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On the Production
by 井口健二
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■シリアの花嫁、蘇る玉虫厨子、アンダーカヴァー、鎧−サムライゾンビ−、その男ヴァン・ダム、ミーアキャット、無ケーカクの命中男、斬
そこは、以前に突然狂った村人が8人を惨殺し、それ以来廃
村になったという禁断の場所だった。
ここで惨殺されたのは8人、それに対する登場人物は、家族
4人+強盗団3人+警官2人の計9人。つまり、多い1人は
最後に助かるのか、それとも…という興味になる。その辺の
理路整然とした構成が、何とも気持ちの良い作品だった。
北村龍平の作品は、以前から一通りの評価はしているつもり
だが、アイデアの奇抜さや映像の面白さは買えるものの、物
語の構成は今一つ弱い感じがしていた。一方、坂口拓は、元
『VERSUS』に出ていた俳優だが、『魁!!男塾』は構成
も良く好きな作品だ。
その2人のタッグは、ある意味見事な相乗効果が得られたと
いう感じがした。挨拶で北村は「サムライゾンビ」という言
葉だけから考えた物語と称していたが、脚本では1回しか出
てこない「死んじゃうじゃん」という言葉を繰り返しのギャ
グに発展させるなど、坂口の演出が見事に決まっている感じ
もした。
そして何と言っても物語の結末の見事さ、この結末がクリエ
ーター2人のどちらの手になるものかは知らないが、最近の
この手の作品では出色のものにも感じられた。
出演は、女装の桜塚やっくんこと植田浩望が素顔で登場する
初主演映画だそうで、他は、AV出身の夏目ナナ、いしだ壱
成、荻野目慶子、やべきょうすけら。植田と夏目の演技はま
だ固い感じだが、この作品には問題ないだろう。
それに加えて、この作品ではいしだがなかなか良い感じで、
特にいくら倒されてもゆらりと立ち上がる姿には妖気さえ感
じられた。舞台挨拶の発言ではスタントも気に入ったようだ
し、このキャラクターでスピンオフしても面白そうだ。
『その男ヴァン・ダム』“JCVD”
アクション俳優のジャン=クロード・ヴァン・ダムが、ヴァ
ン・ダム本人を演じるという自虐的コメディ・アクション映
画。
物語の中のヴァン・ダムは、別れた妻と愛娘の親権争いの裁
判中。一時は一世風靡したスターも最近はギャラも下がり、
起死回生の期待された新作はスティーヴン・セガールに役を
奪われるという状況で、弁護士費用にも事欠いている。
そんなヴァン・ダムが傷心の思いで母国ベルギーに帰国し、
エージェントから振り込まれたはずの現金を引き出そうと郵
便局を訪れるが…そこでは強盗事件が進行中。しかもヴァン
・ダムはその犯人に誤認されてしまう。
こうして、ベルギーが生んだ大スターの凶悪犯罪に世間は大
騒ぎとなるが…
映画のプロローグでは、かなりの長回しのアクションシーン
が登場する。それは何かの戦場でヴァン・ダム扮する男が、
空手やガンアクションで次々相手を倒して行くというものだ
が、後半段々よれよれになって行く姿が見事に「演じ」られ
ていた。
つまりこのシーンでは、本物のヴァン・ダムはまだまだやれ
そうなのだが、そのヴァン・ダムがよれよれになった男を演
じているのが実に楽しそうで、見ていて嬉しくなってくる作
品だった。
ヨーロッパ出身のヴァン・ダムという俳優が、ハリウッドで
は必ずしも優遇されていないのはいろいろな状況から容易に
見て取れるところだが、この作品はそんな批判的な部分も含
めて、ヨーロッパ人にとってのヴァン・ダムへの思いが込め
られている。そして、その思いにヴァン・ダム本人が見事に
答えてくれた作品というところだ。
脚本・監督は、本作が長編2作目というマブルク・エル・メ
クリ。最初に時間軸を入れ替える描き方は、本作の場合はあ
まり効果的ではなかったように感じたし、監督としてはまだ
未熟な感じだが、一所懸命に描こうとしている態度は好感が
持てた。
それから、この映画はフランス・ゴーモン社の作品だが、巻
頭のロゴマークがパロディになっていた。最近のハリウッド
映画では良く見かけるものだが、フランス映画では…?と、
これも楽しくなった。
『ミーアキャット』“The Meerkats”
『アース』などのBBC製作によるネイチャー・ドキュメン
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11月09日(日)
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