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On the Production
by 井口健二
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■寝取られ男のラブ♂バカンス、旭山動物園物語、赤い糸、アライブ、ヘブンズ・ドア、女バス、空へ、チェ28歳の革命/39歳別れの手紙
像は巧みで相互に写し出される現在のインタヴューとの繋が
りもうまく構成されている。しかしここまでの部分は、僕自
身も当時の報道などで知っていた内容の再確認でもある。
そして墜落事故、その顛末も記憶の再確認だったが、その後
の核心に迫る辺りからの生還者たちの発言が胸を突き刺し始
める。そして正に核心部分に関しては、生還者たちの発言と
巧みな再現映像で、その時の彼らの心情が真に理解できるも
のになっていた。
もちろん、その中を生き抜いた彼らの信念は賞賛されるもの
だし、そこでの彼らの苦しみも理解しているつもりだった。
しかし、字面ではない映像で語られることで、何かその思い
を共有できたような、そんな気持ちにもさせてくれる作品。
さらに30年以上を経て再び遭難現場を訪れた彼らの姿や、何
よりその事故の再現映像は、本当にそこで過ごし、その山々
を越えていった極限の状況の再現で、それを成し遂げた彼ら
の意志の強さを見事に写し出している。
当時、一時は非難の矢面にも立たされた彼らだが、その記録
映像の中で沸き上がる拍手の音が何にも代えて人間の素晴ら
しさを感じさせてくれる作品でもあった。

『ヘブンズ・ドア』
ボブ・ディランの楽曲‘Knocking on Heaven's Door’から
発想を得て1992年にドイツで製作された映画作品を、2006年
のアニメーション『鉄コン筋クリート』を手掛けたマイクル
・アリアス監督が、初の実写監督として日本を舞台に描き直
した作品。
ドイツ版のオリジナルは観ていないが、ストーリーの紹介を
読むとかなり共通する部分は多いようだ。
ただし、オリジナルが男2人のバディムーヴィであるのに対
して、リメイクでは年の離れた男女を主人公とし、さらにか
なりアヴァンギャルドだというオリジナルより、しっとりし
た情感のある作品に仕上げている。
とは言うもののアニメーションの監督らしく、アヴァンギャ
ルドな雰囲気も絶妙な配合で取り入れているのはさすがとい
う感じがする作品だった。
物語は、健康診断で見つかった脳腫瘍がすでに手遅れで、余
命長くて3日と医者に言われてしまった28歳の男性と、同じ
病院に7歳から入院し、海を見たこともないまま余命1カ月
とされる14歳の少女が、最後に海を見ようと病院を脱走する
ことから始まる。
しかもその脱走に使った車は…そのため、とんでもない事件
を引き起こして警察に追われる羽目に陥ったり、他にも彼ら
の命を狙う連中も現れて…それでも2人は海を目指して突き
進んで行く。
物語はかなりアヴァンギャルドだが、これを雨や海や、街や
田園や、高層ビルや洞窟などのいろいろな背景を組み合わせ
て、見事な映像の中で展開させている。
そしてこの物語を演じているのが、『真夜中の弥次さん喜太
さん』の長瀬智也と『日本沈没』に出演の福田麻由子。長瀬
は、試写会の舞台挨拶で前作を紹介されて苦笑いしていたの
が面白かったが、本作では、出だしはステレオタイプの演技
から徐々に感情のこもった演技に向かっていく展開が良い感
じだった。
共演は、長塚圭史、薬師丸ひろ子、田中泯、三浦友和。その
ほか多彩なゲスト出演も楽しめる。なお試写会は、海に向か
うという映画のテーマに合わせて、豊洲にあるユナイテッド
シネマで行われたが、日本最大級といわれるスクリーン10の
迫力も良い感じだった。

『女バス』“The Heart of the Game”
題名は「じょばす」と読ませて「女子バスケットボール」を
表わす。
その女子バスケットボールのアメリカチームは、北京オリン
ピックで4連覇を達成したのだそうで、そのサクセスストー
リーでも見せられるのかと思っていたら、予想に反して現代
アメリカの縮図のようなものを観ることになった。
バスケットボールが、アメリカの国技とも言われ強いことは
知っていたが、本作はその基礎部分とも言える高校女子バス
ケットボールの現状を描いたドキュメンタリー作品だ。
映画の舞台はシアトル。そこにあるルーズベルト高校の女子

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11月16日(日)
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