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05月24日(日)
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