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On the Production
by 井口健二
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■第177回
乗った兵士たちは月の裏側に着陸、そこで強力な艦隊を建造
する。そして2018年、ナチスの宇宙艦隊が地球侵略に向けた
準備を開始する…というものだ。
日本でも、帝国海軍がどこかに隠れて艦隊を建造している
という話があったような気がするが、月の裏側からの侵略と
いうのは大変なものだ。ただし本作は侵略戦争を描くのでは
なく、侵攻の準備として月の基地から地球の様子を探るため
派遣された女性将校を主人公としたもの。しかもその将校役
には、コメディ映画で人気の女優が起用されているとのこと
で、それなりに捻った作品にはなりそうだ。
とは言うものの、VFXはかなり使用されるとのことで、
そのための製作費の調達が検討され、その支援に向けてイン
ターネットが活用されたとのこと。そこには200万人以上の
支援者が登録されているそうだ。なお映画の製作は、フィン
ランドの映画会社と、ベルリンに本拠を置く映画会社の共同
で進められている。
因にフィンランドでは、2006年に『スター・トレック』の
パロディ作品“Star Wreck: In the Pirkinning”がネット
で無料配信されて2カ月間で350万人が鑑賞。これが同国の
映画観客動員数の歴代記録になっているそうだ。今回の作品
は劇場での公開が目指されているようだが、何とか日本でも
観られるようにして欲しいものだ。
* *
昨夏公開の『ダーク・ナイト』が全世界興行で10億ドル突
破を記録したワーナーとクリストファー・ノーラン監督が、
同監督が新たに執筆した脚本について、7桁($)の契約を
発表した。
この脚本は“Inception”と題されているもので、内容は
精神の構造を題材にした現代が背景のSFアクションとのこ
と。それ以上の具体的な物語は明らかにされていないが、製
作担当のワーナーの幹部からは、「ノーラン監督は、自分の
作る作品ごとに、その関門の高さを上げているようだ」との
発言がされていた。『メメント』や『インソムニア』の監督
が、今度はどんな物語を仕掛けてくるか楽しみだ。
なお、契約金額については、ワーナーとすれば『ダーク・
ナイト』の続きを確保するためにも、当然の金額と考えられ
ているようだ。そして今回の作品はノーランの次回作として
2010年夏の公開となっており、このペースで進めば2012年に
は「バットマン」の第3作が期待できることになりそうだ。
* *
昨年2月に紹介した『ジェーン・オースティンの読書会』
は、その時にも書いたようにネビュラ賞受賞SF作家の原作
によるものだったが、そこに描かれた世界がよほどSFファ
ンの心をくすぐるのか、今度はオースティン世界にタイム・
トラヴェルするというお話が映画化されることになった。
題名は“Lost in Austen”。物語は現代のニューヨークで
ボーイフレンドと同棲中のオースティンファンの女性を主人
公にしたもので、その主人公がある日のこと『高慢と偏見』
のエリザベス・べネットと入れ替わって…というもの。元は
ロンドンを舞台にして去年秋に放送されたイギリスのテレビ
ミニシリーズがあり、今回はそのミニシリーズを製作した会
社がそのまま映画版も手掛けるとのことだ。
そしてその映画版の製作者として、『アメリカン・ビュー
ティ』で1999年のオスカー監督賞を獲得し、『君のためなら
千回でも』などの製作も手掛けたサム・メンデスの参加が発
表されている。また脚本は、テレビシリーズも担当したガイ
・アンドリュースが映画版も手掛けており、アンドリュース
は映画版の製作総指揮も担当するそうだ。
監督は未定で、配役や製作時期も未発表の計画だが、製作
会社は『…読書会』と同じコロムビアとなっており、完成す
れば続編のような雰囲気での売り込みともなりそうだ。なお
メンデス+コロムビアでは、昨年11月15日付第169回で紹介
したようにグラフィックノヴェル原作の“Preacher”という
計画も進めており、こちらはメンデスの監督になっている。
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02月15日(日)
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