ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460268hit]

■第174回
『ベンジャミン・バトン』の評価も高くなっているし、なん
とか実現してほしいものだ。
 なおフィンチャーは、原作となる雑誌及び1981年の映画化
については、「『ブレードランナー』も『エイリアン』も、
Heavy Metal抜きには誕生しなかった。それに世界中の何処
のCGスタジオに行ってもこの雑誌が必ず目に留まる。その
影響力は計り知れないものだ」として作品の価値をアピール
していたようだ。
        *         *
 新規の情報で、アメリカのSF作家フリッツ・ライバーが
1943年雑誌発表した長編小説“Conjure Wife”の映画化を、
ソニー傘下のユナイテッド・アーチスツ(UA)とフランス
のカナル+の共同で進める計画が発表された。
 原作の物語は、大学教授の主人公が不思議な幸運に恵まれ
ていることに気づき、それが妻の魔力によってなされたもの
であることを知って…というもの。単純には映画化もされた
『奥様は魔女』を連想するお話だが、この原作からは1944年
に“Weird Woman”、1962年にはイギリスで“Night of the
Eagle”(アメリカ題名は“Burn, Witch Burn”)、1980年
に“Witches Brew”の題名での映画化がすでにされていると
のことだ。
 因に、1962年の映画化はSF作家のリチャード・マシスン
とチャールズ・ボーモントが脚色を務めたもので、その未出
版の脚本は2月に発行されるマシスンのトリビュート短編集
“He Is Legend”に収載されるそうだ。
 そして今回の映画化は、その1962年版の権利を獲得した上
記の2社がリメイクを進めるもので、その脚色と監督には、
2003年『ニュースの天才』などのビリー・レイの契約が発表
されている。このレイ監督は、脚本家として2005年の『フラ
イトプラン』や、ワーナー製作“Westworld”のリメイクの
脚本にも起用が発表されており、この他にも、1994年のSF
テレビシリーズ“Earth 2”の全21エピソードの脚本も手掛
けたとのこと。彼のSFセンスに期待したいところだ。
 それから本作の原作本は以前に翻訳されたことはあるが、
現在は絶版のようで、これを機会にその再刊も期待したい。
        *         *
 次もUAの情報で、製作者として『魔法にかけられて』な
どを手掛けたバリー・ソネンフェルドが、監督復帰を目指し
て“The How-To Guide for Saving the World”と題された
アクションコメディの計画を進めている。
 この計画は、昨年4月に紹介した『シューテム・アップ』
にアシスタントとして参加していたというベンデイヴィッド
・グラビンスキーの脚本を映画化するもので、そのお話は、
異星人の侵略から地球を守るべく活動してきた秘密の防衛組
織が壊滅し、残された防衛マニュアルがある男の手に渡る。
ところがその男は全くヒーロータイプではなく、しかも彼を
嫌っている女性がそのマニュアルの存在を知ったことから、
否応なしに地球を護らされる羽目に陥る…というもの。
 かなり強烈なお話になりそうだが、ソネンフェルド監督は
元々『メン・イン・ブラック』の監督も手掛けた人だから、
この手の作品はお手のもの、それに設定自体が『MIB』に
共通するところもあり、これは面白くなりそうだ。
 因にソネンフェルドの監督は2006年“RV”以来となるが、
その間はテレビシリーズなどを手掛けていたようで、満を持
しての監督復帰にも期待したいものだ。
        *         *
 ということで、今回は情報収集期間がクリスマス+年末と
いうことでもあって目に付く情報が乏しく、ここらで筆を置
くことにしたい。今年も製作情報と映画紹介をがんばります
ので、ご愛読の程よろしくお願いいたします。

01月01日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る