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On the Production
by 井口健二
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■天使と悪魔、九月に降る風、MW、ダニエル/悪魔の赤ちゃん、刺青/背負う女/匂ひ月のごとく
玉木以外の出演者は、山田孝之、石田ゆり子、石橋凌。他に
山田裕典、山下リオ、鶴見辰吾、風間トオル、品川徹らが登
場する。監督は、テレビ『女王の教室』などの岩本仁志が担
当した。
『ダニエル/悪魔の赤ちゃん』“It's Alive”
1974年に公開されてラリー・コーエン監督の名を一躍高めた
ホラー作品のリメイク。因にコーエン監督は、その後に同作
の続編2本でも脚本と監督を手掛けているが、今回は脚本の
みの参加で、監督には1999年『13F』を手掛けたジョセフ
・ラスナックが起用されている。
母親の胎内で異常なスピードで成長した赤ん坊。その赤ん坊
の誕生の時、病院では血生臭い事件が起きていた。しかし麻
酔の施された母親にはその記憶がなかった。そして生まれた
赤ん坊は天使のように美しく、両親はその魅力に取り憑かれ
たようになって行く。
ところがその赤ん坊の周囲では異常な事件が起こり続ける。
そして警察から派遣された心理学者によって、母親は徐々に
真実を思い出し始めるが…
1974年のオリジナルでは、リック・べーカーによって製作操
演された異形の赤ん坊は、正に大暴れするクリーチャーだっ
た。それに対して今回のリメイクでは、赤ん坊は天使のよう
に美しいと表現されている。しかもその姿はスクリーンには
殆ど現れない。
赤ん坊が殺戮を繰り返す本作のジャンル分けはホラーとして
当然のものではあるが、本作の物語の中心は恐怖を引き起こ
す赤ん坊の行動よりも、その赤ん坊を守ろうとする両親の姿
だ。特に真実に気付きながらもそれに見て見ぬ振りをする母
親の哀感などが描かれる。
その描写は、実はオリジナルでも両親の微妙な心情などは描
かれていたものだが、さらに本作ではそこに主眼を置くこと
で、従来のいわゆるクリーチャー物とは一線を画した作品に
なっている。
このような新作の意図は、当然脚本に参加したコーエン監督
の狙いでもあるのだろうが、敢えて続編とせずにリメイクと
したことで、新たに物語の仕切り直しをすることにも成功し
ている。それもコーエン監督の狙いだったのかな。
出演は、2007年にクエンティン・タランティーノが製作した
ホラー作品『ホステル2』などに出演のビジュー・フィリッ
プスと、イギリスのテレビで活躍しているジェームス・マー
レイ。他に2005年『ナニー・マクフィーの魔法のステッキ』
などのラファエル・コールマンが共演している。
『刺青/背負う女』
『刺青/匂ひ月のごとく』
谷崎潤一郎原作の映画化では、2006年1月と11月にそれぞれ
1本ずつを紹介しているが、今回はさらに2本の新作が公開
されることになった。
原作とは言っても、映画化はいずれも物語を現代化したもの
で、女性が刺青を入れることによってその性格や人生を変え
て行くというコンセプトだけを残して、そこにいたる展開な
どは自由に発想されている。むしろインスパイアと言った方
が良いような作品群だ。
そこで今回の作品では、まず「背負う女」は、CMモデル出
身の井上美琴が扮する女性雑誌記者が主人公。その女性は、
妻子ある男性との不倫や両親の離婚・再婚などで落ち着かな
い生活を送っていた。
そんな主人公が、ふとしたことからやくざの男とつきあうよ
うになる。その男の背中には見事な刺青があり、一方、取材
で日本画の美術展を訪れた主人公は、そこに現れた女性刺青
師にも興味を抱く。
そんなことで生活にもちょっと張りの出てきた主人公だった
が…やがて起こる1つの悲劇が、彼女を刺青の世界へと導い
て行く。
このやくざの男を、2004年『パッチギ!』などの波岡一喜が
演じ、女性刺青師には2007年『バブルへGO!!』などの伊藤裕
子が扮している。監督は、2006年『ベロニカは死ぬことにし
た』などの堀江慶。
そしてもう1本の「匂ひ月のごとく」は、ホリプロ所属の井
村空美が主人公。さとう珠緒扮する姉と共に両親の遺したダ
ンススタジオを経営しているが、ダンスのチャンピオンを目
指し何事にも華やかな姉の陰に隠れた存在だ。
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05月10日(日)
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