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On the Production
by 井口健二
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■パティシエの恋、恋愛上手…、ボディJ、花は散れども、6年目も恋愛中、センターオブジアース、ダイアリーオブザデッド、ブラインドネス
の物語でもある。今の時代にこのような人々には滅多に出会
えないが、これこそ良き日本人の姿が描かれている作品だ。
そんな日本人の姿を懸命に残そうとしている新藤監督の心に
も触れる感じのする作品だった。
出演は、柄本明、豊川悦司、六平直政、川上麻衣子、大竹し
のぶ。他に、角替和枝、根岸季衣、りりい、渡辺督子、大杉
漣、吉村実子、原田大二郎、田口トモロヲ、大森南朋、麿赤
兒。
正に日本映画の良心とも言える作品を見せてもらった。

『6年目も恋愛中』“6년째 연애중”
9月下旬開催の「韓流シネマ・フェスティバル2008」で
上映される作品の1本。現代文化の最前に生きている男女が
繰り広げる恋愛模様。
主人公は、出版社で「恋愛マニュアル」の編集者の女性と、
テレビ局でホームショッピング番組を担当するプロデューサ
ーの男性。2人は大学のサークルで知り合ってから6年目、
1年半前からはマンションの隣同士の部屋に住んで半同棲の
間柄になっている。
しかし、2人にはそれぞれ結婚より優先する目標があるよう
で、そのため現在の状況を維持しているが、徐々に倦怠期の
足音が聞こえてくる。そんなとき、女性は才能豊かな男性デ
ザイナーとの仕事上の交渉を任され、男性の傍には若い女性
の姿が現れる。
主演は、韓国でラヴコメの女王といわれるクム・ハヌルと、
元ラッパーで今は人気俳優のユン・ゲサン。共に1978年生ま
れの2人が初共演で、正に等身大の男女を演じているという
物語だ。
半同棲といっても他人は他人、ベッドや食事は共にしても、
結婚=運命共同体ではない間では最終的に話せないこともあ
る。そんな気持ちの擦れ違いが徐々に心の溝を広げて行く。
そしてそこには、他人の立ち入る隙もできてしまう。
6年間も半同棲という状況が、最近では普通なのかどうかも
判らないが、女性のキャリアも増えている昨今では、こんな
男女の姿も数多いのかも知れない。既婚者の自分には、正直
余り理解はできないが、あってもおかしくはないのだろう。
しかも通常なラヴコメなら、ここにお節介な先輩や同僚が出
てきたり、2人の仲を取り持つ関係者が登場するものだが、
本作ではそれも皆無で、2人は2人だけで事を解決しなくて
はならない。この辺も現代的と言えば現代的だが、何とも寂
しい人間関係だ。
従って、それも見事に現代社会を反映していると言えるかも
知れないところで、韓国では今年2月に公開されて、興行の
第1位を記録したということは、それだけの共感も得られた
のだろう。
監督は、韓国総合芸術学校を2002年に卒業して、本作が長編
デビュー作となるパク・ヒョンジン。つまり監督も同世代の
人が描いた正に現代の恋愛ドラマということだ。

『センター・オブ・ジ・アース』
        “Journey to the Center of the Earth”
3月に特別映像を紹介したジュール・ヴェルヌ原作冒険映画
の日本公開が10月25日に決定し、試写が開始された。
この試写は3Dで行われているが、今回はまだ日本語字幕も
吹き替えも準備されていないもので、英語のオリジナル版で
上映された。とは言っても、物語の骨子はヴェルヌ原作の通
りだし、ギャグなどに多少不明なところはあったが、物語の
理解には問題なかった。
ただし本作では物語を現代化してるが、それはちょっと面白
い仕掛けになっていた。なお、前回の紹介で同行者を主人公
の息子としたが、それは甥だったようで、その点だけ訂正し
ておく。
そこから先は、いろいろ新しい仕掛けなども登場はするが、
基本的にはヴェルヌの原作通りの物語が展開されている。従
ってその映像も、原作本の挿絵や1959年の映画化とほぼ同じ
となるが、それが今回は見事な3Dで展開される。
そして映画には、その3Dを最大限に活かすためのいろいろ
な仕掛けやアイデアも盛り込まれており、その仕掛けなどは
観てのお楽しみとしておくが、それは日本公開のキャッチコ
ピーにあるように、「映画館がテーマーパークに変わる!」

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08月17日(日)
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