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On the Production
by 井口健二
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■第165回
ル・リントンは、共に大学時代に原作を読んだそうで、今回
はその想い出が共鳴し、『300』の大ヒットの余韻の残る
この時期に計画が立上げられたものだ。
 ただし原作では、当時その土地にいた蛮族の様子などが、
かなり詩的にファンタスティック(人狼とか、立って歩く熊
とか…)に描かれているようで、その辺をどう処理するかも
映画化に当ってのポイントになりそうだ。また、1万人の兵
士の行軍というのは、それだけでも絵になりそうだが、さら
にそれが戦闘やアクションを繰り広げるとなると、これはま
さに『300』の流れを継ぐ作品となる。
 なお、モザイク・ピクチャーズは、今までに“Talladega
Night”や“Step Brothers”などコメディのNo.1ヒット作を
連発してきたが、今回の作品を足掛かりに歴史物の分野にも
進出する計画だそうだ。
 またロビー・スタムプは、以前には『銀河ヒッチハイク・
ガイド』などの故ダグラス・アダムスのパートナーとしても
知られていた人物だそうで、この人脈も興味深いものだ。
 ジョン・ウー監督の『レッド・クリフ』でも見事な古代の
戦いが描かれているが、登場するいろいろな戦術はCGIを
使うことでようやく映像化が可能にされたもので、この分野
の作品はこれからも次々登場しそうだ。
        *         *
 2007年デンマーク製作のファンタシー映画“De Fortabte
sjaeles ø”のリメイク権がユニヴァーサルと契約され、オ
リジナルを監督したニコライ・アーセルの手でハリウッド映
画化されることになった。
 物語は、郊外に住むティーンエイジャーの少女が、彼女の
弟に18世紀の魔法使いの精霊が乗り移ったことから、自分が
何世紀も続く善と悪との戦いのキープレーヤーであることを
知って…というもの。典型的な若年向けファンタシーという
感じだが、このオリジナルから、2006年『トゥモロー・ワー
ルド』(Children of Men)などを手掛けたストライク・エ
ンターテインメントの製作でリメイクが行われる。
 また、今回のハリウッド版の脚色には、昨年のサミュエル
・ゴールドウィン脚本賞で第1位を獲得したジェニファー・
オキーフの起用が発表されており、過去にはフランシス・フ
ォード・コッポラらも受賞している学生賞の受賞者から新た
な才能が開花しそうだ。
 因に、本作の英語題名は“Island of Lost Souls”となっ
ているが、1932年に『獣人島』の邦題で公開されたH・G・
ウェルズ原作『モロー博士の島』とは関係ないようだ。
        *         *
 キャロリン・バークハースト原作の全米ベストセラー小説
“The Dog of Babel”の映画化に、2003年のアイルランド映
画『ダブリン上等!』(Intermission)などを手掛けたジョ
ン・クローリー監督の起用が発表された。
 この作品は、言語学者の主人公がある日帰宅すると、自宅
の裏庭で妻が倒れて死んでいる。事故か自殺か、その死因を
探るため言語学者は、事件の唯一の目撃者である夫妻の愛犬
に人間の言葉を教え、真相を聞き出そうとするが…というも
の。そしてこの原作から、2006年“We Are Marshall”など
を手掛けたジェイミー・リンデンの脚色も発表されている。
 これがSFかどうかは意見が分かれると思うが、ファンタ
スティックな作品にはなりそうだ。
 製作は、『ハリー・ポッター』シリーズなどを手掛けるデ
イヴィッド・ヘイマン。彼は、クローリー監督とは、マイク
ル・ケインが主演した“Is There Anybody There?”という
作品で組んだばかりだが、この作品も人の死と死後の世界を
題材にしたものだそうで、「監督の感覚は、この種の題材に
向いている」というのが製作者の考えのようだ。
 製作会社は、2006年『主人公は僕だった』なども手掛ける
マンデイト・ピクチャーズ。製作は同社の最優先計画として
進めるとしている。
        *         *
 元タレントマネージャーのオーレン・シーゲルという人が

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08月15日(金)
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