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On the Production
by 井口健二
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■第180回
そしてこの人形シリーズは、1969年のアポロ11号による月面
着陸の前後には最大級のヒットを記録し一世を風靡したもの
だが、アポロ計画が終焉に向かった1970年代に引退、玩具の
ラインアップから姿を消してしまっていた。
 その宇宙飛行士人形の活躍を再び描くというもので、その
計画に、1995年の『アポロ13』では月面にあと1歩まで迫っ
たトム・ハンクスが主演。さらに脚本には、1998年ハンクス
製作総指揮のミニシリーズ“From the Earth to the Moon”
にも協力した『スピード』(1994年)などのグラハム・ヨス
トの契約が発表されている。因にこの計画は、マテル社側か
らハンクス主宰のPlaytoneに齎されたものだが、その会合の
席でハンクス自身が主演を希望したとのことだ。
 お話は上記の主人公の設定からも明らかなように、完全に
フィクションのものだが、ハンクス主演となれば宇宙開発を
描いた上記の2作品のイメージに繋がることは必至で、彼が
繰り広げる月面探査の物語は、現状では月面の再探査などに
も進捗の見られない宇宙開発に対して、期待を込めた夢を語
ることにもなりそうだ。前記の2作品を手掛けたハンクスは
NASAの関係者にも知人は多そうだし、そんな人たちの後
押しもあるのかも知れない。
 最近の出演作は、大体年1本となっているハンクスだが、
2009年“Angels & Demons”の公開後の予定は、“Toy Story
3”の声優を除くと、実写の出演はバリー・レヴィンスン監
督の“Boone's Lick”という西部劇が、2010年公開見込みで
プレプロダクション段階になっているだけで、具体的なスケ
ジュールは空白。今回の計画は、できることなら2011年の公
開ぐらいで実現してもらいたいものだ。
        *         *
 またまた3部作の話題で、『トワイライト』シリーズや、
『パニッシャー:ウォー・ゾーン』なども手掛けるライオン
ズゲートから、昨年秋に出版されたスサンネ・コリンズ原作
の未来小説“The Hunger Games”の映画化権を獲得したこと
が発表された。
 物語は、生放送のテレビ番組で命を賭けて闘う10代の少年
少女たちが、その社会のシンボルとして敬われている未来世
界を描いたもの…とのこと。生命を賭けた闘いをテレビで生
中継するというお話は、『華麗なる殺人』から『ローラー・
ボール』『デス・レース』まで枚挙にいとまがないが、特に
最近のアメリカでは、各種のリアリティ・ショウの人気など
で注目を浴びそうな題材というところだ。
 そしてこの原作本は、ニューヨーク・タイムズのベストセ
ラーリストに25週連続でランクインを果たした他、『トワイ
ライト』の原作者ステファニー・メイヤーが絶賛したとも伝
えられている。またこの原作は、3部作の第1巻を成してい
るとのことで、今年9月には第2巻の“Catching Fire”の
刊行が予定されているそうだ。
 その映画化権をライオンズゲートが獲得したものだが、さ
らに同社では、ジェリー・ブラッカイマーの許で“POTC: At
World's End”や“Deja Vu”の製作に携わったニーナ・ヤコ
ブスンが設立したプロダクションをパートナーに据えて、新
たなシリーズ化に向けて計画を進めるということだ。
 10代の少年少女が主人公というのは、時間の掛る映画製作
ではキャストの選定から慎重に行う必要があるが、本格的な
未来物ということでは期待も湧くし、楽しみに待ちたい作品
だ。
        *         *
 以下は続報で、2003年10月15日付第49回で紹介したボビー
&ピーター・ファレリー兄弟監督“The Three Stooges”の
映画化が、ソニー傘下のMGMで進められると発表された。
 しかもその配役に、ラリー=ショーン・ペン、カーリー=
ジム・キャリー、そしてモー=ベニチオ・デル・トロという
飛んでもない発表がされている。
 因にこの計画では、当初、監督兄弟はオリジナルの短編映
画が作られたコロムビアでの製作を試みたが合意に至らず、
その後の以前紹介の当時はワーナーでの製作準備が進められ

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04月01日(水)
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