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On the Production
by 井口健二
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■第167回
パラマウント側は「お前(フィンチャー)の他の計画にゴー
サインは出さない」との宣告してしまったようだ。
これに対して、フィンチャーは「f**k You.それなら俺は
“Heavy Metal”を別の会社で立上げてやる」と返答して、
イーストマン共々ソニーへの計画の移動を決めてしまったの
だそうだ。
この報道では、ソニー側がそれを受けたかどうかは不明だ
が、元々1981年のオリジナル『ヘビーメタル』の配給はコロ
ムビアが手掛けていたもので、まあ元の鞘に納まったという
感じもするところだ。海外のデータベースでは、製作会社は
まだパラマウントのままになっており、具体的な作品の進捗
状況は不明だが、楽しみに待ちたい作品だ。
ただしこれに関連しては、フィンチャーとパラマウントの
作品が全てキャンセルされるとなると、同社で彼が進めてい
たアーサー・C・クラーク原作“Rendezvous With Rama”に
も影響が出てくることになる。しかしこの作品は、俳優のモ
ーガン・フリーマンが権利を所有してパラマウントでの製作
を契約しているもので、フィンチャーがいくら気に入らなく
ても彼一人の意向では決められない。フリーマン、フィンチ
ャーの双方がお気に入りの計画ということなので、その去就
も気になるところだ。
* *
もう1本、2007年にコロムビアから公開されたニコラス・
ケイジ主演『ゴーストライダー』の続編も、今度はコロムビ
アに、原作権利者のマーヴェル・スタジオも参加して進めら
れることになりそうだ。
昨年公開された“Ghost Rider”の映画版は、全世界合計
で2億2870万ドルを稼ぎ出したとされている。ところが本作
の製作では、映画が一旦完成した後でVFXシーンが追加さ
れるなどしたために、製作費が1億1000万ドルも掛ってしま
った。このため収支バランスではあまり大ヒットしたとは言
えず、実は続編に関してもあまり期待はされていなかった。
しかしコミックス王国の覇者を目指すマーヴェルとしては
キャラクターを中途半端なままの状態にはしたくなかったよ
うで、コロムビアとマーヴェルがリスクを分担する形で続編
の検討が進められることになったようだ。
しかもこの報告は、実はニコラス・ケイジ本人の口からも
たらされたもので、新作の“Bangkok Dangerous”(2001年
東京国際映画祭で上映された『レイン』のハリウッド版リメ
イク)のプロモーションに登場したケイジが、2社による続
編が3ヶ月前から検討中で、彼自身にも主演のオファーがさ
れていることを認めたものだ。
さらにその発言によると、「続編の舞台は国際的なものに
なる。主人公はヨーロッパ全土をツアー中という設定で、法
王庁との関係も描かれる」とのことだ。その法王庁との関係
は、『ダ・ヴィンチ・コード』的なものになるとの発言もあ
ったが、『ダ・ヴィンチ…』では法王庁との対立が厳しかっ
たコロムビアの製作で、今回は関係修復と行くのだろうか。
元々この作品は、ケイジの思い入れも強く映画化が実現し
たもので、前作の公開直後にも物語はまだまだ続くという発
言もしていた。監督なども未定で、今回の計画が彼の希望通
りのものになるかどうかは未確定だが、ケイジの口からこの
ような発言があるのは、再主演する希望は強いと思われ、実
現を期待したいものだ。
* *
続編とコロムビアの話題はこれくらいにして、次は続報で
昨年6月1日付の第136回で紹介したアレン&アルバート・
ヒューズ兄弟監督による“Book of Eli”の映画化に、デン
ゼル・ワシントンの主演が発表された。
この作品は、以前にも紹介したように、最終戦争後の世界
を舞台に、人類を救済する1冊の神聖な本を守ってアメリカ
各地を旅する孤独なヒーローを描くというもの。ゲイリー・
ウィッタという人のオリジナル脚本に基づくものだが、その
後、2001年『サウンド・オブ・サイレンス』などを手掛けた
アンソニー・ペッカムがリライトを加えたとのことだ。
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09月15日(月)
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