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On the Production
by 井口健二
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■釣りバカ日誌19、ザ・フー:アメイジング・ジャーニー、中華学校の子どもたち、秋深き、DISCO、懺悔、パリ
なら何か別のものであれ、あってもおかしくはないものだ。
だから物語は予想通りというか、他にもいろいろな作品があ
ったように進む。ただしそこに、霊感商法や民間療法のよう
なものが現代を反映しているようにも思えるし、古来から不
変の純愛物語が現代に蘇っている…そんな感じの作品だ。
実際、ハリウッドでは今でもこんな風な純愛物語が連綿と作
られているが、最近の日本映画は何か今に振り回されている
ような作品も多い中で、この作品は現代性を適度に取り入れ
て、丁寧に純愛物語を撮っていると言えるかも知れない。
ただそれが現代の観客に受け入れられるか否かだが、本作は
そこに八嶋智人、佐藤江梨子という多分人気者の主演を置く
ことでアピール度が上がればいいというところだろう。他に
赤井秀和、佐藤浩市らが共演。
監督は、最近では東宝テレビ特撮なども撮っているという池
田敏春。日活ロマンポルノの出身で、本作でも佐藤の撮り方
にその片鱗は見せるが、全体的にはストレートな人間ドラマ
に仕上げている。
主演の2人は、正直に言って八嶋は普段のテレビのイメージ
のままだが、佐藤は『キューティーハニー』のようなコケテ
ィッシュさに加えて、大人っぽい美しさもあり、特に上背の
大きさが小柄な八嶋と対照的にうまく表現されていた。
ただまあ、霊感商法や民間療法、それにギャンブルなどが全
く否定されずに描かれているのは気になったところで、原作
の時代は知らず現代では、小説では許されても、一般大衆を
相手にする映画の表現として良いかどうか。
自殺の表現も含めて、藁をも掴もうという人たちが何をして
しまうかは、ちょっと考えて欲しいところだ。
『DISCO』“Disco”
フランスで大人気のコメディアン=フランク・ディボスク脚
本、主演による作品。巻頭では「Sunny〜」という歌声が流
れ始めて、正しくディスコ映画が始まるという感じにさせて
くれる。
物語の舞台はフランスの湊町。主人公のディディエは、昔は
地元のディスコで人気のダンスグループ=ビー・キングとし
て鳴らしたアマチュアダンサーだった。
しかしその想い出を忘れられないのか、いまだに浮き草のよ
うな生活で、イギリス人だった妻は1人息子を連れて母国に
帰国してしまっている。そしてその妻から送られてきた息子
との面会を断る英語の手紙も、母親に通訳して貰わなくては
ならないような為体だ。
そんな彼に夢が生まれる。それはジェラール・ドパルデュー
扮するディスコのオーナーが企画したダンス大会で、それに
優勝するとペアのオーストラリア旅行が副賞として与えられ
るというもの。それがあれば、ヴァカンスを息子と過ごすこ
とができるのだ。
そこで昔の仲間を掻き集め、ダンス大会への挑戦を考える主
人公だったが、総勢3人の仲間の1人は妻子持ちの上に勤務
先の昇進試験を控えて、とてもそれどころではない。そして
もう1人は、港湾労働者の争議リーダーでこれもなかなか時
間が取れなかった。
それでも何とか息子のためにと約束を取り付けた主人公だっ
たが…。これにエマニュエル・べアール扮するアメリカ帰り
のバレーのインストラクタらが絡んで、トーナメント形式の
ディスコダンス大会が開幕する。
主人公は、プリントの剥げ掛かったビージーズのTシャツを
着て、自らトラヴォルタと名告るなど、正に『サタデー・ナ
イト・フィーバー』なのだが、正直に言ってそのダンスは、
ノスタルジーを除けばあまり冴えたものではない。
そこにバレーダンスの表現を取り入れるなど、いろいろ考え
るという展開はあるが、それが映像で功を奏しているとも思
えない。だから、元々が主人公にペア旅行を与えるための出
来レースとでも考えれば辻褄は合うが…多少その辺は厳しい
展開だった。
でもまあ、中年男性に夢を与える点がフランスでは受けたの
かな? そんな感じで中年過ぎには、流れるディスコ音楽へ
の懐かしさもあり、それなりに楽しめる作品と言えそうだ。
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09月07日(日)
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