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On the Production
by 井口健二
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■悪魔のリズム、かけひきは恋のはじまり、ハピネス、櫻の園、最後の初恋、初恋の想い出
以前は創立記念日に伝統的に上演されてきたものだったが、
11年前に彼女の姉たちが演じようとした直前に中止されたと
いう。
そして、以来、学校での上演は禁止されていると教えられた
主人公は、級友たちに呼びかけて、その上演を試みるが…
本作は、伝統の演劇が中止されているという辺りから大胆な
展開だが、そこから後の展開も見事に現代を反映させて巧み
なものになっている。脚本は、『自虐の詩』も担当していた
関えり香。『赤い…』など往年のテレビドラマのリメイクも
手掛ける脚本家は、なかなか良い感じだ。
出演は、主人公を映画は初出演の福田沙紀が演じ、それを囲
んで『受験のシンデレラ』などの寺島咲、モデル出身の杏、
AKB48の大島優子らが共演。また京野ことみ、大杉漣、富司
純子、柳下大(D-Boys)らが脇を固める。
さらに、映画の製作がオスカー・プロモーションということ
で、米倉涼子、菊川怜、上戸彩らが特別出演している。
行間の無い携帯小説が全盛の時代に、少女漫画の世界がどの
くらい通用するものか判らないが、殺伐とした作品よりは情
緒のある作品の方が良い。本作は、そんな情緒のある作品で
もある。

『最後の初恋』“Nights in Rodanthe”
リチャード・ギア、ダイアン・レイン共演による大人のラヴ
ストーリー。『きみに読む物語』のニコラス・スパークス原
作の映画化。
若い頃の夢をあきらめて結婚、今は10代の2人の子供を抱え
て家事に追われるだけになってしまった女性と、高名な医師
で息子も同じ道に歩むという順風満帆の人生から一転、家族
を顧みて来なかった付けを払わされている男性。
そんな2人が、ハリケーン接近する海辺のホテルで出会い、
嵐の中でお互いの人生を語り合い、それはやがて愛へと昇華
して行く。しかしそれは一時の夢、それぞれの歩むべき道は
別々だったが…
『きみに…』もそうだったが、スパークスの作品は、どこか
先にありそうな物語なのに、そこからの展開がうまいと感じ
る。本作も言ってみれば『マディソン郡の橋』の流れなのだ
けれど、その後の展開がよりメロドラマになっている。
そのメロドラマを、すでに『運命の女』で夫婦役もしている
ギアとレインが演じる訳で、こういう作品が好きな人には堪
らないだろうし、そうでない観客にも案外これなら填るかも
知れないという感じの作品だ。
ギアと同い年で、レインを若い頃から観ている自分としては
こういう作品を観ることに抵抗はない。それに本作では、海
辺というか海岸の砂浜に建っているホテルの景観など、共演
の2人を別にしてもいろいろと楽しめた。
そこをハリケーンが襲うアクション場面は、台風馴れしてい
る僕らの目からすると甘い感じもあるが、カトリーナの後で
作られた作品だから、それは納得ずくのものだろう。それに
しても物語の舞台となるホテルは素敵で、こんなホテルが本
当にあるのなら泊まってみたいものだ。ただしハリケーンの
来ないときに…。
でも、ワーナー版『イルマーレ』の水上の家もセットだった
し、これくらい作ってしまうのも、ハリウッド映画の凄さ…
本当はどうなのだろうか。
共演は、ジェームズ・フランコ、スコット・グレン。その他
には、テレビシリーズ“Law & Order”のレギュラーが何人
か出ているようだ。そういうテーマの作品ではないが。

『初恋の想い出』“情人结”
『山の郵便配達』『故郷の香り』のフォ・ジェンチイ監督の
最新作。
1980年代から現代までを時代背景に、同じ官舎に住み幼稚園
からずっと一緒だった男女の恋物語が、『レッドクリフ』の
ヴィッキー・チャオと、『セブン・ソード』のルー・イーの
共演で描かれる。
1980年代、家族という構造がまだ人々の心の中心にあった時
代。小学校でも美少女といわれるチー・ランと、がき大将だ
が頭脳も明晰なホウ・ジアは、同じ官舎の上下の部屋にそれ
ぞれの家族と共に暮らしていた。
幼馴染みの2人はお互いを意識しあってはいたが、それはた
だ2人が一緒に居られれば楽しいという程度のもの。そんな

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08月31日(日)
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