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On the Production
by 井口健二
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■ファニー・ゲームU.S.A.、ぼくのおばあちゃん、むずかしい恋、カフェ代官山2、反恋愛主義、バンク・ジョブ、252(追記)
んだと言える作品だ。従って個々のエピソードははっきり言
ってかなり薄いが、最近の若者映画の展開は大体がこんなも
のだろう。
ただし本作では、それぞれのエピソードの中に言いたいこと
がしっかりと判るように描かれているは見事だった。
出演は、相場弘樹、桐山漣、大河元気の3人に、中原和宏、
馬場徹。そして2005年『七人の弔い』に出演の中村倫也が若
き日のマスターを演じている。
まあ、他愛ない作品であることは確かだし、イケ面ファンの
女性がターゲットの作品であれば、ただイケ面を写しさえす
れば良いというものではある。しかし、そんな中でもそれぞ
れのキャラクターを過不足なく描くのも、また技術と言えそ
うだ。
なお、前作では琴の演奏シーンであまり手元が写らなかった
と思う桐山が、本作ではそれなりに自分で演奏しているのに
も感心した。

『反恋愛主義』“Csak szex és más semmi”
英語題名は“Just Sex and Nothing Else”というハンガリ
ー製のラヴコメディ。
日本では昨年公開された歴史ドラマ『君の涙ドナウに流れ』
も手掛けて、本作と共に2006年のハンガリー映画興行1位、
2位を独占したというクリスティナ・ゴダ監督の長編デビュ
ー作。
主人公は30歳過ぎの女性脚本家。人気劇団での仕事も順調、
生活環境も充実している彼女だったが、恋愛環境は最悪。昔
からの女友達は早々結婚して出産を控えているのに、彼女は
恋人の弁護士に妻子がいたことが発覚。おまけに半裸でベラ
ンダに押し出され…
そんな彼女の劇団に客演俳優としてプレイボーイで名高い男
優がやってくるが、恋愛に不信感の彼女は、恋愛よりセック
ス=シングルマザーの道を目指すことに。しかし、精子バン
クの実情を見たり、ネットの恋人募集は飛んでもない事態も
引き起こしてしまう。
ということで、かなり過激な大人の恋愛模様が描かれる。し
かも、この作品の演技でハンガリー批評家賞の主演女優賞を
受賞したというユデット・シェルが正に体当たりの演技を見
せてくれるから、これはお楽しみも充分の作品だ。
それにしても、元共産圏のハンガリーからこんなに愉快なラ
ヴコメが登場するとは思いも寄らなかった。ただし共同脚本
も手掛けたゴダ監督は、イギリスの国立映画テレビ学校と、
アメリカのUCLAでも学んだとのことで、欧米式の映画製
作は本物のようだ。
共演は、2002年版『ローラーボール』や『氷の微笑2』にも
出ている国際女優のカタ・ドボーと、2003年の“Kontroll”
という作品で主演を張っているシャーンドル・チャーニ。こ
の2人はゴダ監督の『君の涙…』にも出演している。
携帯電話やインターネットも当然のごとく出てくるし、元共
産圏と言ってもその現在の生活は我々と全く変らないものに
なっているようだ。しかもその中で、この映画のように大人
の楽しめる作品が興行のトップを争うというのも素晴らしい
こと。
聞き慣れないハンガリー語の台詞に最初は多少戸惑ったが、
どこの国にも共通の大人の恋愛模様を丁寧に描いた作品で、
『SEX AND THE CITY』の対抗馬としても面
白い作品に思えた。

『バンク・ジョブ』“The Bank Job”
1971年にロンドンで起きた銀行の貸金庫強奪事件を巡る実話
に基づくとされる作品。
この映画の内容によると、その事件は英国王室のスキャンダ
ルや政界スキャンダルとも連動し、そのため事件の途中から
は報道が一切封じられたとのことだ。その事件の全貌が初め
て明らかにされる。
物語は、南海のリゾートで奔放な女性の姿が撮影されたこと
から始まる。その写真を入手した黒人活動家の男はイギリス
に渡り、そこで麻薬の密輸や暴力事件などを引き起こす。し
かし、写真の公開を恐れるイギリス政府はその男に手出しす
ることができない。
そんな中で英国諜報部(MI-5)は、その写真の保管された銀
行の貸金庫を特定するが、表立ってはその差し押さえを行え
ない。そこでMI-5は策略を巡らし、ある女性を使って街のチ

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09月21日(日)
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