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On the Production
by 井口健二
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■大阪ハムレット、ハイスクール・ミュージカル、ハルフウェイ、サーチャーズ、花婿は18歳、プライド、長江にいきる、NIGHT☆KING
奇想天外な三つ巴の荒野の決闘と、大団円へと雪崩れ込む。
しかもその間には、ブランド志向や中東戦争、さらには映画
の著作権までアメリカ合衆国及び映画産業に対するいろいろ
な風刺や批判も満載という作品だ。まあ映画ファンには結構
笑えると思うし、恐らく最後は呆気に取られることにもなる
だろう。
出演は、デル・ザモラとエド・パンシューロ。それぞれコッ
クス作品には8作目、7作目という常連と、新人のジャクリ
ン・ジョネット。また、製作総指揮としてロジャー・コーマ
ンが名を連ねている。
なお、試写後には監督へのQ&Aが行われたが、そこでは僕
もいろいろと質問させてもらえた。その最初には、本作をフ
ィルムでなくHDで撮影した点を訊いてみたが、その答えは
一長一短。長所は手軽なこと、短所は上映基準が確立してい
ない点とのことだ。因に本作の撮影では、ソニー製のHVR
−Z1Uが使用されている。
また、クレジットにフィル・ティペットの名前があることを
訊いてみたが、本作の製作に『ロボコップ』などを手掛けた
ジョン・デイソンが参加してくれた伝で、大団円のVFXを
頼んだとのこと。さらに、次回作はもう少し大型予算になる
ので、その作品でも使いたいとも語っていた。
因に、その作品“Repo Chick”は、『レポマン』を女性の主
人公でリメイクするもので、その主演には、本作で娘役を演
じたジョネットを起用したいそうだ。
一時は、反米のニカラグアで映画を撮るなどしてハリウッド
から干された経緯もあり、その後は、日本でテレビシリーズ
『濱マイク』のエピソード監督などを務めたこともあるコッ
クスだが、そろそろ巻き返しのモードに入ってきたようだ。
『花婿は18歳』
時代を超えて巡り会うことを運命付けられた男女が、現代に
おいても赤い糸で結ばれる。ところが今回の女性は38歳、ケ
ンブリッジ大学の研究者から叔父に請われて私立高校の校長
に就任するため帰国。男性は18歳、その高校の生徒会長とい
う間柄だった。
しかも校長には、前任者が生徒にラヴレターを送ったために
解任されて、学校内の風紀を正すという責務が与えられてお
り、一方の生徒会長は、嘘を吐こうとすると呼吸困難になる
という特異体質だった。
そこで、生徒会長が卒業するまでの3カ月間は、結婚してい
る2人の関係を秘密にしたまま過ごそうと決めるのだが…
脚本は『星空のむこうの国』などの小林弘利。この脚本家は
基本ファンタシーの人だと思っているが、だからこそできる
無茶苦茶な設定と、その無茶苦茶な設定の中で無理矢理辻褄
を合わせてしまう面白さという感じの作品だ。
大体、38歳と18歳の結婚を、ただ赤い糸で結ばれていたから
というだけで片付けてしまうのも凄いが、それを物語の終盤
ではちゃんと2人の愛として描いているのも、見事にやられ
たという感じの展開になっていた。
物語のベースには当然『おくさまは18歳』(1970〜71年)
がある訳だが、飛鳥→愛子、哲也→雅也という主人公たちの
名前の付け方にも、脚本家のこの時代のテレビ番組への思い
入れが感じられた。
主演は、『カフェ代官山』の大河元気と元宝塚娘役トップの
純名りさ。さらに加地千尋、小野健斗のフレッシュな2人が
共演。他に、長澤奈央、日向丈、白木みのる、麿赤兒、田中
要次、上田耕一らが脇を固めている。
監督は、『カフェ代官山』などの武正晴。かなりおふざけも
多い作品をそつなく撮っている感じで、特に突然のミュージ
カルシーンなども無難にこなしており、本当はもう少し洗練
されて欲しいが、まずは及第点だろう。後の希望としては純
名の踊りも観たかった程度だ。
まあ、突っ込みどころはいろいろある作品だが、それなりに
頑張ってはいるという感じで、評価をしておきたい。
『プライド』
一条ゆかり原作コミックスの映画化。漫画家デビュー40周年
記念とのことで、原作者初の映画化作品となっている。
女性向けコミックス特有のドロドロした女の戦いが描かれた
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11月23日(日)
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