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On the Production
by 井口健二
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■第169回
ヒューゴー、ネビュラ両賞を同時受賞しているものだ。
 物語は、人類がブラックホールを応用したワープ航法を開
発して大宇宙に進出した未来が舞台。その遠い宇宙で異星人
と遭遇した人類は彼らと戦争状態になる。その戦争に主人公
は兵士として参戦する。しかし数ヶ月の兵役の後に帰還して
みると、その間に地球では20年の歳月が流れ、故郷は見慣れ
ぬ土地になっていた…というもの。
 この原作についてスコット監督は、「『オデュッセイア』
と『ブレードランナー』を足して2で割った様な作品」と称
しているが、原作の発表当時は「ベトナム帰還兵だった作者
の心情が色濃く出ている」と理解された作品だったようだ。
 そしてこの映画化に関しては、スコット監督は、1982年の
『ブレードランナー』の公開直後にも希望をしていたが、そ
の時は映画化権がすでに設定されていたため手が出せなかっ
たのだそうだ。実はその時、映画化権を所有していたのは、
『スター・ウォーズ』などを手掛けたVFXマンのリチャー
ド・エドランド。彼は1983年の『ジェダイの復讐』を最後に
ILMから離脱した後、40万ドルの自費でこの映画化権を獲
得。自らの監督デビュー作としてその映画化を検討していた
とのことだ。
 なお、僕は1983年に来日したエドランドにインタヴューを
させてもらっているが、この時、次回作の予定を訊いたとこ
ろ、「幽霊ものと、もう1本、絶対秘密のプロジェクトがあ
る」と答えてくれた。この「幽霊もの」が1984年『ゴースト
バスターズ』だったことはすぐに判明したが、「もう1本の
プロジェクト」と言うのがどうやらこの作品だったらしい。
しかしこの計画は、結局実現しなかった。
 その計画にスコット監督が満を持して再挑戦するもので、
スコット監督は6カ月の交渉の末にエドランドから原作の映
画化に関する全権利を獲得し、自ら製作も兼ねて計画を進め
るというものだ。脚本家などはこれから選考することになる
が、出来るだけ早期に実現したいとしている。
 上記の“Brave New World”と、どちらが先に実現される
かは未定だが、いずれにしても『ブレードランナー』以来と
なるスコット監督の本格SF映画への挑戦には、期待大とい
うところだ。
        *         *
 ここからはコミックスの映画化で、まずは、ヴァージン・
コミックスから派生したリキッド・コミックスが発行してい
たグラフィックノヴェル“Ramayan 3392 AD”の映画化を、
2003年にアンジェリーナ・ジョリー主演『すべては愛のため
に』などを手掛けたマンダレイ・ピクチャーズが行うと発表
した。
 原作の物語はインドの伝説に基づくもので、ラーマ王子と
呼ばれる青い肌の戦士を主人公に、祖国を襲う悪の軍団から
愛する者を救うため戦う姿が描かれているとのこと。ただし
“…3392 AD”というのには何か意味がありそうだ。そして
この原作から、『ハッピー・フィート』などを手掛けたジョ
ン・コーリーが脚色することも発表されている。
 因に、この原作は2006年に初版発行されたものだが、実は
リキッド・コミックスは現在は出版を廃業しているもので、
現在同社では、過去に出版した作品の権利の管理などを行っ
ている。そしてこの原作に関しては、すでにソニー・オンラ
インからRPGとしての展開も契約されているとのことだ。
 つまり映画とゲームの両面から製作が進められるもので、
うまく行けばかなり大きな事業になりそうだ。なおリキッド
・コミックスの関連では、ニュー・リジェンシーでジョン・
モーア監督が進めている“Vuruents”と、2007年8月1日付
第140回で紹介したガイ・リッチー監督によるワーナー作品
“The Gamekeeper”も同社の管理している作品とのことだ。
 今回の計画は、まだ監督も発表されていないものだが、脚
本家のコーリーは、前々回に紹介したダーウィンの伝記映画
“Creation”の脚色も担当している人。一方、映画化を行う
マンダレイも、過去『ジャケット』や現在も“The Birds”

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10月15日(水)
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