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On the Production
by 井口健二
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■ヘルボーイ2、アラトリステ、草原の女、きつねと私の12ヶ月、252、ロック誕生、ザ・ムーン、ブラインドネス(追記)
と共に冒険を繰り広げるというもの。監督自身が子供の頃に
キツネを見た思い出から発展させたということだが、そのお
話はメルヘンにも満ち溢れた素敵なものになっている。
しかも現実との責めぎ合いもしっかりと描かれていて、なか
なか良い物語になっていた。
キツネを題材にした映画は、日本では『キタキツネ物語』が
有名だが、本作はキツネの生態というより少女との関わりに
重きが置かれて、その冒険の美しさなどが強調される。しか
しフランスではキツネは害獣と認定されているらしく、駆除
や狩りの対象などにもなっている。
それでも少女はキツネを愛しているという筋立てで、その辺
の現実の描き方もしっかりとしていた。
さらにフランスアルプスの風景や、そこに住む動物たちの姿
が見事に美しく捉えられた作品で、それを見ているだけでも
心が洗われるような感じがする。そして、そこに描かれる冒
険の舞台は峡谷や鍾乳洞など、大人にとってもわくわくする
ようなものだ。
ただし、親の目で観るとかなりはらはらもする展開にもなっ
ている。そのくらいに素敵な冒険が描かれているものだが、
その一方で、それを見守る親の立場も相応に描かれており、
その辺には納得もできた。
主演は1995年生まれのベルティーユ・ノエル=ブリュノー。
また、少女の思い出話としてのナレーションを、『チャーリ
ーとパパの飛行機』で母親役を演じていたイザベル・カレが
担当している。因に、英語版のナレーションはケイト・ウィ
ンスレットだったようだ。
大人の目の嫌らしさを感じることもなく、純真な気持ちで楽
しめる作品だった。
『252』
海底地震の影響で小笠原諸島近海の海水温が急上昇し、それ
により日本近海で未曾有の巨大台風が発生する。その影響で
新橋地区が高潮に襲われ、東京メトロ新橋駅の地下1階部分
が崩落、地下2階ホームに人々が閉じ込められる。
題名は「生存者あり」という東京消防庁の暗号だそうで、閉
じ込められた中に居た元レスキュー隊員の主人公が、パイプ
を2回、5回、2回と打ち鳴らして外部に状況を伝えようと
するが…その外部も、巨大台風の襲来でレスキュー隊の投入
が困難な状況だった。
同様の物語では、1996年の『デイライト』が思い浮かぶが、
かなり荒唐無稽な展開だったスタローン主演作に比べると、
それなりにリアルなレスキュー活動が描かれる。特に、最新
鋭の音響探査装置やレスキュー犬まで登場する描写はかなり
リアルな感じだった。
といっても、これで救出されるには相当の幸運が必要と思わ
れるが、物語は、2004年の中越地震で地震発生から90時間後
に4歳児を救出したレスキュー隊の活動にインスパイアされ
たもので、幸運も時にはあるということだ。
ただまあ、普段からこの駅を利用している者としては、総武
線、都営線に接続する地下街はどうなった?とか、銀座は水
没しているにしても、そちらへのレスキューの派遣状況は?
など、いろいろ考えてしまうところではあるが…
それに、銀座線、丸の内線の場合は、第3軌条への送電の停
止など、危険を伴う部分で描かれていないものもあって、気
になるところはいろいろあったが、救出現場となる新橋駅周
辺の景観などは、見慣れた風景が見事に変貌していて納得も
できた。
出演は、伊藤英明、内野聖陽、山田孝之、香椎由宇、木村祐
一、MINJI、山本太郎、桜井幸子、杉本哲太。
伊藤のレスキュー隊員姿などは様になっているが、中で、情
報伝達のため現場に駆けつける気象予報官を演じる香椎が、
自分の提案から隊員を死地に赴かせてしまった悔悟と、責任
を完うしたことに対する安堵の表情は、良く演じられている
感じがした。
その他、現地の本部となるホテルの中で、従業員たちがかい
がいしく給仕などをしている様子も、多分こんななのだろう
なあと思わされたものだ。
原案と脚本は、『海猿』シリーズの小森陽一。海、都会と来
て、次は何処のレスキューを見せてくれる?
『ロック誕生』
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09月14日(日)
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