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On the Production
by 井口健二
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■ウォーリー、ハンサム★スーツ、弾突、M、ウォーダンス、ファム・ファタール、私の恋
つまり、物語の解釈は観客に委ねられる部分が多く、このよ
うな作品を好む人には、かなりの高評価も得られそうな作品
だ。
監督は、2006年『デュエリスト』などのイ・ミョンセ。主演
は『オオカミの誘惑』などのカン・ドンウォン。他に、『百
万長者の初恋』のイ・ヨニ、『火山高』のコン・ヒョジンら
が共演している。
主人公の住居や、路地裏の風景、さらにバーLupin、編集者
と打ち合わせをする料亭などのヴィジュアルもかなり鮮烈に
描かれており、そういった部分の面白さでも満足できる作品
にもなっている。
因に、題名の『M』は主人公の名前のミヌによるものだが、
当然その他の意味も持つものだ。また、物語の間に挿入され
るナレーションは、完成された映像を観て詩人のチェ・ホギ
が書いたものだそうで、その手法も面白く感じられた。
それから、主人公が作家ということで、大量のタバコを吸う
シーンが登場するが、主演のカンは禁煙しており、これらの
シーンで使われているのは全てヨモギの葉。本来のタバコよ
り煙の量は多いそうだが、それはかえって雰囲気を出してい
たようだ。
『ウォーダンス/響け僕らの鼓動』“War Dance”
内戦の続くウガンダで、年に1回開催される小学生による音
楽祭。そこに、現在も紛争地域である北部難民キャンプから
初めて参加することになった小学生たちを記録したドキュメ
ンタリー作品。
300kmを2日間かけて移動する生徒たちの乗ったトラックに
は、常に銃を構えて警備する政府軍の兵士も同乗している。
そこに乗っている子供たちは、片親や両親を失った子たちも
多く、生まれてから銃声を聞かなかった日はないとも言う。
取材はその大会の2週間前、子供たちに最後の指導をするた
め、専門の2人の音楽教師が訪れるところから始まる。もち
ろんこの2人の教師にとっても命懸けの仕事だ。しかし、彼
らは子供たちに子供らしさを取り戻させるためにその仕事を
買って出たのだ。
そして子供たちは、伝統の民俗舞踊や民俗音楽、西洋風の賛
美歌のコーラスなど8部門の課題に挑んで行くことになる。
その子供たちの中には、「木琴ならウガンダ1だ。その実力
を見せてやる」と豪語する子もいるが、その実力のほどは未
知数だ。
一方、両親を殺された女子は預けられている親戚の理解を得
られなかったり、父親の殺された場所を初めて訪ねて出場を
報告する子供の姿なども描かれる。彼女らの家はキャンプか
らさほど離れていない場所だが、今は反政府軍の支配地域で
居住は許されない。
つまり彼らは自国内で難民生活を送っているもので、それは
本来なら5家族ぐらいが住む土地に5万人以上が押し込めら
れて暮らしているのだという。その伝統的な住居がぎっしり
と並ぶ風景は、昔に観た大らかなサバンナの風景からは想像
もつかなかったものだ。
そんな中でも彼らはたくましく生きて行こうとしている。そ
してそのためにも、音楽祭でのトロフィーは絶対に必要なも
のになって行く。しかし、初めて観る平和な首都の姿や、高
層ビルや車の渋滞、そんなカルチャーショックも彼らには襲
いかかる。
そして競争相手の生徒たちからは、「人殺し」と罵られたり
もしたようだ。
映画はあくまでも前向きに子供たちの未来を向いた姿を描こ
うとしている。しかし、そこに垣間見られる現実の恐ろしさ
も、しっかりと捉えている作品だ。こんな現実が、世界中に
はまだたくさん残っているのだ。
『ファム・ファタール』“무방비도시”
9月下旬開催の「韓流シネマ・フェスティバル2008」で
上映される作品の1本。大阪で発生した韓国スリ団による傷
害事件を題材に、韓国広域捜査隊の刑事とスリ団の女首領と
の暗闘を描いた作品。
主人公は、広域捜査隊の特捜班の刑事。彼の班はある犯罪者
を追っていたが、新たに班長が着任し、日本の警察からの要
請によるスリ団の捜査に変更されることになる。しかし主人
公には、その捜査をすることに苦い思い出があった。
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08月24日(日)
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